第10話: 意味
紗夜、自分の爪を噛みながら憂の事を、言葉を思い出していた。
『私が影なら、貴女は光……
影は影らしく生きていく……
付きまとうわ、どこまでも―――』
ギリッ…
あたしに向かってあんな口を――…!
許さない―――。
「でも、クスッ。
あたしに反抗したのは褒めて上げる―――。」
紗夜は満面の笑みを浮かべる。
憂。あんたは所詮あたしの影……。
光のあたしに敵うとでも思っているの? フフッ――。
まぁ、いいわ。
「どうせ、勝つのは、このあたし。勝敗は目に見えているわ―――。
クスッ、―――。
それまで、貴女の罠に引っかかってあげる……。」
紗夜の笑い声だけがその場に響いた。
二つの糸はどういうふうに、絡まるのか、交わるのか……。
運命を変えるのはどちら――?。
紗夜に言われた言葉を思い出しながら、私は呟いた。
「影――…よく考えたものだわ……
自分を光だと言うなんて……ははっ」
笑える―――。
私の生きる意味?
そんなの決まってる――。
『復讐』 この一つだけ。
分かりきった事なのに何故、私はその事を見失っていたのだろう……。
でも、忘れてはならない――けっして。
紗夜に敵を討つまで
忘 れ ち ゃ い け な い ・ ・ ・
消灯の時間――。
私は、晩御飯を食べた後ベットに入り
瞼を閉じた……。