第一話 第三次世界大戦後
急にSF小説が書きたくなって書き始めました。
サイト初投稿です。
2025年、第三次世界大戦が勃発し、20年後に終結した。世界は欧米を中心とした〇〇陣営と、中露を中心とした△△陣営に分かれて戦った。20年にわたる戦いは結果和睦に終わったが、実質は中露側の勝利であった。敗戦国のひとつ、日本には莫大な賠償金が課せられた。日本の人口は約4500万人にまで減少し、一人当たりの納税額は収入の半分を超えた。
そこで戦後の新政権は公娼制度を復活させた。この制度によって得られた収入に、仲介業者は通常の法人の三分の一以下の税金しかかからず、個人の報酬はひかぜいとした。
国家はセックスワークは健全な労働であるとの大々的的なキャンペーンを打ち、セックスワーカーに対する差別や偏見を「禁止」した。
しかし、政府の主な目的は、外貨の獲得であった。公娼制度によりセックスワーカーとして「認可」され三箇月以上の労働経験を経た人間は、海外へ「生殖技能者」として医療系の就労ビザが取得できる。これには期限があり、二年までしか就労は許されていない。契約を延長する場合でも、必ず一度はビザの再取得に日本に帰国することが条件である。
これには人身売買であるとの非難や抗議が世界中から殺到したが、それを受け入れる国も少なくなかった。そのうちのひとつが韓国と中国である。韓国は日本と同じ陣営の敗戦国で、やはり重い賠償金を返還する方法を模索していた。韓国は日本の公娼制度を参考に、自国でも公娼制度を導入する計画を進めていた。
また、日本以上に人口が少なく、国土も小さい韓国では、資源もマンパワーも何もかもが不足していた。なおかつ、家制度がアジアの中ではまだ根強く残っていた韓国では、戦争によって男女比が大きく崩れ、未婚かつ子供のいない女性の数が未婚男性の数を大きく上回っていた。そこで、裕福な家では、この制度を使って日本人男性を韓国に呼び、子孫を残すためのただの種馬として使った。
「生殖技術者」には避妊する権利があるが、その権利を行使するかしないかは本人の意思にゆだねられていた。
女性が妊娠に成功すると、契約終了前に正式に「婿」として迎え入れる家も少なくなかった。
もう一つの隣国、中国は勝戦国であり、もともと戦争前にあった男性余りの問題が戦争で解決した。だが、今度は農村での若者不足が問題となった。第四次世界大戦中に、都市戸籍と農村戸籍の制度は撤廃され、多くの人口が都市へ流れた結果、農村の過疎化が進んだ。若者のいなくなった農村では、村人たちから金を集めて、日本の男女を一組「買い入れる」ことが流行した。だが、その日本人男女が夫婦になるわけではなく、それぞれに現地の男性や女性に対して性労働をするのである。一人っ子政策ももはや遠い過去のものとなった中国では、戦争によって失った家族を取り返そうとするかのように女性たちは積極的に妊娠を望む女性が多かった。戦勝国であるため食糧不足もなく、国からの戦死者の家族には遺族年金が入り、また出産には国からの補助も出て、女たちは安心して子供を産むことができてた。そして、同じ村の顔見知りの男性の子供を妊娠するよりは、どこの馬の骨ともわからない、同じアジアの敗戦国である日本の男の方が都合がよかった。また、海外輸出用の性労働者は事前に美容整形手術を受けていることが多かったので、単純に若いイケメンとセックスすることを楽しむ女性がいたことも事実であった。
そして韓国や中国で生まれた子供は、韓国人や中国人の子供とほとんど見分けがつかなかった。たまに背が低いとからかわれる子供もいたが、韓国でも中国でも、性労働者を招聘する時にバイヤーに、男性は背の高い個体がいいと注文することが多かったので、金銭的に余裕がない場合はその条件を諦めることもあったが、背の低い子供が余れる確率は非常に低かった。
そしてこの物語の主人公、ケンは、中国で生まれた、珍しく背の低い「日植子」(日本人の男性が妊娠させて生まれた子供という意味の言葉)であった。
続く
続きが読みたい人がいたら続くかも……?