第9話: 崩壊
私が病院にやってきて数日後――――。
毎日のように病室に看護士がやってくるようになった。
多分、私が思うに精神を癒すためだろう…………。
いつも、同じ時間にやって来て、猫なで声で私の心を溶かそうとする――――。
心にも無い事を…………。
そんな、傷を癒す時間なんて欲しくない。
表面だけの偽りの感情なんて要らない――――。
苦しい――――。
でも、何が?
何処が? 苦しいの?
心が? 体が?
ワカラナイ…………。
自分がわからない。何を求め、此処に居るの?
私は何? 何の為に…………私は生きているの?
私の生きる意味は
何処に在るの?
「…………クス。生きる意味?
はっ、そんなの分かりきった事じゃない――――。忘れたの?
おバカさんねぇ…………」
紗夜! 私は眼を見開き紗夜の次の言葉を待った。
「あたしに復讐する事じゃなかった?
憎いあたしを…………。
やれるもんならやって見なさいよ?
フフッ…………でも無理ね。貴女はあたしの影なんだから――――。」
どう、いう事?
私の中で何かが音を立て、切れた―――――。
「ははっ……影?私が?そうね。
影は影らしく、生きていくわ? 」
私はニヤリと紗夜に笑った……。
「でも。私が影なら、貴女は光。
貴女が光なら、光らしく生きてみなさいよ?
私は、影らしく、貴女に付きまとうわ?いつまでも……」
「ふ、ふん。い、いい度胸ね。」
紗夜は一瞬たじろいでから私に言った。