24話 帰省
現勇者のデニス・ロドメンソンと出会いを果たした一行。
それにより10年の修行をする事となる。
10年の修行を終えた一行は、魔王のいる魔王大陸へ旅立つ前にそれぞれの故郷へ一時帰省する事となった。
俺達は10年の修行を終え、魔王のいる魔王大陸に旅立つ前に一度帰省する事となった。
俺の場合ほぼ9年と少しぶりの実家だ。
俺は馬に乗って岐路に着いていた。
乗ってる馬は勿論オルフ。
仔馬だったオルフも大きくなり、競走馬のような体格となっていた。
正直に言うと自分で走った方が早く実家には着けると思うが2日もしたら実家に着くだろうしそんなに焦る事ではない。
俺は1泊野宿をして、次の日には実家のあるパース辺境王都へ到着した。
久々の王都はあまり変わり映えはしていないようだった。
父さんに顔を出そうかとも思ったが、家に帰れば会うのだからわざわざ職場に顔を出す必要もないと思ったのだ。
丁度昼だった為、軽く食事を取るべく小料理屋に入った。
すると奥から声が聞こえて来た。
「セルヴィ?あなたセルヴィ・グレディ?」
声のする方を見るとそこには見知った顔の女性が立っていた。
「ミリアン?」
と質問し返す。
「やっぱりあなたセルヴィね。10年ぶりかしら。お父様からラボバ魔剣術学校へ行ったと聞いたけど…卒業して今は何をしているの?」
「色々あってね」
それから俺達は席について、食事をしながら学校へ入学しその後の10年の話しをした。
するとミリアンの表情が曇ったまま俯いて何かを考え、少しして喋り始めた。
「あなた勇者になったのね…。私が冒険者になった理由話してなかったわね。
私出身はここじゃないのよ。
私の出身はユータニアと言う魔王大陸にある国出身なの。
ある日私の国は魔王の配下に支配されたわ。抵抗した両親は殺された。私は行き場を失くしたわ。
そんな時拾ってくれたのが勇者一向であり、あなたのご両親だったの。
私は勇者一向としばらく行動した。
その時に戦い方を教わったの。
あなたのご両親はとても私を可愛がってくれてね。
二人が結婚する事になり、勇者の家臣を辞めた後も勇者一行、デニスさん達と行動をしたのだけれど私は幼かったし、皆の足元にも及ばない戦闘力では魔王討伐には付いて行けなかった。
私は強くなりたかった。
いつか強くなって皆と一緒に魔王討伐に行きたいと思ったの。
その為に修行の旅に出た。
先ず思ったのはバティさんとエミリィさんに会いたいと思ったわ。
それでこのパース辺境王都へ来たのだけど気に入ってしまってね。
それからここにいるって訳。
私もあれから強くなったわ。
もうゴブリンになんて負けない!
ねぇ、セルヴィ。私を家臣にしてくれない?」
俺は迷った。
ミリアンは魔剣術士ではない。
魔術師だ。
俺のパーティに魔術師はいない為いてくれるのはかなりありがたい。
が、俺は10年の修行にて新たなスキルを獲得していたのだ。
それは自分のステータスも相手のステータスも見れるスキル。
その為、ミリアンを見た瞬間「ミリアン・ジェームス」と言う名前が頭の左上に表示されていたのだ。
それに見る限りミリアンはまだまだ足りない。
皆に久しぶりに会った時、かなりのレベルアップをしていた為正直安心した。
物足りない場合一緒に旅をする中で一人だけレベルアップを人一倍しないといけないからだ。
それは精神的にも肉体的にも辛いのはわかっている。
俺達ももっともっと強くなれる為、日々レベルアップをしていかなければいけないのだ。
ただ強くなれる見込みはあるし魔術使いは欲しい。
俺は考えた後答えを出した。
「数日考える時間もらっていいかな?」
「…わかったわ」
丁度食事も終えた為、店を出た所でミリアンとは別れた。
俺はそれから真っ直ぐ実家に向かった。
実家のそばまで行くと魔力を近くから感じた。
俺が母と魔術の練習をしていた裏山だ。
そして何となく悟ってしまった俺はそこへ走って向かった。
俺は現在100mを2秒で走れる。
ここから裏山の練習場まで大体1km。
要は20秒で到着だ。
驚かせてはいけないので隠密スキルで魔力を切って気配も消す。
木陰から見ると金髪の大人の女性が見えた。
母だ。
その横には母と同じ金髪の少女がいた。
妹だ。
俺もここで練習していたのが懐かしい。
俺はそっと出て行く事にした。
スキルを切って木陰から姿を現す。
母も元は勇者の家臣だ。
すぐに気配に気付き振り向き俺を見る。
「ただいま」
そういうと一目で俺がわかったのか、母の顔がぱぁっと明るくなった。
「セルヴィ!」
俺の名前を言うと俺の元へ走って来て抱きしめてくれる。
俺もその愛に応えるようにそっと抱きしめ返す。
「元気だった?大変だったでしょ?」
「うん。嘘なしに血反吐吐いたよ」
「良く帰って来たわね…。あっ」
と何かに気付いた。
「ユミリィ!お兄ちゃんよ」
10歳になろうとしている女の子はいきなり現れた兄を見てきょとんとしている。
それはどうだろう。
10年間いなかった者が急に現れたのだから。
髪の色も違うし身内だといきなり言われて飲み込める訳もない。
ちなみに俺は父譲りの黒髪である。
「や!ユミリィ。生まれたばかりの頃会った事あるんだけど覚えてないよね」
と苦笑を浮かべながら話しかけた。
「覚えてるよ。ちょっと雰囲気変わったけど」
え…赤ちゃんの頃の記憶がある?
俺も生まれたばかりの頃の記憶ははっきりしている。
それは俺が転生者だからだ。
前世の生まれたばかりの記憶は一切ない。
俺は妹に対して一つの疑問を持った。
「そっか。久しぶり。ただいま」
と何事もなかったかのように言葉を返す。
「お帰り!せぇ兄!」
懐かしい呼び方だった。
優に呼ばれた時の事を思い出した。
優は俺の事をたまに「せぇ兄」と呼ぶ事があったのだ。
その時俺の中でほぼ推測が確定した。
ユミリィは優が転生した姿なのだと。
短くて申し訳ありません。
思い付きで余計な設定を書き出したら面白くなりそうで長くなりそうだったのでここまでにしてしまいました。
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