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転生案内

作者: 灰
掲載日:2023/05/20

気がつくと、履歴書と業務経歴書を持って列に並んでいた。


なんだこの状況は?事前にあった事を思い出そうとしても何も思い出せない。そう言えば、履歴書を持っていた事を思い出し、藁にもすがる気分で確認してみる。

職歴の最後が目に入った。


「20xx年10月 流行り病の治療中に罹患、過労もありそのまま死去」


漠然とした予感はあったが、自分は死んだらしい。それは仕方ないとして、現状は?履歴書と業務経歴書は誰が作成したのか?

と混乱していると、郵便局や役所などによくある番号を発券する機械が目に入った。どうやら、番号を取るための列だったらしい。

流されるままに、自分の番が来た為、券を取る。その瞬間目眩がし、気づくと別の場所に居た。


カウンター席と待合い席。良くある造りの構成だが、誰も待っている人は居ないようだ。


機械音声が、次の番号を読み上げる。

「10001番の方、カウンターまでおこし下さい」

自分の番号を見て、同じ番号である事に気づく。何がなんだかわからないが、自分の番らしい。慌ててカウンターに向かうと、スーツを着た初老の女性が居た。


「どうぞ、お座りください」


女性に促されるまま「よろしくお願いします」と言いながら、席につく。

正直、未だに混乱は治まっていない。

現状把握の為、目の前の女性に質問をしようとすると、それより早く女性が発言を開始した。


「混乱されていると思いますが、端的に説明させていただきます。ここは、生前の善行と悪行を元に、今後どうするかを決定する為の機関です。所謂、天国と地獄、輪廻転生、閻魔大王の裁き、最近だと異世界転生と考えていただくのがわかり易いかと」


今時は閻魔大王の裁きもお役所仕事なのか?と何となく現状を把握した所で、質問する。

「死後の道先案内人といった感じですか。履歴書と業務経歴書はいつ誰が作成されたのですか?」

女性は、慣れた感じで答えを返す。


「一々、各自に作成いただくと時間が掛かり過ぎますし、判断役も全てを把握するほど暇でも全知全能でもありません。その為、最初の絞り込みとして、履歴書と業務経歴書は自動生成し、内容に応じたカウンターに割り振っています」


死と同時に自動生成出来るのか。生きていた頃の世界で同じ事が出来たら重宝しただろう。

「因みに、ここには私だけのようですが」


「その前に、自動生成された書類を確認していただけますか?もしもご自身の認識と相違があれば、調整と再度対応する部署の選定が必要になりますので」


そう言えば、死因以外はほぼ読み飛ばしていた事に気付く。

「時間がかかるかもしれませんので、待合席で読んだ方が良いですか?」

と確認する。


「この場所へ来る方は稀ですので、このままで結構です」


稀なのか。だから自分以外居らず、番号の下1桁が"1"だったのか?お言葉に甘え、そのまま内容確認を続ける事にした。


確認が終わり、問題が無い事を伝える。その間、別の人が来る事も無かった。自分はそんなに稀な評価を受ける要素があるのか?評価基準が解らず、不安になる。


「では、このまま受付させていただきます。こちらでは、以下のような選択肢が選べますので、ご一読下さい」


そう言って何やら一覧表を渡される。

内容は…

・神になる

・虚無になる

・希望通りの新しい世界を創り、希望通りの設定から人生を開始する

等。

なんだこれは?内容が極端過ぎて、頭に入ってこない。


「一例ですので、希望にはできるだけ応じます。ベースを選択し、思った様に変更する事も可能です」


女性はそう言ってくれるが、選択肢がおかしすぎる。これがチート転生か?それにしても限度がある。こんな待遇を受ける様な人生を送ってきた記憶が無い。何か間違いがあるのでは?

困惑していると、女性から補足が入る。


「この内容は、過去の生で積んだ善行や悪行も含まれます。あなた様の場合は、過去の善行の貯蓄が限界を超えており、基本的にはほぼどの様な希望でも通る状態です」


過去の貯蓄とか言われても、実感も記憶もなく、意味不明である。一小市民には荷が重すぎる。

「貯蓄出来ると言う事は、普通に次の生を送る事も可能なのでしょうか?」

発言を聴き、今まで全く表情を変えなかった女性の顔が一瞬曇ったような気がしたのは気のせいだろうか?


「可能です。過去のあなたはいつも同じ選択をし、結果が現在の善行数になっています」


死後の選択肢が毎回同じか。流石は自分。小市民が似合う。

「であれば、今回も同様で。一から普通の人生を望みます。重過ぎる責任は勘弁してください」

女性も慣れたものなのか、その後の手続きはスムーズに進んだ。




「はぁ、結局今回も先延ばしなのですね」

一人残された女性は、独白する。

「何度転生すれば、神としての自覚を取り戻して下さるのやら。私が代わりを務めるのも、そろそろ限界が来ているのですが。かと言って腐っても神。本人が覚悟を決めて下さらないと、無理強いをする訳にも行かず…最初に気分転換に転生を許可したのは誰ですか。八つ裂きにしても物足りない」


神(代理人)の悩みは尽きない。


リハビリがてら。今後も偶には書いていきたい所です。

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