コース料理の無限ループ
Victoria3というゲームを始めてみたんですが、これぞ究極の内政ゲームだ!って感じでとても面白いです。
ただ広大な宇宙を舞台にしたstellarisより動作が重いのは解せぬ(個人の感想です)
「う、うぅ……苦しい」
祝賀会で出されたとんでもない量の料理を食べた俺は、自分の部屋に戻るのも一苦労だった。
正直もうオクタウィアのことを考えてる余裕がない。
料理を用意させたやつは、俺も先代のクラウディウス帝と同じくらいの大食だとでも思ったんだろうか、2日分の食事と同じくらいの量を出してきた。
もしかして前世の祝賀会の記憶が全然ないのって、食べすぎて倒れたんじゃないか?
まず前菜でオリーブとパニスが出てきたが、これはまあ普通だ。
次にメインディッシュは牛の肉を甘辛く煮つけた料理だ。これもおかしくない。
そしてデザート。はちみつに浸したパニスにフルーツを乗せたもの。非常に美味しかった。
そして今度は前菜の豆が出てきた。この辺りから雲行きが怪しくなってくる。
まあ豆は好きだし、お腹もまだ余裕がある。食べようじゃないか。
豆を食べたら次はまたメインディッシュが来た。また牛肉だった。
結局この前菜、メインディッシュ、デザートループを5巡くらいして祝賀会が終わった。しかもメインディッシュは全部牛肉だった。
正直明日は何も食べたくない。できることなら明後日も……
みんなはお腹がいっぱいになったら吐いてからまた食べてたから、こんなに苦しそうにしてたのは俺だけだった。
俺も吐けばいいんだけど、それはしたくない。
昔セネカが「ローマ人は食べ物を消化すらしないんだな」と言ったことがあった。
その時の悲しそうな顔を思い出すと、食べ物吐き出す気になれない。
ベットに横になったら大分マシになった。
胃の中で起こりそうになっていた大反乱は、ひとまず収束の方向に向かった。
じゃあオクタウィアとの和解について考えよう。
祝賀会の前に良い案が思いついた。それは旅行だ。
目的地はゲルマニアだ。
あんな未開の地に旅行して何が楽しいんだって?もちろん本当はギリシャとかシキリアに行きたいに決まってる。
でも皇帝が旅行なんてそんなに簡単に行けるもんじゃない。元老院からの許可も降りないだろう。
だけど公務として戦地に赴くなら話は別だ。
計画はこうだ。
まず過酷な環境で国境を守る兵士たちを激励するという名目でゲルマニアに行く。これなら元老院のやつらも文句は言わないだろう。
ローマからゲルマニアに行く途中に、メディオラヌムって街がある。そこを観光するのだ!
これと言って魅力的な街というわけでもないが、生まれてからほとんどローマを出たことがないオクタウィアにとってはきっと良い旅になるに違いない。
それに自然が好きなオクタウィアにとって、自然の豊富なメディオラヌム辺りは魅力的かもしれない。
我ながらいい計画だ。早速明日元老院に提案してみよう。
考えがまとまったら急に眠くなってきたぞ。
思えば戴冠式に祝賀会と大変な1日だった。
今日はもう寝よう。
※※※
扉をノックする音で目が覚めた。
「おはようございます陛下。朝でございます」
これは……奴隷のマルクスの声だな。
もう朝なのか。
寝た気がしねぇ。
あ、でもミノタウルスに追いかけられる夢見たな……ってことは寝てるのか。
クソっ、牛肉料理ばっかりだからあんな夢見たんだ!
「陛下、朝食は何かご希望はありますか?」
「ふざけんな!殺す気か!今何か食べたら俺の腹の中から牛さんが飛び出るぞ!」
「……かしこまりました」
ぐっ……胃と思わしき部分がイテェ。完全に食べ過ぎだな。
水でも飲むか。
「マルクス、水を持ってきてくれ。あとパピルスもだ」
「承知しました」
数分してマルクスは水とパピルスを持ってきた。
俺はその水を飲みながら、パピルスに元老院宛の書状を書く。
内容は「ゲルマニアに居る兵士どもに皇帝の偉大さを見せつけてくるから、早くローマから出る許可を出せや!」を、もう少し丁寧な言葉で書いたものになっている。
「これでよし。あとはこれを元老院に提出するだけだ」
ちょうど元老院議員が一堂に会する定期議会が明日開かれる。その時にこの書状を提出すれば、来週には晴れてメディオラヌムだ。
メディオラヌムは今で言うミラノにあたります。