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第13話『新キャララッシュ(マジで忘れていい)』

「待たせてすまんな、儂で最後か?」


 音も無く、気配も無く。コンテナの影からすっと男が現れる。


「……ししょー、あたし、それなりに警戒をしていたんですけど」


「ああ、オレもきょろきょろしてたんだけど……」


 オレも麻子ちゃんも、円卓騎士となり目に見えぬ『覇気』とか『気配』とかを、ある程度感じられるようにはなっていた。

 あ、いや、今のは物凄く格好つけた表現をしただけで……『なんかすごいヤな感じ』とかをこの前より察する力が増しているだけだ。

 それだというのに、この男が近くに来るまで、全くその『なんかすごいヤな感じ』を感じる事ができなかったのだ。

 コツコツ、と靴音を鳴らしながら男がこちらに歩いてくる。


「それ以上近づかないで。紋章を見せなさい」


 モードレッド卿が上擦った声でそう言った。


「ああ、見えるかの?」


 男……かなり年老いた男は、服を捲り、腹部の太陽の紋章を見せる。鍛え抜かれた身体が見えてオレは息をのんだ。老練、老成……そんな言葉ばかりが浮かぶ。


「ランス・アレクサンダー。円卓因子はランスロット。よろしく頼む」


 そう名乗った男は、立派な白髭と短く切り揃えられた白髪をしていた。身なりや所作も美しく、隙の無い姿勢を一切崩さなかった。


「本名まで名乗る必要は無いわ。ふん、ランスロットか」


 モードレッド卿は一定の距離を保ちながら、ランスロット卿を見る。


「ランスロット卿……」


 オレでも知っているレベルの円卓騎士。アーサー王を除けば、その知名度は間違い無く一番。ある程度のオタクなら『ランスロット』と言う単語にいくつものキャラクターを連想する事だろう。

 アーサー王伝説では諸説は色々あるだろうが……最強または最優の円卓騎士として描かれる事が多い。

 先程、音も無く表れた事から考えると……おそらく、この場で最強の円卓騎士。この陣営のエースはランスロット卿で間違いは無いはずだ。


「これで全員ね」


 モードレッド卿が偉そうにこの場にいる全員に話しかける。モードレッド卿はランスロット卿に自身の紋章を見せつつ、自己紹介を行った。


「分かっていない人が多そうだから一応説明するけれど……円卓騎士は基本的に集団で行動する事により力を発揮する。なぜなら円卓心機の効果が他の円卓騎士の強化になっている事があるから――創成」


 モードレッド卿は何もない空間から淡い暖色の光を放つ。次の瞬間、モードレッド卿の手には小剣が握られていた。


「精霊加護クラレント。これが私の円卓心機……他の円卓騎士の傷を瞬時に癒す事ができる。何故か自分自身には使用できない。つまり、私一人の単独行動はあまり意味が無いという事」


「モードレッド卿……」


「何よ」


「えんたくしんきって何ですか……?」


「そこから!?」


「だ、だって! ここにいる三人は一般オーディション枠だし!」


 ※魔凛の独断と偏見による一方通行オーディション。


「魔凛から何か聞いて無いの!?」


「一度に説明すると理解できないからって、省かれたんです」


「あの女、絶対面倒になったわね……!! 円卓心機っていうのは、ええと……円卓因子によって選ばれた円卓騎士が持つ、固有の武装の事を言うのよ」


 イラつきながらモードレッド卿は説明してくれる。コイツ説明役向いてないな……


「アーサー王伝説に登場する財宝、マジックアイテム、アーティファクト。それらが円卓心機として円卓騎士に配られるのよ。これで理解できるわよね?」


「え、あ、うーん。まぁ……大体……」


 横にいるベディヴィエール卿がオレにこそっと話しかける。


「必殺武器みたいなもんじゃないかしら、知らんけど。ちなみにうちのゴルちゃんは円卓心機よ」


「へぇ、そういうのもあるのか」


 モードレッド卿はジトっとした目つきになりながらオレ達を見つめる。


「詳細や理屈はどうでもいい。円卓心機を使えれば何でもいいわ……話が逸れたわね。とにかく、そういった都合上、私達は単独行動をあまりするべきではない。この双極円卓大魔法陣において、二対一は圧倒的に不利だと思ってもらっていいわ」


 確かに、モードレッド卿の回復の話を聞く限り、二対一だとかなり不利なのは分かる。もし相手の能力を知っていたと仮定するなら、オレだったらモードレッド卿がペアで動いていたらその場から逃げ出すだろう。チートは抜きにして。


「だからまず、情報交換をしましょう。それぞれの能力を教えて頂戴」


 理にかなっている行動だ、とオレは納得する。

 ま、オレの場合はチートより強いものなんて無いから、オレの円卓心機の情報なんていくら話しても別に構わないからな。


「これが、味方か……」


 ここにいる全員が双極円卓大魔法陣における暁陣営の円卓騎士。オレはそう呟いて、集結した味方を一人ずつ見る。

 チート持ちの三〇歳。鳥巣一貴。円卓因子は『トリスタン卿』

 良い子中学生。麻子・ブルストロード。円卓因子は『アーサー王』

 クソデカ狼を操る一般参加女性。辺出美ひろ子。円卓因子は『ベディヴィエール卿』

 寡黙な鎧騎士。本名不明。円卓因子は『ガラハッド卿』

 イヤミな回復役。本名不明。円卓因子は『モードレッド卿』

 最強の剣士。ランス・アレクサンダー。円卓因子は『ランスロット卿』

 ……この六人の円卓騎士で、アーサー王伝説を紡ぎ、希求を叶える物語が――


「残念でした~♪ おじさん達はここで終わりで~す♪」

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