第18話: 声
彷徨の病室のドアを開けると、そこには彷徨が居て、何事だというような顔をしていた。
「!?」
「……どうしてっ!……これは、どういう意味!?」
私は今朝の手紙を彷徨に見せた。
彷徨に見せても、口をパクパクしているだけで、何も言ってくれない。
「…なんで、いつも答えてくれないの!?」
彷徨はベッドから近い棚に手を伸ばし、その上に置いてある紙とペンを取り何かを書き出した。
『…その言葉の通りだよ。憂ともう手紙をやり取りしない……』
「言葉の通り?……それじゃあ、理由にならないじゃない!!……それに、どうして紙に言葉を書くの?」
『それは……』
『よく聞いて憂。…俺は声が出ないんだ』
え…?
その文字を、紙を見たとき、私は息も吸うのも忘れ……動けなくなった。
声が、出ない?
「嘘でしょ?……声が出ないなんて……」
『嘘じゃない……本当のことなんだ。出そうと思っても、かすれた声や赤ん坊のような声しか、出ないんだ。』
やっとわかった。食堂で逃げるようにして私の横を通り去った訳も……。
全て……辻褄が合う。
私は、顔を彷徨に向けて見てみると……。
彷徨は辛そうに笑っていた。私は痛々しくて見てられなかった―――――。
憂は彷徨に近づき、抱きしめた。優しく……彷徨が安心するように。
「……っ!?」
「なんで……そんな顔で笑うの? 辛いなら辛い―――苦しいなら苦しいって言えば言いのにっ!!
泣けばいいのにっ!! どうして、そんなに我慢するの……!?」
今まで、抑えてきた感情が……心が、流れ出した。
俺は子供のように憂にしがみ付いて泣いていた。
一つの小さな影が窓に映った。
その影に二人は気付かない―――。
「ちっ……。邪魔ね、彷徨とかいうやつ……」
忌々しそうに彷徨のことを見て、紗夜は呟いた。
「あ…! いー事思いついちゃった♪ ……ふふっ 待ってなさいよ憂?
もう少しで……ふふ」
不気味な声を出して紗夜は二人を見つめていた。
なにか、企んでいる目で……じっと――――――。
お待たせいたしました。18話です。
久しぶりの紗夜出てきましたね……。
憂と彷徨の恋の行方はどうなるんでしょうか!?
さて、話は変わりまして…皆様は、どのキャラがお好きですか?
私は断然、紗夜ですね……(笑)
もちろん憂も好きですよ。でも、紗夜は黒が入ってますから…!(笑)
では、このへんで……。




