第6話 迷子
「油売ってる場合じゃねぇ!」
オレは、元来た道を走り出した。
走り出した。
走り出したんだけど……
なぜか、もう、日が暮れている──
「16にもなって、迷子になるなんて……オレ、ショック……」
小さく膝を抱えて座り込むが、ふと思う。
オレはイザベラを溺愛したい! って思っているけど、イザベラが望んでないのなら、オレがここでのたれ死んだ方が、みんな解決するんじゃないか。
オレはイザベラが好き。
一目惚れみたいなもんだけど。 顔が好みだし、あのツンな感じがいい!
……でも、それ以上に、心の底から、感情がある。
上辺のやつってわかるんだよなー。
先生が『大丈夫だ、オレがなんとかしてやる』っていって、無責任な感じってあるじゃん。
あの感じがリアとクリスティーネにあったんだよね。
自分のことしか考えていない、お気楽で、オレのことをなーんも考えていないってやつ。
オレのためっていって、全然オレのためにならないやつ。
そして、あの、ハンナの腹黒さ……!!!!
アレは相当だったな……
なんの恨みがイザベラにあんのかわかんないけど、マジで、キツい。
オレのこと、ハンカチ以下の道具としか思ってない。絶対。
この世界じゃ、イザベラだけだ(女子限定)
オレのことを本当に心配したりしてくれてたのは、イザベラしかいなかった。
だってさ、リアなんか、廊下で待ち伏せしてたけど、オレの部屋には来なかったわけだし。
もしかしたら騙されてんのかもしれないけど、でも、イザベラになら、騙されてもいいな。
それぐらい、あったかい目をしてた。
色は氷みたいに冷たい色だけど。
でも、誰よりも温かかったな。
「……はぁー……寒くなってきたし、腹も減ったなぁー……」
見上げた夜空には天の川が流れている。
無数の流れ星も見え、この世界は願いが絶対成就する世界なんだと思ってしまう。
「小説って、ご都合主義だかんなぁ……。まー、みんなが幸せで、平和なら、いっか!」
自室ですごしていたように、盛大にひとり言をしていたら、後方から枝が折れる音がする。
思えばオレは、この世界のことを知らなすぎる。
夜になったら魔物がでる設定は、正直、ヤバい。
ヤバいぞ!!!
その可能性を今頃になって気づくとは……バーカ、オレ!!!
後悔先に立たずとはこのことだ。
オレは覚悟を決めて、振り返る。
「誰だ、そこにいるの! これでもオレ、1回死んでるからな! 負けねーぞ!!!」
オレなりの意味のない強がりだが、怖い。膝が震えてる。
こんなに震えることってある……?
もう、震度8はあると思う。体験したことないけど!!!
目の前が一瞬、明るく照らされた。
眩しさに手をかざしたとき、声がする。
「ライン、ハルト……様?」
オレはこの声を間違えるはずがない。
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書くのが初めてに近いもので、悪役令嬢モノ、色々教えていただけたら嬉しいです。
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