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暴君ネロの2度目の治世  作者: Kaiser
即位・ゲルマニア編
12/34

ゲルマニア

2日目以降は特にトラブルもなくメディオラヌムでの観光は終わった。

昼は宝石などを買ったり、劇場に行き、夜は浴場や食堂に行って楽しんだ。

オクタウィアに謝ることもできたし、一緒に楽しむこともできた。

結果的に今回の旅行は大成功だった。


旅行が終わったら次は皇帝の仕事だ。

最前線で国境を防衛する兵士たちを激励しに行く。


今向かっているのは未開の地、ゲルマニア。

森に潜んでいる蛮族共が、いつ奇襲してくるかわからないような場所だ。

危険な場所だからオクタウィアには直接ローマに戻ってもらいたかったんだが、護衛隊を半分に分けるのは危険ということで、一緒に来ることになった。

まあ俺たちが行くのは軍隊の野営だから、襲われることはないと思うが、少し心配だ。

そんな俺の心配も知らずにオクタウィアは馬車の上で爆睡している。

ここに来るまでの船旅で相当体力を持っていかれたようだ。


しばらく馬車に揺られていると、壁で囲まれた巨大な野営地が見えてきた。

野営地が見えてきたところで、護衛隊長が鈍い声で呼びかけてくる。


「ネロ様、起きてください。野営地が見えてきました」

「俺は寝てねぇよ。寝てんのはオクタウィアだけだ」

「あぁ、目を瞑ってるから寝てるのかと」

「悩んでんだよ。激励ってな具体的にすりゃいいのかなって」

「えぇ……なんにも考えずに来たんですか?」

「本命は旅行の方だったからなぁ。正直言ってゲルマニアに行くことも、昨日まで忘れてたし」

「ははは……兵士たちのことも考えてあげてください……」

「そうだな……」


無難に演説でもしようかと思ったが、兵士たちのことを考えたら、もっと彼らが喜ぶことをした方がいいかもしれない。

歌を歌うのはどうだろうか?

俺は歌にはかなり自信がある。

前世ではグラエキア(ギリシャ)で開かれた歌の大会で何度も優勝したほどだ。

前線じゃ歌を聞く機会もないだろうし、いいかも。


兵士たちをどう喜ばせるか考えていると、野営地の方から5人、こっちに向かってきた。

4人は真紅のマントを羽織り、手には長槍、頭には目立つ大きな羽飾りをつけた兜を載せている屈強な男達だ。

1人は金細工と勲章で飾られた鎧に身を包み、薄ら笑いでこちらを見てくる初老の男だ。

初老の男は多分あの野営地の将軍だろう。

前情報で聞いていた“顔が長い”という特徴も一致している。


男は隊列を止め、馬から降りると俺の側まで来て、片膝をつく。

そして少し間を置いて口を開く。


「お待ちしておりましたネロ陛下。お目にかかれて光栄です。この度はわざわざこのゲルマニアの地に足を運んでいただきありがとうございます」


声は、顔や体つきからくるイメージよりも低く、逞しい声だ。

それほど大きな声ではないが、よく聞こえる。


「申し遅れました、わたしは第4軍団マケドニカの将軍を努めます、カトゥスと申します」

「よろしく将軍。早速だが野営に案内してくれるか?」

「もちろんです。どうぞこちらへ」


カトゥス将軍に続いて野営地の中に入ると、すごく幅の広い道があり、そこに兵士がたくさん並び敬礼していた。

中央には軍の本部とも言える建物、プラエトリウムが建っている。

プラエトリウムは将軍の住居としての役目もあり、内装にはその将軍の趣味が反映される。

どうやらカトゥス将軍は動物が好きみたいだ。

猫や犬、はもちろん、驚くことにワニが入った檻も置いてある。


「将軍、聞いてもいいか?あれはワニだよな」

「さすがネロ陛下、若いのによくご存知で。この子はわたしがアエギュプトゥス総督だった時にナイル川で見つけたんです」

「動物が好きなんだな」

「そうですね。妻に先立たれて、息子は従軍してますから寂しくて……失礼、本題に入っても?」

「んー。動物のことについてはまた後で聞こう」


カトゥスはコホンと咳払いをして、ひと呼吸をいてから、さっきまで笑顔でワニの話をしてたのと同じ人とは思えないほど緊張感の表情で話す。

本当にさっきまでワニの話をしてたのと同じ人とは思えない。


「実はここ最近、ゲルマン人共の戦い方が変わりまして、以来苦戦続きで兵士達の士気も下がっています。街での被害も増えているとの報告もあります」

「つまり俺が兵士たちの士気を上げればいいんだな!任せろ、皇帝の歌を聞かせてやろう!」

「ちょっ……ちょっと待ってください」


意気込む俺をカトゥスは手で制した。


「なんだよ。歌っちゃだめなのかよ」

「いえ、士気も上がると思いますし、とても良い案だと思います。ですが根本から解決しなくては街の被害は抑えられないでしょう」

「つまり、ゲルマン人共と決着をつけるってことか?」

「はい。そのために援軍お送っていただきたいのです」

「援軍?そんなに苦戦してるのか?」

「はい。今のままじゃどうにも」


カトゥスは真剣な表情で俺を見る。

声や口調からも彼が本気なことは痛いほどわかる。

でも俺は、カトゥスが言っていることが信じられない。


前世の俺の治世下で、ゲルマン人がこんなに問題になったことは1度もない

大部分のゲルマン人は先代のクラウディウス帝の時代に打ち破られ、俺の時はその残党が残っているだけだった。

それにマケドニカには6000の兵士がいる。

普通援軍なんてなくとも勝てる。


不自然な援軍要請は反乱の前兆だ。

反乱を企むやつは、兵力を増やすために多くの軍のを自分の指揮下におさめたがる。

援軍要請はその口実にはピッタリだ。


ただ前世ではカトゥス将軍が反乱を起こした事はない。

俺以外の人間は、俺が影響を与えない限り前世と行動を変えることはないはずだ。

だとしたらカトゥスは本当のことを言っていることになるが、そしたら今度はゲルマン人の強さが説明つかない。


「将軍、援軍を送る前に1つ聞いていいか?お前さっき、ゲルマン人共の戦い方が変わったとか言ってたよな。具体的にどう変わったんだ?」

「以前はあの巨漢を生かした力攻めが多かったんですが、最近では弓を使った一撃離脱の戦法をとっています。奴ら機動力があって、矢に耐えられるような盾を持った歩兵では近づけません。かといって機動力の高い軽装歩兵じゃ矢の的です」

「重装騎兵は?機動力もあって矢にも耐えられるだろ」

「そう思って重装騎兵に追撃させたんですが、3日経った今も帰ってきません。日没には帰還するよう言っておいたので、おそらくもう……」


そう言ってカトゥスは肩を落とした。

断言はできないが、この反応を見る限り、カトゥスが嘘をついていることはなさそうだ。

だとすれば異常なのはゲルマン人共の方だ。


前世のゲルマン人とは明らかに何かが違う。

きっと俺の転生のせいで、ゲルマン人共の身に何かが起こったのは間違いない。

なにが起きたのか、俺自身の目で確かめる必要がある。

2月にストリートファイター6に新キャラのエドが来ますね。PVを見てみたんですが、もうカッコいいのひとことに尽きます!!

ルークとかケンとかガイルの新コスとか、今回のキャラデザはカッコイイ系で攻めてきますね。

ラシードとAKIの新コスも待ってます。

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