26話 魔獣出没
更新遅くなって申し訳ありませんでした。
作者の精神状況だったり休みの関係で遅くなってしまいました。
その代わりとびっきり面白くなりそうなネタを仕込んだので、喜んで頂けると幸いです。
たまにこう言う事もありますが、長い目で見て頂けると幸いです。
翌日、俺は実家にいた時のルーティーンを行っていた。
朝のランニング、終わると剣術の練習、朝ご飯を食べて、妹と一緒に魔術の練習、一旦休憩を入れて、これは今までしていなかったが魔剣術の練習をして夕飯を食べ、父との稽古をし風呂に入って寝る。
そんな時間が俺にとっては懐かしく、心安らぐ時間であった。
この期間が終わると俺達は魔王大陸へ向けて旅立たねばならない。
その為、この時間をゆっくり過ごしたかった。
片田舎の静かな草原の中で淡々と訓練をする。
微風が涼しく、火照って汗をかいた肌を優しく冷やす。
ずっとこの時間を過ごしたくなるようなそんな時間を過ごすのであった。
そんな時間を過ごしていた3日目昼、事件が起きた。
「魔獣だー!!魔獣が出たぞー!!」
昼食時、家へ向かってヨタヨタと足の覚束ない様子で、近所の農民のベンが走って来た。
そしてグレディ家に着くと家の前で息を切らしながらへたり込んでしまった。
俺達は人の気配を感じた為、家の扉を開けるとそこには息を切らしへたり込んだベンさんを見つけた。
「ベンさん!どうしたんですか?」
「…魔獣だ。…魔獣が…出たんだ」
と息も絶え絶えにベンさんが答えた。
「何処に!?何の魔獣です?」
俺は更に質問をした。
「蜘蛛だ。…大量の黄色い蜘蛛の魔獣だ。うちの近くの…緑光の森から出た」
俺が一瞬入り込んだ事がある森だ。
この森は村のそばにある森で、それなりに広い。
黄色い蜘蛛の魔獣がいたかどうかは定かではないが魔獣が村に出ると言う事は殆どなく、かなりレアな事態なのだ。
「一体ですか?」
「いや、何十体もだ。村が襲われているか…最悪王都も襲われるかも知れん」
それだけで判断するのは十分だった。
異常事態だ。
俺は一足飛びに村へ向かった。
恐らく母も妹もベンさんも消えたと思う程の速度で村へ向かった。
村へ向かうと数体の黄色い蜘蛛の魔獣が家屋根へ上っているのを発見した。
大きさは全長3m程の大蜘蛛である。
俺は剣を抜き、屋根の上にいる蜘蛛の魔物をファイアを纏わせた剣を縦一線に振り下ろした。
見えるはずもない、軽いはずもない、切れないはずもないのだ。
それにも関わらず黄色い大蜘蛛は長い前足で俺の剣を受け止めたのだ。
「ま、まさか…!!」
現勇者ですら切れない蜘蛛を誰かが切れるはずもない。
俺は事の重大さを認識した。
そして手加減はしていられない事も悟ったのだ。
そして目を凝らして良く見た。
種族名:パンクトリウム
個体名:ユダ
Lv.135
「ビュッ…ビチャ…シュー」
そこまで魔獣のステータスを読んだ所で、大蜘蛛の魔物の口から毒が俺に向かって吐き出された。
俺は避け、毒が地面に落ちると毒が落ちた部分が溶けだした。
驚くべきは毒が酸性である事ではない。
魔獣の癖に名前があるのだ。
これは野生ではなく、飼い魔獣である印である。
修行中にロドメンソンさんから教わった事の一つである。
更に驚く事はこの魔物、自分がステータスを読まれた事に気付いた事である。
大体の物は自身のステータスを見られている事すら気付かない。
そう、先日のミリアンのようにである。
だがこの大蜘蛛は自身のステータスが読まれている事に気付き毒を吐いて妨害した。
自身がステータスを読まれている事が気付ける者はその者自身も相手のステータスを読めるスキルを有する者に限る。
つまりこの大蜘蛛は相手のステータスを読める。
相手のステータスはそう容易く読めるようにはならない。
少なくともこいつは複数のスキル持ちである事は間違いない。
それが数十体もいると考えたら、早くどうにかしないと大惨事では済まないのだ。
俺は剣に魔力を込める。
すると察知したか、周りにいた3体の蜘蛛もユダと名前のある蜘蛛の元に集まり俺の目の前には大蜘蛛が4体となった。
村に極大魔法をぶっ放す訳にもいかない為、一旦逃げるふりをした。
その背中に蜘蛛が俺のステータスを読むような気配を感じた為、俺は妨害スキルを発動しステータスを隠した。
だがその一瞬で俺は野放しにしてはいけない存在とわかったのか、大蜘蛛が4体俺を追って来た。
流石にLv.100を超えた位の魔物では俺には追い付けないが追い付けそうな位の速度で俺が走っている為大蜘蛛は飛び跳ねながら追って来る。
程良い距離まで村を離れた事を確認して俺は立ち止り、大蜘蛛へ向き直った。
そして魔力を剣に込め、一足飛びに大蜘蛛へ向かって行った。
その俺に反応出来たか、一匹の蜘蛛が俺に向かって尻から糸を吐いた。
俺は剣にファイアーを纏わせて、蜘蛛糸目掛けて縦一線に剣を振り下ろす。
ファイアーイーグル。
すると火を纏った剣から炎で構成された鷲が蜘蛛の糸を燃やしながら大蜘蛛へ向かって行く。
炎で構成された鷲が、本来同様捕食者として蜘蛛に大口を開けて飛んで行き命中する。
「ドゴォォォン!!」
大蜘蛛は燃え上がり、苦しみに悶えているようだ。
他の3体の蜘蛛はファイアーイーグルを避け、横へ散らばった。
そして俺から見て右側の森に入った蜘蛛が木陰から糸を出し、俺を狙って来る。
その糸の先目掛けてファイアーブレイドを放つ。
命中したのか、二つとなり、火の付いた胴体が地面に落ちるのが薄らと見えた。
そしてこのステータスが見えるスキルの良い所は、一度見えた物は消えないと言う所だ。
左側に避けた二匹の蜘蛛がこちらの様子を伺っている。
左側にいるのがユダだ。
俺もどういう事を仕掛けて来るのかまだわかりかねる部分があった為、剣を構え蜘蛛の様子を伺う。
するとぼんやりとユダの身体が青白く光り出す。
「まさか!」
俺の嫌な予感は的中した。
俺の足元に金色の魔法陣が浮かび上がり、その魔法陣は青白い光で発光し出す。
俺は地面を蹴って飛び上がり、その魔法陣から離れる。
するとその魔法陣の上に黒い煙が渦を巻き出し、森の一部の木を飲み込んで行く。
魔法だ。
ブラックホールと言う中級魔法。
魔法を使う魔獣がいる事も聞いていた。
だがこんな村に出るような魔獣ではない。
そもそもが飼い魔獣だ。
こんな事をする黒幕と言ったらこの世界には一人しかいない。
そう。
これから俺達が倒そうと向かうべき最終地点にいる者。
魔王である。
こんな辺境地にLv.100以上の魔力付きの剣でも切れない魔獣で、しかも魔法も使えるとなってはこの辺境伯領がなくなる可能性もある。
俺はこの10年、毎日毎日辛い修行をして来た。
------回想---------
修行が始まって最初の頃、俺は既に強力な魔術と膨大な魔力を有していた。
「うむ。坊主に今足りないのは技術って所かな」
「技術…ですか」
確かに俺は剣術が下手だと思う。
父にはやっと一太刀浴びせられるかどうかなのだ。
「剣は実戦だ。俺の剣から技術を盗め!さ!来い坊主!」
ロドメンソンさんは剣を構えて俺の攻撃を待ち受ける。
「行きます!」
この時、俺とロドメンソンさんが構えていたのは刃のない剣。
剣の形をした鉄棒だ。
その後何年もロドメンソンさんにぶちのめされた。
ぶちのめされる度にヒーリングなどで回復し、再度闘いを挑む。
日に50回以上ぶちのめされた日もあり、もうやりたくないと思った事も何度もある。
その度に頭を使い、技術を盗み、毎日ロドメンソンさんに立ち向かって行った。
実戦の合間に座学もした。
スキルを上げる為の熟練度上げや、新たなスキル獲得を目指し、灼熱の溶岩地帯に行ったり、極寒の地へ行ったり、天然の毒ガスが発ち込める地帯に行ったりもした。
その度に死にかけたりもしたが、その度に回復魔法で回復してもらいスキルも多く獲得した。
その辺りの魔獣と戦うよりもロドメンソンさんとの練習はレベルが上がる。
修行中に魔獣と遭遇して闘ったりもしたが、ロドメンソンさんと戦う以上に技術は必要なく、力で押し切れば楽勝に勝てた為差ほど得る物はなかった。
修行3年目、帝国北部にある雪山エレベスタ山の山頂付近。
俺は耐寒性を得る為に来ていた。
「坊主!もう寒さは平気か?」
「ええ!きっと耐寒性スキルは完ストしましたよ」
先にいるロドメンソンさんが2m程後ろにいる俺に聞き、俺はその問いに答える。
「なら長居は無用だ!山頂の小屋で休憩したら直ぐに下ろう!」
「分かりました!」
吹雪が吹き荒れる中、俺とロドメンソンさんは今後の行動について話した。
すると吹雪が更に強くなり、ホワイトアウトのような状態となり2m先のロドメンソンさんの姿が見えなった。
すると雪の上に何か大きな物が落ちたような音がした。
そして雪が晴れて行き、ロドメンソンさんの姿が見えた…が、その先には青白い色の体長20m程あるドラゴンが降り立っていた。
ポイントを入れて作者を応援しましょう。
評価するにはログインして下さい。
感想を書く場合はログインして下さい。
ブックマークをするにはログインして下さい。
↓同作者同時更新中の作品はこちら↓
https://ncode.syosetu.com/n2722gg/




