第14話: 歯車
私は、やっと暗闇の中で光を見つけた……暖かな、強い光を―――。
もう負けない、紗夜に対抗する力を私は見つけた。
どんな絶望も、悲しみも、私は抜け出せて見せる―――。
待っていなさいよ―――紗夜。今度、苦しむのは貴女なんだから……。
そんなことがあって、一週間たったある日―――。私は自分の病室で日向ぼっこをしていた。
気持ちいいなーー。ポカポカしてて、眠たくなる……。と、夢への道へと歩こうとしたとき突然、私は揺さぶられた。
……なっ、何!?
ふと、横を見てみると、三神彷徨が立っていた。
「……何……?」
私が言うと、三神彷徨は踵を返し、病室を出て行った……。
一体、何だったの?……まぁ、私には関係ないけど。
そういえば、三神って私と同じ病棟だったけ……。
私はそこまで、考えてやめた。……知り合って間もない、人に問いたってどうにもならない……。聞いたところで、何が分かるというの?
それも、此処は病院――――。普通の病院ならまだしも、私がいる場所は、心の――――精神の病院。……聞いたって、マシな答えを言ってくれるはずがない――――。
誰だってこんな箱の中に、閉じ込められたら、正常な人だって狂う……。『私は大丈夫』って思っていても、絶対にいつかは――――狂う。気付いたときには、もう、遅い――――。
地獄行きへの歯車は、音を立て廻り始めている――。廻り始めた歯車は止まる事無く進んで行く――…