28話 10年の修行 -セルヴィ編- ②
更新遅くなって申し訳ありませんでした。
お仕事をしながらなので遅れる事が今後もあるかとは思いますが、長い目で見て頂けると幸いです。
エレベスタ山の一件から半年後、俺達は帝国東側にあるニューヨーキー辺境王都にあるキルウィル火山にやって来ていた。
目的は勿論熱耐性を獲得する為である。
「ロドメンソンさん、ここかなり熱いですね」
「ああ。火山だからな」
俺達はその火山を登山していた。
登山する俺達の横にはマグマの川が流れ出ており、グツグツと煮えたぎっていた。
その為気温はかなり高く、計測機と言う物がない為何度位あるのかはわからないが体感だと恐らく50℃以上はあるだろう。
前世の日本の夏で一番熱い気温を体験はしているがここまでの熱は感じた事がなかったのだ。
しかもそれなりの急斜面を登っている為、体力も使う。
その為最初の頃は急激に体力を奪われた。
その都度自分でヒーリングを掛けたりして体力を回復させて行くと段々と慣れて来たような感じがする。
これが熱耐性が付くと言う事なのだろう。
「うむ。態勢付いて来ているな」
とロドメンソンさんは言った。
ロドメンソンさんはたまに嫌な目をする。
まるで俺の全てを見透かしているような目だ。
そういう目をする時は大体能力向上の話しをする。
ロドメンソンさん曰く、スキルを上げると相手の能力がわかるらしい。
俺にはまだ見えないがその内見えるようになるだろうとの事だった。
それが見えるようになれば戦えるか戦えないかの判断が出来るのだが、俺が感じたようにこのスキルを使うと相手に不快感を与える。
これもスキルの話しにはなるが、ステータスを見られている事がスキルを上げるとわかるようになるようだ。
自身のステータスを見られる事をレジスト出来るスキルもあるらしい。
そういった特訓は後で良いとロドメンソンさんは言っていた。
その為俺はまだそういった芸当は出来ない。
今は魔剣術の鍛錬と耐性獲得をするべく修業をしているのだ。
「この辺りはレッドドラゴンの巣があるらしい。遭遇しなきゃいいけどな。
逸れならまだしも群れで来られたらたまらん」
「そういうフラグ立てるの辞めてもらえます?」
「フラグ?どういう意味だ?」
流石にこの世界では「フラグ」と言う言葉は理解されないらしい。
逸れドラゴン一体とは最近も戦ったが、あれよりも強いドラゴンだと俺ではどうにも出来ない。
しかも逸れはそう簡単に発生しない。
基本的にドラゴンと言う生き物は集団生活をする生き物であり、自ら巣を離れようとする個体は少ない。
そう考えると半年前のアイスドラゴンはレアなのだ。
何故なら自らの巣の近くにいた。
しかもかなり最近発生した奴だ。
普通逸れは群れの移動時に発生する。
その為巣とは全く違う所にいるはずなのだが、生息地として知られる山脈にいたのだから寧ろ自ら巣を出て来たのかも知れないのだ。
そんな事を考えられるまでに熱耐性が出来ている。
そして俺達はキルウィル山山頂へ近付く。
「そろそろ限界かもな」
とロドメンソンさんがつぶやく。
「坊主。マグマに入れ」
「はい?」
ロドメンソンさんのいきなりのビックリ発言に俺は目を白黒させ聞き返す。
「耐性スキルってのはな、多少の耐性なら直ぐに獲得出来るんだ。だが完ストするには命を脅かす位のダメージを受けないと完ストってのは難しいんだ。命を脅かすだけでも完ストってのは難しいんだが次期勇者のお前だ。多少死に掛ければカンスト出来るだろう」
何かサラッと怖いこと言ってるのわかってるのかな?
俺はこの時、この先の事が凄く不安になった事を思い出した。
「本気で言ってますよね?」
「ああ、勿論だ」
「…なら…わかりました」
そう言うと俺はグツグツと煮え滾るマグマの川の方へ向かって行き、恐る恐る足先を煮え滾るマグマへ入れてみる。
「ぐわぁぁぁぁ!!」
すると足先が溶けてなくなっていた。
「まぁ最初はそんなもんだ」
と言ってロドメンソンさんが俺に治癒魔法を掛ける。
すると無くなった足先が蘇る。
「さ!もう一丁!」
俺は足先から再度マグマに入って行く。
「くっ」
痛みは一瞬だ。
途中からはもう麻痺して痛みなどは感じなくなっていた、
「そろそろ上がれ!」
とロドメンソンさんが俺の襟を掴んで上に上げる。
俺の意識は既に朦朧としており、朦朧とする中自分の下半身を見る。
ぼんやりと腰から下がなくなっているように見えた。
ロドメンソンさんが治癒魔法を掛けると体は元に戻り下半身の感覚も意識もはっきりしてくる。
「ちょっと死にかけてたみたいです。すみません」
「いや、そう言うもんだ。だがさっきよりはマシになっているはずだ。もう一回行けるか?」
「…はい」
俺は起き上がり、再度足先からマグマに入って行く。
すると先ほどよりも苦痛が少ない事を感じた。
胸の辺りまで入っても何ともないのだ。
だが数分そうしていると徐々に下半身から身体がなくなって行く感じがするようになった。
俺は段々と沈んで流され始める。
するとロドメンソンさんがマグマに入って俺の襟を掴み上へ引き上げる。
そして再度回復魔法を掛ける。
俺は気付かない内に胸の下辺りまで溶けてしまっていたようだ。
そしてロドメンソンさんが嫌な視線をし出し俺の身体を見る。
「よし!熱耐性完ストだな。もうマグマに入っても海やプールに入っているような物で泳ぎ回れぞ!」
そう言われても俺は入りたくないと思ってしまった。
下手したらトラウマになってしまうレベルかも知れない。
強くなる為には生半可な覚悟ではなれないだろうとは思っていたが、雪山も火山も中々の地獄で正直勇者を辞めたくなった。
そんな気持ちの沈んでいる俺を気使ってか、ロドメンソンさんが声をかける。
「俺達がこうしている間にも魔王の支配に苦しんでいる者がいる。その人達を救うには今のままでは無理だ。わかるな?」
「はい。勿論です」
「わかっているならいい」
そう言うとロドメンソンさんは下山中何も話さなかった。
俺も言葉が見つからず、そのまま下山をした。
その後、アトルンタ辺境王都へ帰りいつも通りの修行の毎日が始まる。
俺は俺以上に苦しい思いをしている人がいる事がいると思う事にして、更に良くなって守ってあげれるように毎日毎日努力したのだった。
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大変勝手な事ですみません。
一時休刊します。
N最が終わったら更新始めようと考えています。
申し訳ございません。




