気付き
午後。ショッピングモールのカフェにて。
サバンナとパンタナは優雅なひと時を楽しんでいた。
パンタナは先ほどスケボーを買い、広場で乗るのが待ち遠しいと言った顔だ。
自分はと言うと……。
「物思いに耽るなんて。お前らしくないぜ」
「え? ああ。もう来てたのか。気付かなかった」
注文したナポリタンが目の前に。
いつ来たのだろう。
パンタナはクルクルとパスタを巻いている。自分もカルボナーラにすればよかった。
失敗だったかもしれねえ。
「男? 女? どっち?」
「そう言うんじゃないよ。ホントだって」
怪訝な顔で訴えてくる。
「まあ、気になる事があったのは事実だけど。騒ぐほどの事じゃない。聞きたい?」
「食べながら話すなんて下品な方。全く。育ちが知れますコトよ。サバンナちゃん」
クルクル巻き付いたパスタを含みながら言われても……。
自分はここ数日の事を話した。
「相当なもんを拝んだようで。羨ましいね。今度俺も一緒に帰ろうかしら」
「夜遅くまで待ちたくないよ。吹奏楽って遅いだろ」
「なら入ればいい。弦が切れたギターなら貸し出せるぞ」
「それじゃ、意味ないだろ。時間的に。……もしかして、ただの勧誘だったか?」
パスタを頬張りながら語る。
友人に相談する。大切な事だ。確かな友情が成せる事もある。意外にも。
「それで。何だったかな」
「さっき、その2人を見かけたんだ。デート中だったよ。羨ましいよ。ホント」
「羨ましいなら声を掛ければよかったじゃないか。恥ずかしい?」
「それは。……ダメだろ。普通」
「ダメなもんか。機会がある時に手を伸ばせ」
「他人事だと思って適当言ってんじゃねーよ」
「いいや。俺ならするね。『よかったら今度お茶しませんか?』ってね」
「いや、無理だr……お前ならやりかねん。なんて非常識な奴なんだ。流石は俺の親友だ」
「分かってるねぇー。グランド幼馴染」
昔馴染みのノリで話は進む。
参考にするには勇気がいるが。機会が合ったら試してみるか。
「まあ、でも。話して気付けた事もあるんじゃないか? 俺は陰ながら応援するだけさ」
「別にそう言うんじゃないんだって。最初に言ったろ」
「気づけよ。本音に。心に間違い何てないんだから」
パンタナはパスタを平らげた。
「……その言葉。決まってると思ってるだろ」
「カー! 俺。カッケェー!」