影も映さぬ強さで
とうとうレンタルデッキでもUBが作れる時代か……
ルイン(所持金200万ルド 1億エメラ)
〈ソウキュウヒショウ・アリーナ 1F〉
スクリーンに映し出されたのは空を高速で走るバイクの集団があった。
「全部で8……いや10か。にしてもかなり1位との差があるな」
『このレースでは全員がプレイヤーなので面白いレースがみれます。』
面白いレースと言いながら1人が無双してるだけじゃねぇか。まぁ、勝てるなら別いいか。えーっと今勝ってるのは2番か。オッズは……
「単勝で1.001倍?馬鹿にしてんのか?」
『いえ、この数値はこれまでの戦績や人気などで計算された数値です。』
「そっすか」
いつの間にかレースが終わっている。するとすぐに次のレースの準備時間が始まる。
「じゃあ2番に全額賭けとけば安牌じゃん」
『そうするのも1つの手ですね。』
これヌルゲーじゃん。仮に1億賭けたとしても10万増えるわけか。
『2番みたいに連勝すればするほど別のサーバーの人もレースに入ってくるので簡単には連勝はできないと思います。』
「やっぱサーバーは何個かあるのか、まあそれでも2番に賭けようかな」
「ねぇ、私に賭けてくれない?」
突如後ろから声をかけられる。振り向くとそこにはヘルメットを被ったプレイヤーがいる。
「私、次のレースで出走するんだけど賭けてくれない?私借金があってねぇ、生活がきびしいんだぁ」
「番号は……7番か。オッズは400倍!?なんでこんなバカげた数なんだよ」
「まぁ私今回が初出走だからねぇ。けど、あの2番をボコボコにしてくるよぉ」
かなり自信があるようだ。まぁ、さっき勝った100万を賭けることを伝える。めっちゃ喜んでいる。
『出走するプレイヤーはゲートに集合してください。』
「またねぇ。一位とってくるよぉ」
「じゃあ俺はゆっくりレースを見るか。お、もうゲートに入ってる。7番は……なんかデカくね?」
1人だけゲートに大きさが合ってないだろ。ていうかバイクなのに車輪が無いのか。おっ、始まった。
『今回のレースは6000メートルのコーナー数は8です。現在ハナを進むのは2番続いて5番、その横9番が並びます。そして初出走の8番は一番後ろからのスタートとなりました。残り4000メートル。2番が突き放す。』
2番強すぎるだろ。プレイヤー同士だから差がつきやすいのか。それにしても2番はまだシンガリ、残りは3000を切った。これキツイな。
『2番強すぎる!圧倒的差をつけ第7コーナーを通過しました!おっとここで9番が2番に迫る!だが追いつかない!否、追いつけない!残り2000メートル!2番がまたしても圧勝か!第8コーナー1番最初に抜けたのは2番……ここで7番が差して来た!』
「今の……なんだよ」
『大外から全員をごぼう抜きしていく!残り500メートル!2番と7番が競り合っている!外の方から7番!外の方から7番!他のマシンは届きそうに無い!そして今ゴール!!なんと初出走で見事に1位を取ってくれました!』
ありえない速度でゴールを過ぎ去る7番にカメラすらも追いつかない。
「ははっ、まじかアイツ」
言葉を漏らしながら所持金が5億になったことを確認する。
「あとでサインもらっとこ」
だれやろなぁ()
ルイン(所持金200万ルド 5億エメラ)




