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暴君ネロの2度目の治世  作者: Kaiser
即位・ゲルマニア編
3/34

暴君の2度目の人生

俺は書斎のような部屋で目覚めた。

どうやら俺は本当に生き返れたようだ。

代償として腕の一本くらい無くなってるんじゃないかと思ったが、体のどこかのパーツが欠けているなんてこともない。

むしろ喉の切創がきえている。ありがたい。


でもここはどこだろう。死んだ場所に戻されるものだと勝手に思っていたが、どうも違うらしい。

俺が死んだのは解放奴隷のパオラの別荘だった。だがここはパオラの別荘とは明らかに違う。

パオラの別荘は豪華な装飾品で飾り通されていたが、ここは打って変わってシンプルな部屋だ。

だがこの部屋、どこかでみたことがあるような……


俺が部屋の中を眺めていると、ドアの向こう側から足音が聞こえてきた。

マズイ。生き返ったからといっても俺はまだ国家の敵。見つかれば通報されて処刑されてハデスのもとに逆戻りだ。

焦って隠れる場所をさがしたが、この部屋シンプルすぎて隠れる場所が全然ない。家具を置け!


ヤバい。本当にヤバい。足音はもう部屋のすぐ前だというのに、俺の全身は見事に出たままだ。

仕方がないので最終手段。椅子に掛けてあった毛布を頭から被り、部屋の隅でうずくまった。

バレないわけないけど、反撃に出る隙くらいは作れるだろう。


ドアが開き、誰かが中に入ってきた音が聞こえる。

俺は拳を握りしめ、反撃の機会をうかがう。理想としては、この毛布を剥がそうと近づいたところで飛びかかりたい。

汗が額を流れる。恐怖で震え、歯と歯がカチカチと音を立てる。

その音に気付いたのか部屋に入ってきた人が俺に近づいてきた。

俺が飛びかかるタイミングを見計らっていると、なんと声をかけられた。


「ルキウス、そんなところで何をしているんだい?」

「!!?」


ルキウスというのは俺の本名だ。

ルキウス・ドミティウス・アへノバルブス、これが俺の本名だ。だが皇帝に即位して以来14年、俺はその名前を使ってない。

ネロ・クラウディウス・カエサル・ドルススが即位して以来使っている名前なのだが、わざわざ旧名で呼ぶくらいだから、昔から俺を知っている人なのかもしれない。

俺は意を決して被っていた毛布を取り払い、俺の名前を呼ぶ人物の顔を見た。


「セネカ!な……なんでお前が生きてるんだ!?」

「え……どうしたんだ急に。哲学に興味でも出てきたかい?」

「哲学の話じゃねぇよ!マジでなんで生きてるんだよ」


俺は思わず驚愕した。なぜなら目の前にいたのは死んだはず、というか俺が処刑したはずのセネカがいたからだ。

やっぱり俺はまだ生き返れていないのか?逆にセネカが生き返ったと考えるべきなんだろうか。

いずれにしても確かめる方法は1つしかない。


「セネカ、お前もハデスに生き返らせてもらったのか?」

「ん?何を言ってるんだいルキウス。まさか熱があるんじゃないだろうね?戴冠式前日に風邪なんてひかないでくれよ」


この反応を見るにセネカは生き返ったわけではないようだ……ん?戴冠式前日?


「戴冠式って誰の戴冠式だ?」

「まさか本当に熱があるんじゃないだろうね?君の戴冠式だよルキウス。あぁ、それともこう呼ぶべきかな?ネロ・クラウディウス・カエサル」

「なんだって!!!」

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