昼食
昼休み。教室で。
少年サバンナは昼食を。
いつものグループに交じり。
過ごす。
ボー。と見つめる先には彼女が。
カロリーメイトのような固形物を(クッキーかも)。
いつもああなのか。
それとも。今日に限った話なのか。
彼女はつまらなさそうに。
昼休みを過ごしていた。
自分が見た。彼女の意外な一面。
似ても似つかない。
ほんとに。あの時の彼女は。この彼女と同一なのか。
もしかしたら。見間違えただけなのか。
別人だったのか。
脳裏に刻まれた彼女の笑顔が。どんどん曇っていく。
「話しかけてみよう」
歯を磨き。話しかける。
昨日。避けられた為。少し気まずい。何を話そうか。全く考えていなかった。
だけど。脳裏に刻まれた。あの光景の答えが知りたくて。
考えるより先に。
体は動いた。
彼女は歯を磨き。いつもの様に読書に励んでいた。
昨日読んでいた作品とは違う作品だった。
「昼飯は。いつもそんなんなのか?」
食べきれなかったのか。彼女が食べなかった分の紙パックを目で捉え。語る。
「そうだけど」
読書に集中したまま。答えた。
彼女にとっての優先事項は読書のようだ。
器用なもんだ。
「そういうの。あんまり食べたこと無いけど。うまいの?」
「……」
「……今度食べてみるよ」
知らないなら食べればいい。そう言いたげな沈黙に。自分は押しつぶされそう。
「昨日はごめん。もしかしたら。自分の見間違えだったかも。頭ン中モヤモヤするから。謝っとくよ」
謝って終了。それで自分と彼女の因果は断ち切る。それがベストだと判断。
しかし。意外にも返答があった。
「何が? 別に間違ってないけど」
ページをめくる手が固まり。
前髪に隠れた黒く濁った。鋭い双眸が自分を捉えた。
「……」
今度は自分が黙ってしまった。
まただ。
何かが彼女を刺激した。
昨日と違うのは。何が彼女を刺激したのかが分からない所。
意外だったのは、話の流れ。彼女なら軽く一言。「そう」と答えるだけ。
そう読んでいた自分のペースは彼女により狂わされた。
彼女が何を言いたいのかが。あまり読み取れない。
つまり。なんだ。自分の見たモノは間違いでは無く。
彼女。黒曜と隣の男はそういう仲。って認識でOKって意味なのか。
昨日は教えてくれず。今日は口が軽い。
彼女の性格が読み取れない。ダメだ。深く考えないようにしよう。
「い。いや、それでも。深く踏み込み過ぎる質問だった。悪いと思っているよ」
「そう」
彼女はまた。読書を再開した。
これ以上。自分も話しかける気力もなく。
前を向き。次の授業の準備を始めた。