悪酔い
秋葉原は総武線と山手線が交差している面白い街だ。
僕は山手線を降り、この賑やかな街を歩いている。
くすんだ配管だらけの狭い天井の通路を抜け、浅草橋の方に向かう。
以前、この辺のクラフトビール屋に行ったことがあった。
悪酔いしてしまい、途中で抜けたことを思い出した。
そのとき僕はサークルの飲み会に来ていた。
海外旅行に行った先輩が日本の未来について語っていた。
少子高齢化がどうこう。
そして、何故か就職の話になり、インターンの参加とか出遅れていることを再認識した。
そういえばこのサークルの話をしていなかった。
サークルはギターサークル。
しかし、僕はギターを弾くことができなかった。
部長もギターを弾くことができないことを公言していた。
サークル活動中何をしていたのかといえば、ギターを持ちながらYoutubeの動画をおすすめしたり。
あとは近況報告会と称して雑談をしていた。
しかしながら、大学3年生の頃から何故かギターが弾ける人が10人以上入ってきた。
途端に雰囲気が変わり、サークルは3年の後期で退部した。
2次会の焼き鳥屋でビールを更に流し込んでいた。
その後皆と別れ。秋葉原から神田へと歩き始めた。
途端に酔いが回り、先輩が熱く語っていた日本の未来について考えてしまう。
喧騒を離れ、駅までの道すがらのベンチで横になった。
ゆっくりと空を見上げ流れていく雲やツーッと動いていく飛行機を眺めてぼーっとした。
東京の空は狭く、高級そうなマンションの最上階からは明かりが見えていた。
ゆっくりと息を吸い込み、時折起き上がって水を飲んだ。
横の人も具合が悪そうにベンチで横になっていた。
30分くらいして家に帰った。
プラットフォームに滑り込んできた電車には既に乗客がパッケージングされていた。
まるで吊り革に捕まる人達が房につながった葡萄達のように見えた。
要はそれ程人が多く、早く家で一人になりたいという欲が増すだけだった。
悪酔いしながら乗る中央線は気の遠くなる位長く、永遠に続くように思えた。
大学生の時の話だ。
そんなことを思い出しながら。
檸檬堂を飲みながら秋葉原駅東口広場でゆっくりした。
ビールもお酒もゆっくり飲めば楽しい。
そして山手線に乗り込む。
山手線が僕を揺らす。
お酒を飲んだからから気持ちが良い。
ゆっくりと味わいながら
生ビールをひたすら流し込むのは金輪際やめることにしよう。
ビールを初めて飲んだときはもっとゆっくり飲んでいた気がする。
なぜ時が経つにつれてビールを流し込むようになるのだろうか。