表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い箱  作者: 旭日葉乃
7/23

第6話: 偽り

  「全てを教えてあげる。」

 紗夜は静かに呟いた。でも、何かが、゛あの時と゛違う。

 なにか企んでいるような、楽しんでいるような―――。

  そんな気がしてならない。


  「でも、一つだけ最初に言うけど。」

  「……何?」

  「あたしが今から話すことは、すべて現実よ? 偽りなんかじゃない……。

  それをよ~く頭の中に入れて置く事ね? そうしないと貴女は……ふふ。

  狂ってしまうもの――。まぁ、このことを聞いた位で変わりはないわ。」


  「どっちにしろ同じって事じゃない…」

  「まぁ、そうね。あんたの言う通りだわ…」

  私は一言間を開けて言葉を紡いだ。

  「で、話してくれるんでしょ?」

  紗夜は私の言った事に対して鼻で笑う。

  

  「ふーん。あたしが話してあげると言っただけで、あんたは直ぐ調子に乗るのね? 憂?」

  「はぁ?……ばっかじゃないの? 」

  「ふふふ。違わないでしょ?でも、忘れないで? 全ての鍵を握っているのはあたしだって

  事を……いい?」

  「……。」

  

  「じゃあ……貴女が待ちに待った物語しんじつをあたしが話してあげる。」

  そう言って紗夜は微笑んだ。


  紗夜は静かに息を吸い私の顔を見た。

  

  紗夜が話そうと唇を動かしたそのとき……。

  いきなり、電話が鳴り響いた。

  まるで、話を聞くなとでも言うように―――。


   そして、電話の音が止み私は、紗夜の方に視線を戻した――…

  

  すると、そこにはもう紗夜の姿が無かった……。



  まただ。いつも紗夜は肝心なところで居なくなってしまう――……

   話すって言ってくれたのに……。

  私はそんな思いを胸に抱き、部屋を出た。


 紗夜はその光景を何も言わず、木の枝に座り見つめていた。そして――

  

  「貴女が真実を知るのはまだ早すぎる……。

     もう少しだけ……時間を頂戴?

   真実を知った時、貴女はどんな顔をするのかしら? 嘆き悲しむ? それとも……狂喜に踊る?

 貴女の、その時の顔が見物だわ? それまで、精々(せいぜい)あたしを楽しませてね? 憂?」


  紗夜の最後の一言は闇の中へと消えていった。

  

   

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ