第4話: 人影
玄関のドアを開けると、そこにはあの時と、あの毎日と変わらない風景が私の瞳に写った。
「ただいまーー……って誰も居ないよね」
私はそんな事を言いながら、荷物を自分の部屋に置き、荷物の整理をしていた。
「えーっとこれは、こっちで……」
ダンボールの中身を分別しているとき、何か硬い物が指に触れた。
……なんだろう?
私はその長方形の物を取りだした。……本? なんで、本が……?
その本の中を開いてみると、それはアルバムだった。
アルバムの中には小さい頃の私や母が写っていた。
「写真? ……懐かしい。」
私が写真に見入っていると、ふと疑問が浮かんだ。
なんで、紗夜が写っていないの? どこのページにもいない……。
本当に、私と紗夜は双子なの?
双子なら、一緒に居ても良いはずなのに……。
それに、なんでいまさら、紗夜が私の前に現れるの?
もしかしたら、紗夜と私は血が繋がっていないのかもしれない……
物事があまりにも、出来すぎている――……。
もしこれが、紗夜や誰かが仕掛けた計画で、お母さんが殺されたとするならば……
ううん。どっちにしても、アレは犯罪。許されない事―――。
私の頭の中に色々な疑問の渦が廻る――
はぁ……私の考えすぎかも……。
明日、叔母さんに電話してみよう。私達の事を―――。本当の事を――。
私はそのアルバムを元在った場所に戻し、荷物の片付けを再び始めた。
その様子を黒い影が憂をじっと見つめていた。
口元に笑みを浮かべて―――。




