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暴君ネロの2度目の治世  作者: Kaiser
アナザードラマ 皇帝不在のローマ
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皇帝不在のローマ 第5話

あけましておめでとうございます。

新年なのでイレギュラーで投稿。

客人用の部屋というから待機室だとばかり思っていたが、実際は泊まっていく客用の寝室だった。

その証拠にフカフカなベッドが置いてある。しかも私のよりも質が良さそう……


リニキアヌスが来るまでまだ時間があるので、少し横になってみる。

おぉ!これは……いいベッドだ。最近どうも熟睡できなくて困っているのだが、このベッドなら……でも高いんだろう。

ベッドを堪能していると、いつのまにかリニキアヌスが部屋の中にいた。


「なにやってんスか!?」

「君を待ってた」

「待ち方ってもんがあるでしょ。それで?話ってなんスか?」


私はベッドを軽く整えながら、これまでの経緯を話しした。そしてウァレリウスの下で働いていた時のことを聞いた。


「ウァレリウスの野郎のこと聞きにきたんすか。だったら言うことは1つです。アイツは傲慢でワガママで短気なクズっスよ」

「うーん?聴いてた話と違うな。私の知る限り、ウァレリウスの評判はそれほど悪くなかったはずだけど」

「そりゃ外ではいい顔してるに決まってるっスよ。でも家じゃ酷いもんだったっすよ。使用人への暴行は当たり前。自分の奥さんにまで暴力を振るうんですよ」

「本当!?それは酷いね。じゃあ君も……?」


リニキアヌスは右腕の袖を捲った。そこには、肩から肘にかけて続く傷があった。その傷にはまだ生々しさが残っている。

ここ1、2週間以内につけられた傷のようだ。


「酷いねぇ……辞めて正解だよ」

「ほんとっスね。まあ俺はクビになったんっスけどね」

「そういえばそうだったね。でも不思議だなあ。さっき君の仕事ぶりを見てたけど、凄いじゃないか。私なら多少気に入らない事があっても雇い続けたいけどなー」


リニキアヌスは嬉しさと恥ずかしさが混ざったような笑顔を見せてくれた。


「そう言ってもらえると励みになるっス」

「なんでクビになったかって聞いてもいいかな?」

「別にミスをしたとかじゃないんスよ。ただ物置部屋に入っただけでクビんなったんスよ。酷くないスか?」

「物置は普段から立ち入り禁止だったの?」

「いやぁ……前は普通に入れましたし、掃除をさせられることもあったっス」

「入って怒られた日はいつ?」

「俺がクビになった日なんで……ちょうど1週間前っスね」


私の推測が正しければ計画書はその物置部屋にある。ウァレリウスは受け取った計画書を物置部屋に隠した。だから物置に入ったリニキアヌスをスパイだと疑ってクビにしたんだろう。


「参考になったよ。ありがとうリニキアヌス」

「いえいえ。俺も愚痴言えてよかったっス」

「それじゃ私はこれで……いや、何か忘れてるな。あ!そうだった。ウァレリウスの家の間取りを教えてくれないかな?できれば正確に」

「間取りっスか?いいっスよ」


使用人に家の紙を勝手に使わせるわけにはいかないので口頭で教えてもい、それを記憶した。やはり口頭だと構造がわかりにくい。だが物置の場所だけは完璧に覚えた。

運がいいことに、あのパウルスの部屋の隣に物置が位置しているらしい。


「忘れないようにしないとね……さてと、あとひとつ。ウァレリウスのスケジュールってわかるかな?もっと言ってしまえば、アイツが家にいない時間だけ知れればいいんだけど」

「夜は基本いないっスよ。あの野郎、外面はいいんで友達が多いんスよ。だから毎日誰かしらと飲みに行ってますよ」

「ありがとう。手間取らせたね。今度こそ私は失礼するよ」


私が帰ろうとすると、リニキアヌスは玄関まで見送ってくれた。途中、中庭を挟んで反対側の廊下からアルブスくんも手を振ってくれていた。

カエキナさんの家を出て太陽の位置を見る。真上より少し東寄り。11時30分くらいだろう。

ウァレリウスが飲みに出るには早すぎる。一度宮殿に戻ろう。徹夜も覚悟しなければならないかもしれないから、今のうちに仮眠を取っておこう。

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