表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い箱  作者: 旭日葉乃
18/23

第17話: 彷徨

 コンコンッ―-―。静かな病室に、ノックの音が響く。

 「……。」

 私が何も言わなくても、無言で手紙を置いていく彼。

その姿は見たことも無いのだけど……。

 私がドアを素早く開ければ、誰もそこには居ない。あるのは、白い紙一枚だけ……

 私はそれを拾い、内容を見る。紙には綺麗な字が並んでいる。

 内容を読み終えると、私はいつもの場所―――敷きだしの中にその紙をしまう。

 引き出しの中を開けると、そこには数枚の紙が重ねられていた。憂はいつのまにか、彼と手紙をやり取りする事になっていた。

 憂はそれを嫌がることもなく、手紙を受け取り、返している。

これは、変化というものなのか、それとも――――?


 どんどん、増えていく、紙の枚数―――――。数えれば、数えるほど、笑みが増してくる……。

 ―――いつしか、私は彷徨から来る手紙を待つようになっていた。

 ノックの音が聞こえれば、私は顔を綻ばせ、すぐにドアを方へと向かった。

 

 この気持ちが、何なのか、分からない……どうして、私は彷徨がやってくると嬉しいのか……。

あと、もう一つ、分からない事がある。

 何故、彷徨は、手紙でしか話さないという事……。前に一度だけ、このことを手紙で聞いた事があるが、はっきりと答えてもらっていない……。そりゃ、私も話していないこともあるけど……。

 何かを隠しているように思う。

……この際、手紙で聞いてみるしかない。

 そう決心して、私は手紙を書いた。


 そして、その翌日―――。

ドアのところに行くと、紙が挟まっていた。

 紙!!

私はその紙を拾い、恐る恐る、開いた。

  『憂へ、 今まで君に話さなかったのは……訳があるんだ。

  ……でも、憂も俺と同じように、何かを抱えているんだろう?―――人には言えない、何かを。

  もう手紙で、話すのも今日で終わりにしよう……。

  彷徨より』


 人には、言えない何か……彷徨も? 私と同じように、闇を?

でも、どういうこと? 終わりって……何? ……そんなの嫌だ! 

 

 私は考える前に、もう体が彷徨の病室に向かっていた。

「はぁ……はぁっ……」

【三神彷徨 様】と書いてあるプレートを見て、私はドアを開けた。



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ