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暴君ネロの2度目の治世  作者: Kaiser
即位・ゲルマニア編
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出発

あれから1週間が経ち、ついにゲルマニアに行く日になった。

外に出てみたら、すでに護衛兵の列と、すげー立派な馬車が整列していた。


それに加えて市民のお見送りまである。

市民は口々に「頑張ってくださいネロ様!」だとか「陛下、必ず無事に戻ってきてください!」などと言っている。

俺はそれに応えて「必ず生きて戻ってくるぞ!」と声高らかに宣言する。


「ネロ様万歳!皇帝陛下万歳!」


俺が馬に跨るとネロ様万歳コールは一層加速した。

ものすごい高揚感だ。


「凄い大歓声ですね陛下。みんなゲルマニアでの陛下の勇姿を期待してるんですよ。もし本当にゲルマニアに行くならの話ですけどね」

「本当の目的がメディオラヌムへの旅行だと知ったら、この歓声は罵声に変わるだろうね。『ネロ様くたばれー!』とかね」

「……お前らほんっとに嫌なこと言うよな!別にいいだろ、ちゃんとゲルマニアだって行くんだし」

「私は構わないけど民衆がなんて言うかねー」


高揚感に浸っているところにブッルスとセネカが水をさしてきた。

この2人は俺がいい気分になってると、必ずそれを邪魔してくる。

前世からそうだった。

まぁ確かに目的はメディオラヌムへの旅行だけど。


でも俺が2人にこの計画を打ち明けた時、2人ともすんなり受け入れてくれた。

ブッルスは「オクタウィア様と旅行ですかいいですね!」って言ってくれたし、セネカに至っては「そういうことなら留守の間は我々に任せなさい。ルキウス、君はオクタウィアを楽しませることだけ考えるんだよ」というなんとも頼もしい言葉をくれた。

2人とも内心では応援してくれてるんた。


「そういえばオクタウィア様の姿が見えないようですが?」

「あいつはもう昨日のうちに極秘で出発した。今はここからかなり離れた宿にいるからそこで合流する予定だ」

「あぁなるほど。確かに元老院がオクタウィア様にローマを離れる許可を出すとは思えませんからね。でも大丈夫でしょうか?メッサリナ様のこともありますし……浮気を疑われてしまうのでは?」

「心配すんな。俺もすぐに合流する。そしたら浮気を疑う奴なんかいなくなるだろ。わかったら早く俺の馬の前からどけブッルス。お前のせいで出発出来ねぇんだよ」

「これは失礼しました」


ブッルスがどいたので、俺は剣を抜いて天に向かって振り上げ「これよりゲルマニアに向かう!」と叫ぶ。

そう言うと護衛兵と馬車の隊列がゆっくりと進み出し、

フラミニア門を潜ってローマを出た。


ローマを出てからフラミニア街道を北上し、途中でメディオラヌムに向かう支道に乗り換える。

そこから2時間ほど北上したところで、オクタウィアのいる宿に着いた。


「おーいオクタウィア!俺だ、着いたぞ」


宿の外から大声で呼ぶ。

少し待つとオクタウィアが焦った様子で出てきて、ピョコピョコ駆け寄ってきた。


「大きな声で呼ばないでください陛下!私がこんなところにいるなんて、ローマの人たちに知られたら白い目で見られちゃいます!」

「大丈夫だろ」

「大丈夫じゃありません!私の母は悪名高いメッサリナです。疑われちゃいますよ……」


出発の時にブッルスも言っていたことだが、本人もかなり気にしているらしい。

オクタウィアの母親のメッサリナは夫のクラウディウス帝が不在の時に重婚し、それが原因で処刑された皇妃だ。

しかもメッサリナはその前から浮気を繰り返していたようで、客人と寝たりもしてたらしい。


そんな奴の娘ということで、ローマ市民がオクタウィアにむける視線は冷ややか。

1人で秘密裏にローマを離れたことを知られれば、すぐに浮気を疑われてしまう。

ブッルスとオクタウィアはそれを危惧していたのだ。


「そんなに心配なら俺のそばを離れるな。そうすりゃどこにいても、少なくとも浮気は疑われねぇよ」

「……わかりました陛下。じゃあ陛下も私のそばから離れないでください」

「お、おぉ」


多分ロマンチックな意味で言ったんじゃないんだろうけど、それでもオクタウィアの口からそんな言葉が聞けるなんて思ってもなかったぜ。

だけど悪くないな。

オクタウィアも今言った言葉を思い返して恥ずかしくなったのか、手で顔を覆って馬車に乗り込んでしまった。


オクタウィアも馬車に乗ったので、俺たちはメディオラヌムを目指してまた進み出す。そのはずなんだけど、なぜか俺が前進の号令を出しても隊列は全く進んでくれない。

何回か号令を出した後、護衛隊の隊長が俺のところに来てこう言った。


「『俺のそばを離れるな』なんて言っておきながらオクタウィア様を馬車に乗せて自分は馬で行くんですか?そりゃないでしょ陛下。ちょうど馬車も2人乗り用なんですから……ねぇ?」

「つまり俺も馬車に乗れと?」


隊長は無言で頷く。

よく見ると隊長だけでなく周りの兵士たちも無言で頷いている。


「わかったよ!乗るよ!」


俺はオクタウィアの隣に乗り込み、もう1度前進の号令を出すと、隊列はようやく進み始めた。

http//twitter.com/kaiser1683

ネロ「つまりTwitter始めたからフォローしろと?」

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