8話 初めてのおつかい
3日もお休みしてしまい申し訳ありませんでした。
いつも楽しみに読んでくださっている方々には感謝しかありません。
これからも頑張りますのでよろしくお願いします。
俺は森の中、木にもたれながら木の葉から漏れる夕日を眺めていた。
お腹いっぱいだ。
まさか魔獣がこんなにも美味しい物だとは思わなかった。
生きていた頃の見た目こそ悪いが味は三元豚位はするのではないか…。
久しぶりのご馳走に興奮してしまった為ついつい食べ過ぎてしまった。
実際家では決して不味くはない母の手料理。
だが正直味気ないと言うのが本音ではあった。
前世は両親が海外生活をしていた事もあり肉が食卓に出る事は多く、その生活になれてしまっていたのか、肉に卵と言ったたんぱく質を体が求めていたのだ。
久々に満足したが塩こしょうがあったらもっと良かったなと言うのが食後の感想だ。
ただ森は危ない。
俺は月日が過ぎ5才となっていた。
その俺でも魔法を使わないといけない程巨体な体の魔獣。
正直あれ以上の魔獣は流石に5才の俺では厳しいだろう。
あまり近づかない方が良いなと言うのが俺の見解だった。
ただ、今回思ってもいない収穫があった。
剣術と魔術、これを組み合わせれる事だ。
剣に火を纏わせたり、水を纏わせ氷を纏わせたり、風を纏わせ斬撃を飛ばす事も出来るだろう。
ぼんやりとだが今後の俺の剣術スタイルのイメージが出来た。
それが出来ただけ今回は収穫があった。
それに魔獣を倒してから何故か体の調子が良くなった気がする。
体が軽くなり、数100キロはあるだろう魔獣の体の一部を軽く持てるようになった。
魔獣を倒すと身体能力が上がるのだろうか…これは要検証である。
そろそろ暗くなって来たし、帰宅しないと家族が心配するだろう。
俺は腰を上げ、来た道を戻り家路を急いだ。
家の前に着くと夕食の匂いがした。
正直まだお腹はパンパンだ。
それでも母が作ってくれたご飯だ。
無理しても食べた。
食後は父との剣術練習だ。
父はやはり強い。
だが俺も父の剣を気持ち防御する事が出来るようになった気がする。
父も、おっ!と言う顔をしていた。
だが今の俺は体調絶不調だ。
数百キロあるであろう魔物を食べた後に夕食を無理矢理詰め込んだ結果、激しい運動で戻しそうだ。
込み上げて来る食べ物と父の剣を同時に相手して俺はグロッキーになっていた。
だが父は、
「良くなったじゃないか!」
と褒めてくれた。
俺も言う割に体が動いたと思う。
力負けしていた父の剣を受け止め、少しだけ維持出来るようになっていた。
「あとは基礎能力をもっと上げた方がいいな。今のメニューより少し量を上げるか。」
父と剣術の練習をするようになってからランニングや筋トレはメニューを作られこなしていた。
最近では今のメニューも物足りなくなっており、もっとできるかなって思う様になっていた。
その日はお風呂に入って就寝。
「俺の一日のルーティーン」
・朝起きて顔と歯磨きをすると基礎トレーニング開始。
・トレーニングを終えると両親と朝食。
・家事が一段落すると母との魔術練習。
・昼食を取り、再度魔術の練習。
・読み書きの勉強。
・父の帰宅が早い時は剣術のトレーニングをし、夕飯。
遅い時は夕飯の後に剣術のトレーニング。
・お風呂に入る。
・寝るまで本を読み一日が終わる。
こういった具合だ。
5才にしてはハードだ。
だが俺は生きていれば前世では大学生。
それにどこの世界でも子供の習い事は幼い頃からさせているし、今活躍しているアスリート達の幼少期を想像するとこんな感じなのだろうとも思っていた。
俺はアスリートなのだ。
そう。
この世界の男子はアスリート並みに育て上げられる世界らしい。
父も幼少期の頃を話す時はどこかげんなりした表情をする。
俺はまだマシなのかも知れない。
俺が6才のある日母が寝込んだ。
どうやら風邪をひき、熱が出てしまったようだ。
父も仕事に行かなければならない為母を頼むと俺に任せ仕事に向かった。
すると母からメモを渡された。
「このメモに書いてある物を王都で買って来てもらえるかしら?」
これどこかで見た事あるなと記憶を辿った。
そう、誰しもいつかは経験をするだろう、初めてのおつかいだ。
俺の頭の中にあの有名な曲が鳴り出していた。
「だーれにもーなーいしょーでーふーふーふんふーふーふふん」
俺の人生で一番の遠出だ。
王都は家の近くの丘から望めるがそれなりの距離がある。
子供が歩いて行くには遠い。
ランニングで行こうと思えば行けない距離ではない。
だがそのまま走って帰って来るのは難しいだろうと言う距離だ。
父はと言えば馬がある。
ルドルフと言う黒鹿毛の雄馬だ。
時間はまだ9時と言った所だろう。
行って帰って来て夕方前かな。
そんな事を思いながら村の初めて通る道をワクワクしながら見て歩く。
丘の上の家だ。
行きはほぼ坂道。
その脇には畑や田んぼと言った風景が広がり、所々に家がある。
長閑な田舎風景だ。
その途中見知った顔の30代後半位の男性が俺に声を掛けて来た。
彼は村の農民。
名をベン・カーター。
通称ベンさん。
彼には俺と同い年位の息子がいるとの事だった。
俺がランニングをしていると顔を合わせる事があった為知っていた。
「あれ、セルヴィくん!お出かけかい?」
そうベンさんは俺に声をかけた。
「うん!王都まで!」
そう答える。
「そうかい!分かれ道を過ぎると馬車も多いから気を付けて行くんだよ!」
「はーい!」
俺はそう答えるとベンさんに手を振り王都へ向かった。
数キロ進むとY字の分かれ道があり馬車が行き来する。
片方は俺の家の方向。
片方は別の町へ行くのだろう。
産業道路と言うやつだろうと推測した。
馬車の邪魔にならないよう道の端を歩く。
歩くのも面倒になって来た為、王都方面へ行く馬車に魔法で作った植物の蔓の先に鍵爪を付けた物を馬車の荷台に引っ掛けて乗り込み、無断乗車をして王都まで送ってもらう事にした。
王都の手前までに来た所でタイミングを見計らい馬車を降りる。
「ありがとうございました」
俺は乗せてもらった馬車に一礼して見送ると王都に入る。
そこには活気があり、多くの人が賑わっていた。
様々な店があり家々も密集していた。
手には母からもらった王都の地図がある。
さて、行こうか。
俺は初めての王都に来ていた。
やはり人気のある作品と言うのはボキャブラリーがありますね。
まじめに書いてましたが少し遊びを入れて見ました。
今後ももっと面白く出来る様に頑張ります。




