第8話: 白、再び
また、病院へ逆戻り――……。
私は、いったい……何をしているのだろう……。
同じことの繰り返し……。
そんな事を考えているうちに、看護士さんが来て私は病室に案内された。
「此処が、貴女の部屋よ? ……じゃあ荷物は此処に置いとくから」
看護士はそう言い、私の部屋から出て行った。
案内された病室には、ベットが5つ在るそんな部屋だった。
私のベットは一番隅っこの外が見える所だ―――
私は自分の荷物を持ち、窓の外を見、思った。
此処は白色だらけ……黒いところなんて一つも無い。染みも、汚れも無い。
純白―――。
綺麗な場所――。
憂は外の景色から目を逸らし、シーツを見た。
シーツを撫でながら思う。
白い――……
病院だから、あたりまえよね。
当たり前なのに、何故私は不思議に思ったんだろう…。
まぁいっか……、そんなに悩む事じゃないし。
私は、ふと紗夜の事が頭に浮かんだ。
紗夜も、病院で生まれたのだろうか……。
そのときは一緒に眠っていたのだろうか…。
そんな紗夜への想いが私の頭の中を駆け巡った。
今、そんな事を思い浮かべても、当の本人は答えてくれない。
聞いても、問いても絶対に―――教えてはくれない。
私はなんで、それを知らないの?
どうして? どうしてなの?
「誰か……答えてよっ……!」
憂の悲痛の声は、木と風の音によって掻き消されていった―――。




