6話 剣術と魔術と危険
想像以上に楽しみにして頂けてありがとうございます。
お待たせしました。
続編書きました。
俺が初めて手にした剣は木刀だ。
両親が言うには柏の木で作られたらしい。
父の木刀に比べてかなり軽い。
俺でも両手で持てば十分触れる重さだ。
試しに振ってみた感じ、そんな気がした。
「よし!早速振ってみるか?」
そう父が言った。
俺は初めて持った木刀に内心ワクワクしてた。
だから父にこう返したのだ。
「うん!!」
「よし!」
そう言うと父は自分の木刀がある所へ歩いて行き、スッと持ち上げると玄関まで行き、ドアノブに手をかけた。
「行くぞ!」
と俺に向かって笑顔で言った。
「はい!!」
と少し緊張したような声色でガタッと立ち上がりに父の後に続いて外に出た。
「よし!セルヴィ。何処からでも来なさい」
父はそう言うと、スッと木刀を構えた。
「行きます!!」
そう俺は先月をし、ぎこちないながらも後方に置いていた右足で地面を蹴った。
「えええい!!」
と気合いの入った声色を発して父に向かって行った。
父に何度も打ち込むが全て去なされる。
その後も何度か父に挑んだが、結果は全敗。
「はぁ、はぁ、はぁ。やっぱり父さんには勝てないや。」
そう言うと父は座り込む俺を見下ろして言った。
「今日から練習だな」
それから父と外に出て
それから俺の剣術を父が見てくれるようになった。
それと同じくして母から魔術を教わるようにもなったのだ。
父は剣術。
母は魔術。
俺の英才教育はこの時から始まった。
この頃から両親の俺に対する育て方の口喧嘩…と言うより俺をどうするべきかの真剣な相談が行われていた。
「セルヴィは魔法使いにすべきよ!だって才能があるもの」
「いや、セルヴィは剣士にさせたい。男は剣士になるべきだ」
なんて両親が日々口論をしている。
俺は前世を思い出していた。
剣術は剣道とかあったが魔術はなかった。
魔法はハ○ーポッターなど観てたりしていた為、実在しない空想の物だと思っていた為憧れは強い。
アバダケ○ブラ…何て魔法があったならば怖くて仕方ないが…やはり現代人には憧れの一つではあるだろう。
そんな日々は続き、剣術も魔術も両親が教えてくれるだけ上達していった。
魔術は精神を使い、剣術は体を使う。
難しいが覚えれば覚えるだけどちらも楽しいのだ。
そんなある日父と剣術の稽古を昼から夕方までした日に父がふと俺に言った。
「なぁ、セルヴィ。俺は…一番隊隊長をしてるんだが、俺とまともに剣を高め合える奴がいなくてな…そんな状態では俺の剣は衰退していく一方だろう…正直もっと…もっと高めたい。父さんはもっともっと強くなりたいんだ。お前と母さんをずっと守ってやりたい」
夕陽を見ながら父は俺にそう言った。
正直魔術も剣術も面白い。
俺はどちらも学びたいのだ。
だが父が言った言葉の先には随分と遠い何かを眺めているような気がした。
遠い誰かを見ているようなそんな目。
「すまん。お前にグチを言う気はなかったんだ。ただ、父さんにもどうしても超えたい物があってな…」
そう言った父さんは悲しそうな…それでいて何処か遠い目をしていた。
俺は正直鈍感な方だと思っている。
特に異性に対してだ。
それは前世からそうであり、自覚症状なのだから仕方ないし直しようもない。
だが、同性の感情、苦悩、後悔…そう言った物には敏感なのだろうと前世から思っていた。
だからなのか、口から声が出た。
「ねぇ、父さん。僕、早く強くなるよ。頑張って頑張ってすぐに追いつくから」
そう言うと父は驚いた顔を見せた…がすぐに笑顔で答えた。
「ああ!楽しみにしているさ!」
次の日、昼から母と魔術の練習をしてた。
魔術の練習をし始めた頃は詠唱を先ず覚えるように教えられた。
我を照らせトーチ、我を潤せウォーター、我を温めよファイアー、我を扇げウィンド、我を守れサンド、我を囲めリーフ、我を隠せダークネス。
光、水、火、風、土、木、闇全ての系統の魔法が発動出来た。
母は天才だと称賛した。
母曰く、全ての属性の魔法を出せる事はそうそうない事なのだと言う。
それから魔術の練習は続いた。
父と剣術の練習をするのと平行して魔術も学んで行く。
今では初級魔術師レベルの魔術は習得出来た。
この覚えた魔術を無詠唱で出す事を今練習している。
母は毎日のように凄い凄いと褒めてくれるから嬉しい。
それに現代日本から来た俺には新鮮過ぎたし、こんな便利な物ならいくらでも習得したいと思った。
無詠唱は詠唱して出した魔法の感覚を覚える事。
大体は一度詠唱しただけで覚えられるが数も嵩張り、感覚の取得が難しい魔術は習得するにも少し時間がかかっていた。
俺も毎日剣術や魔術漬けの日々ではない。
両親曰くやりすぎは良くないとの事で週に2回、休みがあった。
その為たまには家から離れた場所に出向くこともあった。
散歩と言う名の周辺探索だ。
俺の家は町から少し離れた高台にある。
近くの丘から町が見えるのだが、田舎の第二都市レベルの大きさだ。
その内行ってみたいなと思った。
家の周りは中々田舎で自然が多い。
森に農作物を育てる田んぼ、畑、そんな長閑な村であった。
ある日、少し興味本意で森へ入ってみた。
俺は都会育ちだった為、こういった深林にはあまり馴染みがない。
だからこそ興味を持った。
テレビで虫取りとかしているのを見て、子供ながらに憧れたものだ。
この日もカブトムシとかクワガタとかいるのかなとワクワクしながら森に入った。
見渡す限り木、草、木、草。
せめて果物位生ってたらいいな…そんな事を考えたら楽しくなり、鼻歌まじりに森を奥へ奥へ進んでいった。
すると突然違和感を感じた。
風の音でもない、人の息遣いでもない、異様な気配。
その気配のある方へ顔を向けると紫掛かった異様に口の牙が発達したイノシシのような者が荒い息を吐きながら俺を睨んでいた。
新しく「NYの最恐人物が異世界転生した結果」と言う物語始めました。
勇転とN最の二つで連載していこうと思います。
勇転は正統派ヒーロー伝。
N最はブラックヒーロー伝。
そちらも平行して読んで頂けた方はきっといい事ありますよw




