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Page:1「ようこそ。循環から外れし戦士」

『続いてのニュースです。本日未明、小田原インターチェンジ付近にて自動車三台を巻き込む玉突き事故が起きーー』


 電車の窓から見える東京の街並みをボーッと眺めながら、俺はイヤホン越しに聞こえてくるラジオのニュースに耳を傾けていた。


 また事故か。今年に入ってからやけに多いなと、どこか他人事のようにそう思い、次に流れてくる情報は全部聞き流していた。


 そういえば、親父たちが死んだ原因も車の事故だったか。自動運転の車が主流になりつつあるってのに、変わるべきところは変わらないままなんだな。


《次は~渋谷~渋谷~》


 おっと。次の駅で乗り換えだ。


 俺はラジオのアプリを閉じ、代わりにナビを開く。東京の駅というのはどうにも複雑で嫌いだ。今でこそ、耳に着けた『ARC(アーク)』という拡張現実を作り出してくれるデバイスのおかげで幾分かはマシになったが、それでもたまに迷うし、このデバイスも完璧じゃないから遠回りをさせられることもある。


 まあ、昔みたいにやれ何番線に乗れだの、ここで乗り換えろだのと音だけでしか得られなかった情報に比べれば、視覚的に案内してくれるこいつの方がずっと使い勝手はいい。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 その後、機械の力を借りつつ目的地である池袋にまで辿り着いた。本当、東京の駅というのは嫌になる。これから毎日こんなのに付き合わなければならないのかと軽くため息が出る。


 さて、ここからしばらく歩けば最終目的地である『私立凛生学園』が待っている。叔父さんは知り合いが経営しているから何も心配はないと言ったが、それでも異郷の地で再出発というのは些か不安な気持ちになる。


 本当、何でこんなことになってしまったんだろうな。つい1ヶ月前までは何ともない平和な日常だったというのに。


 △▼△▼△▼△▼


「急げ!急げ!絶対に死なせるな!」


「先生!輸血用の血液が足りません!」


「な!それは本当か!?」


「先程の患者でもう予備がないんです!」


「クソっ……!どうにかして他から掻き集めろ!」


「先生!患者の容態が……!」


 ……鳴り止まないサイレンの音。慌ただしく人が駆け回る音。ただの交通事故だと思っていた。でも、ただの交通事故がそんな甘いわけが無かったんだ。


 俺が駆け付けた時にはもう遅かった。遅過ぎた。親父たちはとっくに息を引き取っていた。最後の言葉を聞くことも無く、平凡だった日常はたった一夜にして崩れ落ちた。俺は、泣くこともなければ激情に駆られることもなかった。ただただ親父たちの治療に携わった医師の話を聞き流していた。


 感情がないわけではない。ただ、その時は何も言葉が出なかったんだ。現実を受け入れられなくて、しばらくは誰もいなくなった我が家に引きこもってさえいた。そんな俺を見かねて、東京にある親戚の叔父さんが俺を引き取ってくれた。最初は言葉を交わすこともなかった。でも、このままじゃダメだと俺は分かっていた。


 △▼△▼△▼△▼


「もう少しサボってても良かったかもな……」


 秋風に軽く身を震わせ、誰に言うでもない独り言を呟いた後、俺は再び歩き始めた。


 それにしても、東京の風は冷たく感じる。いや、物理的に冷たいというわけではない。寒さで言えば、俺がいた田舎の方がこの時期はもっと寒かった。ただ、なんというか、この街の風は寂しい。人の温かみというものを感じない。


 街を歩けば、そこら中に人がいる。しかし、誰もが互いを認識しつつも素知らぬ振りをして歩いている。人と人との繋がりが一切無い。もちろん、俺と同じくらいの年頃なのだろうかグループを形成して歩いている人たちもいるが、あれはあれで独立したコミュニティを持っている。


 上手く言葉に出来ないんだが、この街は冷たいんだ。人も、風も、何もかもが冷たい。


 ーーそんな冷たさが俺の見る景色を一変させる。


「……?」


 突如として池袋の街並みが冷たい夜へと変わる。ビルから明かりが消え、代わりに空に禍々しく輝く月が照らしてくる。


「……なんだ?」


 何が起こっている?


 さっきまでそこら中にいた人々の姿が無くなっている。学校への道案内をしていたナビも、目的地が不明ですと警告文を送ってくる。


 さっきまでは当たり前にあった景色が変わった。もしや、このデバイスが悪さをしているのでは?と外そうとしてみた。だがーー


「……無い?」


 俺の耳にかけていたはずのアークが消えている。まさかそんなはずがない。だって、俺の目の前には未だに警告文が出ているのだ。こんな夢みたいな景色を演出できるのはこいつだけ。だというのに、その肝心のアークが無い。


 暗い街で一人、ゴクリと唾を飲む。夢みたいな景色を相手に、俺は本当に夢でも見てるんじゃないかと頬をつねってみるが、ちゃんと痛みがある。


 どうも、これは現実?のようだ。信じたくはないが。


「……」


 色々と不可思議な状況ではある。だが、ここがまともな場所ではないことくらい何となく分かる。


 俺はどこかに脱出できる場所はないかとあてを求めて歩き始めた。街の景色は不気味な明かりに灯された夜の街となっているが、形自体はどこも変わっていないようだ。最初こそ驚きはしたものの、人がいないだけで地面は普通に踏めるし、壁だってちゃんと見た目相応の肌触りがある。益々疑問が募るばかりだ。


 それからしばらく適当に歩いていると、やがてこの街の中でも特に異彩を放つ場所に辿り着いた。


「城?いや、宮殿か?」


 まあどっちも似たようなものだろう。


 俺はこの夜の街で、現実、少なくとも東京じゃ見ないと思っていた西洋風の宮殿に出くわした。普通、こういう宮殿ってのは白色のイメージが俺の中にあるのだが、この宮殿は頭からつま先まで禍々しい紫で覆われている。見てるだけで目眩がする色だ。


 だが、今のところ他に行くあてがあるのかと聞かれれば無いと答えるしかない現状。あまりにも危険な匂いしかしないが、この街から脱出するためにも情報を得る必要がある。


「……行くか」


 俺は万が一に備え、鞄から折り畳み傘を取り出して宮殿の中に入っていった。武器としては頼りなさすぎる代物だが、まあ何も無いよりかはマシだろう。


 ーー宮殿に足を踏み入れると、それはもう映画とかでよく見る感じの広間が拡がっており、左右に分かれた階段を昇った先に、デカデカと誰かの肖像画が飾ってあるのが見えた。


 この城の主のセンスなのだろうか?自己顕示欲の激しい人物だと思いながら、さてこの先どう進んで行こうかと悩む。


「素直に階段の先に進むか、あるいは……」


 袖の方に見えている小さな扉。そちらの方に向かうべきかを思慮する。


 ただの勘でしかないが、中央の扉から先の方は危険な予感がする。いわゆる、生物としての本能だろうか?まあ何でもいいが、危険だと思っているのならそっちには進まない方がいいのだろう。


 左の方へ進み、『ギィ……』と軋む音を立てる扉を開け先に進む。


 進んだ先は紫色の絨毯が敷かれており、左右にはこれまた扉が乱立している。恐らく、客室か何かなのだろう。


 また少し先を進み、角を曲がろうとしたところで慌てて引っ込んだ。ーー赤いスカーフを巻き、甲冑に身を包んだ人物が通路の先にいたのだ。本能的にあいつとは出会ってはいけないと感じ、しかし、この先以外行く道も無いと焦る。焦ってる間に甲冑の人物がこちらに近づいてくる音が聞こえたため、俺は慌てて適当な扉の先に逃げ込んだ。


 逃げ込んだ先は予想通り小さな客室だった。ソファと机。後は本棚が置いてあるくらいで割と質素。何か情報が得られるかもと思い、本棚の本を手に取ってみたが、表紙も中身も何も書かれていない白紙の本だった。他も全部同じで、ただのインテリアとして置かれているだけみたいだ。


 扉の鍵穴から僅かに覗ける先で、甲冑が向こうに通り過ぎて行ったのを確認してから出る。しばらくは来た道を戻れないなと思いながら、先程は甲冑がいて進めなかった先へ進む。


「また分かれ道か……」


 通路の奥には螺旋階段が設置されており、ここでまた上に行くか下に行くかを俺に問いかけてくる。


「上はさっきの場所に行く可能性がある。……ならここは下か」


 割と即決だったが、行く先に何があるのか分からない以上、信じられるのは己の勘しかあるまい。


 それから先に進むと、今度は明かりの乏しい空間へとやって来た。壁伝いに歩くと、柵?なのか数センチごとに隙間があるような感覚がしてくる。暗くてよく見えないが、多分牢獄?なのだろう。


 牢獄となると、出口のあてなんて益々無いかもなと思いつつ、とりあえず行き止まりに辿り着くまでは進んでみようと歩く。するとーー


「全く、お前は本当生意気なやつだな!オラァ!」


「ぐぁっ……!」


 通路を曲がった先から誰かの怒声が聞こえてきた。


 何だろうと思い、角から頭だけを出して先の方を見る。相変わらず辺りは暗いが、怒声の主と思われる男がカンテラを持っていたおかげで何となく状況は見れた。


「クソっ……!お前いい加減にしろよ……。こんなことしてるってバレたら今度こそテメェはお終いだ!」


「はっ!何を言ってるのかよく分からねぇなぁ?」


「だっ……!」


 カンテラを持った男が、恐らく牢の中にいると思われる男に蹴りを入れる。あの場所だけ誰かが閉じ込められているようだ。そして、あの男は一体何だ?暗すぎて手元の方は見れても顔が見えない。


「折角俺の働きで退部程度で済ませてやったというのに、今度は何を犠牲にすれば言うことを聞くようになるんだ?お袋さんにでも脅しをかけてみるか?」


「なっ!テメェ!まさか母さんに!」


「さてな?お前が態度を改めないと言うのならどうなるか分かったものじゃないな」


「……っ、クソっ!」


 話が見えてこないのだが、どうも蹴られている方は何か弱みを握られているようだ。


 ……助けに行こうと一瞬だけ考えた。でも、それはあまりにも危険すぎる行為だとすぐ冷静になる。そもそも助けて何になるのだと。別にこの世界から脱出できるわけじゃない。それどころか本能が感じる危険な奴らを相手にしなくちゃならなくなる。どう見てもメリットが無い。


 でも、それでも助けたいと思ってしまう。頭じゃ無謀だと分かっているのに、それでも助けたいと思ってしまう。これは、厨二病的心理から来てるのか、それとも偽善者としての考えなのか。……いや、そのどちらでもない。俺はーー


《ようやく気付きましたか》


「……!」


 先程まで目的地が不明ですと警告文を送ってきていた視界の文字が切り替わる。


《これは、理不尽な世界へ抗うための戦い》


《今、世界は循環の輪の中にある》


《命は巡り、歴史は繰り返され、そして世界は再生する》


《貴君が力を求めるのであれば、循環の輪から外れることを許しましょう》


「……」


 何なんだ?この文字列は。そもそも最初からだったが、この世界は何なんだ。一体、誰が何の目的でこんな場所に俺を連れて来たんだ。


《CODE:ArcDriveNo.1をインストールしますか?》


 目の前に映し出される《最終警告》の表示と、その下に置かれた《YES》《NO》の表示。何をインストールさせる気なのか知らないが、先程の文から察するに、ここでYESを選択すれば何かしらの力が手に入るのだろう。


 かなり胡散臭いとは思った。しかし、この状況下でまともな判断を下せる方が難しいというものだ。


 俺は、恐る恐る指を伸ばし、《YES》と書かれた方をタッチした。


《リクエストを承認いたしました。CODE:ArcDriveを実行します》


 光が全身を包み込み、プログラムの羅列が高速で視界を通り過ぎてゆく。着ていた学ランが白いローブに変わり、なんだなんだと狼狽えていると、最後にまた視界に文字が映し出された。


《雨夜 暁さんのログイン処理を完了しました》


《ようこそ。循環から外れし戦士》


 視界から文字が消える。代わりに、今度は視界の隅に何やら青色の線や英単語の羅列のようなものが表示される。どれが何を示しているのかが全く分からないが、少なくとも先程の選択によってこの状況が生まれたのだということは理解した。したが……


「俺は、何をすればいい……」


 急にこんなものを与えられたところで、何の説明も無しとは不親切もいいところだ。せめて、力を与えたというのならその使い方くらい教えてほしい。


《力の使い方はご存知のはず。さあ、存分に戦いなさい》


 俺の疑問に答えるかのように再び文字が送られてくる。しかし、その答えは俺が期待していたものではなく、益々疑問は増えるばかりだった。しかしーー


「使い方は、もう知っている……」


 何故かは分からない。しかし、その言葉を聞き、俺の中にある何かが活性化している。


「クソっ……!テメェだけは、絶対に、許さね……ぇ!」


「は!何も出来ない奴は無様に嘆いていろ!」


 ーー自然と足が動き出した。暗闇の中だが、この変化した視界のおかげであの男の位置がハッキリと分かる。


 使い方はご存知のはずとは本当不親切もいいところだ。だが、その答え方はある意味間違えてないのかもしれない。


「ヴェント!」


 男の真後ろに迫ると同時に、右手を背中に押し付け視界に表示された言葉を叫ぶ。すると、手のひらからつむじ風のようなものが巻き上がり、男を突き飛ばした。


 まるで魔法みたいな力だ。嘘みたいな光景だったが、この力は間違いなく俺が使った力だ。


 突然の出来事に突き飛ばされた男はしばらく唖然とし、俺が倒れかかっていた金髪の男を抱えると、慌てたように「何をする!お前!」と叫んでいた。


「ヴェント!ヴェント!」


 奴に反撃する暇は与えず、立て続けにつむじ風を放つ。奴が身に着けていたと思われる赤いスカーフがヒラリと舞い、そして、牢の外に出ようとしたところで金髪の男が「か、ぎ……」と言うのが聞こえたので、俺は奴を牢の中に置いたまま鍵を閉めてやった。


「お前……何もん……だ?」


「今は逃げるのが先だ。肩は貸してやるから頑張って立ってくれ」


「あ、ああ……」


 金髪は戸惑いながらも何とか足に力を入れ、自らの足で立ち上がってくれた。


 あとはこのまま出口を目指すだけだ。この世界から脱出する方法を求めてここに来たはいいが、恐らくこの場所に脱出する方法はない。むしろ危険しかない。


 来た道を戻り、大広間に飛び出す。ここを抜ければ城の外に出られる。そう考えていたのだが……


「待て!囚人!」


 先程の甲冑が広間に構えており、進路を妨害される。しかも、三人いる。


「止まれ!囚人!」


 オマケと言わんばかりに今度は後ろの方から甲冑が三人飛び出してくる。完全に囲まれてしまった。


「お前……俺を置いて……逃げ、ろ……」


「それが出来たらそもそもお前なんか助け出してない。いいから大人しく俺に助けられろ」


「……はっ、バカだろ。お前」


「そうだな」


 こいつの言う通り、俺はバカだ。あんなカッコつけた真似をしたせいで、俺までこんな危機に晒されることになるとはな。だがーー


「助けたいと思ったんだ。手遅れになる前に」


「……」


「親父たちみたいに目の前で誰かが死んでいくのは見たくない。だから、どこの誰かは知らんが踏ん張ってくれ!」


「……ちっ、お前男なのに惚れちまうじゃねぇかよ!」


 俺の肩を借りていた金髪が自分の足だけで立つ。そして、ところどころ腫れてしまっている顔だが、それでも気丈に振る舞って拳をポキポキと鳴らす。


「喧嘩上等!テメェらまとめてぶっ飛ばしてやる!」


 金髪が拳を大きく振り上げ甲冑に迫る。


 ダメだ。何の力も無いお前じゃ太刀打ち出来ない。止めようとしたが、そいつは見事な瞬発力で甲冑の眼前に迫り、装甲の薄い首元に力強いパンチを喰らわせた。


「へっ。左手はダメでも右手なら行けんだグハッ!」


 だが、すぐ隣にいた甲冑の反撃を喰らってしまい、金髪はよろよろと倒れてしまった。


「……!ヴェント!」


 助けようにも、こっちはこっちで後ろにまだ三人いる。一人で全部を相手にするなんて出来っこない。まして、手に入れたばかりの力だ。使い勝手がよく分かってないのだから尚更だ。せめて、あいつも俺のように力を使えたら……


《貴君が望むのなら、その権利を他人に分け与えることを許可しましょう》


「……!」


 またしてもあの文字だ……!しかも、権利を他人に分け与える?何が何だか知らんが、状況を打破するためには怪しくても縋るしかない。


《神代 優真さんへ権利の共有を実行しますか?》


 画面に映し出されたその言葉に迷わず《YES》をタッチする。


《リクエストを承認しました》


 その言葉が映し出されると同時に、金髪ーー神代 優真というのが名前らしいーーの姿が俺と同じように変わる。


 学ランが同じように赤いローブに変わり、あいつ自身、俺と同じように姿の変化に戸惑っている。


「あ!?な、何だこれ!?」


「神代!説明は後だ!今は目の前に表示されてる通りの行動をしろ!」


「は!?いやお前何言って……!ええい!めんとくせぇ!ファム!」


 神代の手から放たれたのは火の玉みたいなもの。甲冑に当たると、たちまち硬い装甲を焼け落とし、紫色だが無防備になった裸があらわになる。


「ヴェント!」


 すかさず俺はその部位に向けてつむじ風を当てる。すると、甲冑はつむじ風が当たった場所を中心にボロボロと崩れ出し、最後には形そのものが無くなっていった。


「お、おお!スゲェ!この調子ならーー」


 続けて火球を放とうとした神代だったが、その背後を甲冑が取る。そして、あいつ自身が気付いた時にはもう遅く、銀色の剣で背中をバッサリと斬られてしまった。


「こうじーー」


 慌てて駆け寄ろうとしたが、しまったと気付いた時にはもう遅かった。


「あっ……!」


 まだ敵がいたのにも関わらず背を向けてしまい、俺もバッサリと背中を斬られてしまった。


 完全に判断ミスだった。助けに行ってる場合じゃなかった。後悔したところで時間は巻き戻ってくれやしない。クソっ、こんなところで死ぬのか?俺。


 ーー段々と意識が遠のいていく。背中の痛みが激しくて、眠ってられるわけないってのに、まるで死に向かってるように意識が狩られてゆく。


「死んで詫びろ。囚人!」


 さっきの甲冑が背中に立ち、剣を真っ直ぐに突き刺そうとしてきていた。本格的に生かすつもりは無いということを知りながらも、今の俺たちにはどうすることも出来なかった。


《バン!バン!》


 ーーただ、意識が落ちる直前、何か銃声のようなものが響いていた。敵側の援軍かと思ったけど、もうそれ以上を確かめることは出来なかった。

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