表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴君ネロの2度目の治世  作者: Kaiser
即位・ゲルマニア編
19/34

食事は適切な量だけ提供しろ

最近更新できていなくてすいません。

新しい生活環境にも慣れてきたので、これからは少しずつ投稿していくとおもいます。

それと嬉しいことに4500PV突破しました。いつも見てくださってありがとうございます!

ここの人たちは歓迎のしかたが熱烈過ぎる。

俺の分の料理を次から次に取り分け、まだ前の料理が食べ終わってないのに渡してくる。

折角もらった料理を残すわけにもいかない。

仕方ないから、これまた大量に注がれたビールで流し込む。

その姿を見て、もっと食べたがっていると誤解した人が追加で料理とビールを持ってくるという悪循環が続いている。


俺は覚悟を決めて、木のボウルによそわれた料理を全て口の中に入れ、ビールと一緒に飲み込んだ。

そして次の料理が来る前に適当な理由をつけて広間から抜け出し、屋敷の中庭のところまで逃げてきた。


「うぅ……酷い目に遭った……」

「大分飲まされたみたいだな。ここに客が来るのは久しぶりだ。みんな久しぶりの客人を喜ばせたかったんだろう」

「ご老人 あんたも来てたのか」


中庭の柱にもたれかかっている俺に話しかけてきたのは、あの老人だった。


「ハデスはどうした?」

「元気だ。今はワシが獲った鹿を食べてる。できればワシもそうしたかった。こういう食事会は好かない。族長に言われて仕方なく来ただけだ」

「じゃあレクリエーションにも参加しねぇのか?」

「レクリエーション?ワシは聞いてないけどな。まぁ、あの人は昔から突然突拍子もない事をしだすからな」

「あぁ……さっき少し話しただけだけど、なんとなく想像つくぜ。あんたも苦労してんだな」

「まあな、でも族長は頭が良い。あの人は2手、3手先を見越して行動する人だ。あの人の行動には必ず意味がある」

「そうなのか?そんな印象は受けなかったけどな……」


老人は『やれやれ』と言った感じで首を横にふった。

顔には人を嘲笑うような笑顔が浮かんでいる。

俺に見る目がないとでも言いたいのか?


「お前は見る目がないなぁ」

「チッ……言いやがったなジジイ」

「あの人はすごい人だ。16歳で族長になって以来18年。その18年でこの集落を大きく変えた」

「そんなにすげぇのか?」

「ああ。族長が農耕を本格的に導入してから略奪に行く必要がなくなった」

「そりゃすげぇ」

「驚くのはまだ早い。それだけじゃ今まで略奪に励んできた戦士は職が失くなって不満に思うだろ?だが族長はその元戦士たちを村の発展のための労働力にしたんだ。例えばあれを見ろ」


老人が指差す先には大きな山があった。地図を見ないとわからないけど、多分アルプスだ。

その山に目を凝らすと、そこには見慣れた建造物があった。

水道橋だ。


「まさか水道橋か!?」

「見ただけでわかるのか。さすがローマ人だな。そう、あれは水道橋。構造も材料も、デザインまでローマにあるのと同じだ。信じられないかもしれないが、この集落はどの家も水道完備だ」

「マジかよ……それをあの族長が?」

「そうだ。見直しただろ?うちの族長」


信じられない。

小さいとは言え、このレベルの水道橋を建築するなら、ローマのクレーンと大量の労働者を使っても10年以上かかる。

それなのに、ここの人たちはクレーンも人手もないのに水道橋を完成させたなんて。しかも16年以内で。


「あの水道橋すごいでしょー?みんなで頑張って造ったんだよー」

「うわ族長!あんたいつからいたんだよ」

「今来たとこー」


声をかけらるまで俺は族長が後ろにいたことに気づかなかった。

水道橋のことを考えるのに集中してたからか、足音すら聞こえなかった。


「それより、レクリエーションの準備ができたよー」

「レクリエーションってなにするんだ?」

「それは見てからのお楽しみー こっちだよ。ついてきてー」

「ではワシはそろそろ帰るとするかな。相棒のことはワシが見ておく。楽しんでこいローマ人」


そう言って老人は丘を降りようとする。

だが族長はそれを引き止めて言う。


「あぁ待って待って。あなたがいないとこのレクリエーションできないんですよ〜」

「ワシが?こんなおいぼれが居ないとできないレクリエーションって、あなた何するつもりだ?」


族長は老人に耳打ちした。

すると老人は納得したように頷いた。


「なるほど。確かにそれはワシが適任のようだ」

「引き受けてくれますー?」

「もちろんだとも族長。ワシの弓の腕、見せるとするか」


そう言うと老人はどこかへ行ってしまった。


「アイツどこに行ったんだ?」

「訓練場だよ さ、ボクたちも行こーか」

「おいちょっと待てよ!食べ過ぎて動けねぇんだよ!聞けって、おい!」


族長の足は歩き出したら止まらない。

俺の話も聞かずに行ってしまう。

仕方ないから、重い腹を引きずって族長を追った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ