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勇者に転生した俺の苦悩と葛藤  作者: KIT
異世界転生編
7/28

7話 初めての魔獣

いつもお読み頂きありがとうございます。

長期戦を覚悟で書いて行きますのでお付き合い頂けたら幸いでございます。

奴は荒い息をしながら前足を地面に擦り付けている。

体調は約2m。

巨体と頭の上にまで伸びた牙が特徴だ。

そこから想像するに突進型の魔獣なのだろう。

きっと初手は突進。

猪突猛進とも言うからな。

気をつけるべきは奴の発達した牙だ。

あれで築き上げられたら一溜まりもないだろう。


「ブォッブォ」


「ジャッジャ」


荒い鼻息と前足を地面に擦るような音が静かな森に響く。

やらなければやられてしまう。

そう直感的に悟った俺は周りに武器がないか、魔獣を視界に入れつつも周りに目をやった。

すると屈んで取れる位置に程良い太さの木の棒が落ちていた。

俺は魔獣に視線を合わせながらゆっくりと屈んで棒を取る。

そしてゆっくりとした動作で魔獣へ棒を構えた。

奴の一喜一憂を見逃さまいと奴の目に集中をしたのだ。

すると直感的に感知した。

来る!

俺はその一瞬で判断した。

思っていた通り、奴は思いっきり速度を加速した俺に突進を仕掛けて来た。

俺は風の魔術で体をフワリと浮かした。

魔獣をギリギリ避けられる高さに体を浮かし突進を避ける。

何故ギリギリなのかと言うと、回避した瞬間が俺の勝機だから。

奴の突進をギリギリの高さで回避して、奴が俺の下を通り過ぎる瞬間、思いっきり棒を上から下へ振り下ろした。

すると確かな手応えがあったのだ。

魔獣は急ブレーキをかけて止まると俺に向き直った。

どうやら全く効いていないようだ。

そう言った攻防を何度も繰り返したが一行に魔獣が弱まる気配が無い。

ダメージがないのだ。

どうやったら魔獣にダメージを負わせれるか…何度かの攻防を繰り返す中、俺は考えた。

そして一つの答えに辿り着いた。

剣術と魔術を組み合わせられないかと言う事だ。

そして俺は一つ試してみる事にした。

土の魔術で棒を鉄で覆い、先端を鋭利に加工する。


「出来た!」


殆どの真剣に近い鋭利な鉄の塊が出来たのだ。

持ち手まで鉄で覆うと不便だから持ち手は木のままにしておいた。

そして毎回のように魔獣の突進を交わしつつ、先ほど作り出した剣で魔獣の横腹に切りつける。

すると肉が切れる感触がした。

例えて言うなら食肉を包丁で切った時のような感触だ。


「ヴィィィィィ!!」


魔獣は悲鳴を上げた。

よし!効いた!

俺は奴の反応を見てグッと左拳を握りしめガッツポーズをした。

それでも奴を倒すには何度も何度も切りつけないといけない。

俺はまだ子供だ。

そう何度も何度も奴の突進を躱せる訳ではないだろう。

どうしたら最短で奴を倒せるか考えながら、だけど着実に奴にダメージを与えていった。

すると手にしていた剣を見て思ったのだ。

剣術と魔術を組み合わせたらいいのではないのかと。

そこで俺は一つの考えを実行した。

剣を無詠唱で発火させた。

ボッと剣に火が灯る。

これならいけそうかも…剣に灯る火を見て俺はそう思った。

すると火の灯った剣を見た魔獣は少し後退りをした。

動物は火を警戒すると言うのは本当らしい。

魔獣の行動を確認し、ふと直感的に悟る。

すると魔獣はより興奮した面持ちで前足で地面を擦る動作が早くなった。


「ブウォォォォぉ!!」


魔獣は今まで以上に気迫の篭った雄叫びを上げた。

思っていた以上に俺は冷静だった。

魔獣が冷静さを保てない状態にあるのは先程の大きな雄叫びでも明らかだ。

戦いにおいて冷静さを失った方が負ける。

これは格闘技をする者の常識なのである。

魔獣は猪突猛進とばかりに一直線に俺へ向かって突進をして来た。

何度も見て来た突進に目と体がすでに慣れていた。

奴の突進をヒラリと躱し、スレ違い様に火の灯った剣を魔獣に振り下ろす。

すると魔獣の横っ腹に命中し、奴の皮と肉を切った。

そこから広がる火。


「ブウォォォォォォォ!!ヴィギーヴィギー!!」


魔獣は苦しそうに悶えていた。

体中にに広がる火を消そうと土に体を擦り付ける。

それでも火の勢いは止まらず魔獣の体を埋め尽くして行く。

しばらくすると魔獣は動かなくなった。

周りには肉の焼けるいい匂いが漂っていた。

もしかすると魔獣って言うのは美味しいのかも知れない。

興味本位だった。

焼けた奴の肉を剣で削ぎ落とし一口食べてみる。

するとあまりの美味しさに俺は驚いた。

魔獣って美味しいのか…。

その新発見に俺は虜になってしまい、魔獣の肉を黙々と食べてしまった。

N.Yの最凶人物が異世界転生した結果も読んで頂けたらよりこの物語を楽しく読んでいただけるかと思います。

正反対の二人が物語を作って行来ますので、このギャップを是非楽しんで見てください。

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