表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/7

第5話 オレの物語

 オレは小さく首を振った。

 イザベラとはまだだと、いう意味だ。


「やっぱり、そうですよね……私なんか……」


 茶色のドレスの袖で、彼女は涙を拭うが、オレは身をこわばらせていた。


 ──この女、演技だ。


 オレは知ってる。

 このタイプの女を知ってる。


 オレのことをいじめた、あの女と同じ匂いがする………


「でも、イザベラ様は本当に冷たい方で……私は腹違いといえど、彼女と血のつながりがあることが、本当に恐ろしくて……」


 そうきたか。

 ちょっとややこしいけど、間違いなく、王子騙されてる系じゃね?

 黒幕、こいつだろ。間違いないわ。


 いや、オレもイザベラのこと、なんも分かってないけどさ。

 でも、最後だからってわざわざベッドまできて、オレが起きるまで待っててとかって、冷徹な人間はしないと思う。

 確かに言われたことは冷徹だったけど!!!

 いや、あの突き放した感じ、めっちゃよくない!?

 デレさせたいよね!!!!! ゲームのしすぎって言わないで! でも、あるじゃん、そういうギャップ萌!


 ……だってさ、オレがうずくまって、愚痴ったとき、本当に心配そうに手を差し出してたから。

 あの目は、嘘じゃない──


「今日はまだ時間があるから……えー……」

「どうされました、ラインハルト様? ハンナはいつも、ラインハルト様の心のそばにおります」


 ハンナって人なのね、君。また泣いてるし。でも、それ、ダウトー!

 女って女優っていうけど、マジ、こんなのいるんだよね。怖……

 よし、嘘泣き女とは付き合ってられんから、もう少し歩くか。


「最善策を考える。少し、出てくるよ。待っててね、ハンナ」


 オレが言うと、彼女はようやく笑った。

 だが、心の底から馬鹿にした笑いだ。

 ハンカチで隠したつもりかもしれないが、オレには頬の歪みでわかるんだよ。



「……いきなりガゼボで現れるって、あそこ、逢引の場所だったのか? キモいな、マジ」


 庭園を抜けると、小さな森が現れる。

 だが道は整備されていて、ちゃんと歩けるようになっているようだ。

 オレはものは試しにと、歩くことに。


 虫っぽい妖精や、美しい蝶々を眺めながら歩いていると、小川がある。

 オレは小さく息をついて、小川の横に腰を下ろした。

 緩やかな水面に映った顔は、見慣れないイケメンだ。


 小さく草をむしり、オレは考えをまとめていく。


・明日がオレの誕生日(王子)

・明日は、婚約者から、正式に妻にする人を決める日

・婚約者は、リア、クリスティーネ、イザベラ

・今日、イザベラと婚約破棄し、ハンナを婚約者とする予定だった


「……ってことは、明日は、リア、クリスティーネ、ハンナとし、イザベラを追放する予定だった、とか……?」


 オレは気づく。

 気づいてしまった。


 この本の主役は、オレじゃないってこと。


 そう。

 オレの物語は、明日までしかない、ってこと!!!!

楽しんでいただけたら、“☆”や“いいね”で反応いただけると、嬉しい&勉強になります。

書くのが初めてに近いもので、悪役令嬢モノ、色々教えていただけたら嬉しいです。

感想はとっても嬉しいですし、割烹でも構いませんので、勉強させてくださーい!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ