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勇者に転生した俺の苦悩と葛藤  作者: KIT
勇者編
23/28

23話 修行を終えて

アトルンタ辺境王都に到着した一行。

現勇者デニス・ロドメンソンと会い、それぞれの修行が始まる。

そしてそれぞれが10年の修行を終えた。

「久しぶりだね。元気だったかい?」


とクリフが言う。


「本当に久しぶり!皆も元気そうだね」


と俺はシーナやジル、クレアに言った。


「この面子が揃うのも10年ぶりかぁ!やっぱり10年経つと皆大人になったねぇ!」


とクレアが皆の顔を見ながら言う。


「本当!ぺっちゃんこだったクレアがそれなりに女らしい体付きになっちゃってるんだからね。そろそろ女の子らしくした方がいいわよ。体が大人になっても性格は全然ね」


とシーナがクレアを窘める。


「何おー!?」


とシーナの発言にクレアが少しむきになりながら答えた。


「男性陣は途中から一緒だったからね。もう見慣れたものさ」


と女性陣にクリフが言う。

そう。

男性陣は途中から合同で修業をしていた。

俺は7年間、デニス・ロドメンソンさんに修行を付けてもらっていた。

現在は師匠と呼んでいるが、その師匠との実践で勝てるようになったのが7年目。

そこから師匠に負ける事がなくなっていた。


それから1カ月後師匠は俺に「オルビーの所へ行け」と書いた置手紙とオルビーさん家までの地図を置いていなくなった。

その地図を頼りにオルビーさんの所へ行き、事情を話すと快く受け入れてくれた。

すでに師匠から話しはされていたようだ。

だが師匠がどこへ行ったのかの質問には答えてくれなかった。


それから俺達男性陣はオルビーさんの元で修業した。

とは言うが最早師匠を上回る俺が教わる事はなく、クリフとリゼルグに教える側になっていた。

オルビーさんに至っては師匠の所で習わなかった細かい魔術の事などを教わっただけであって戦闘に関して全く教わる事はなかったのだ。

その日々が3年続き、10年経った今、女性陣も修行を終え合流したのである。


皆大人になっており、女性陣は皆女性らしい体系へと成長していた。

シーナに関しては元々美人ではあったが更に美人となっており、町に歩いていたら誰もが振り返るであろう絶世の美女だ。


ジルも綺麗系な顔立ちは元々していたが、更に綺麗になり、まさにクール&ビューティと言った感じだ。

それに腰に指している日本刀からは凄まじい妖気が出ており、それなりに修行をした者であればその刀が大分ヤバイ代物だとすぐにわかるだろう。


クレアの性格は相変わらずのようだが体は年相応に成長している。

身長は皆の中で一番小さい。

150cmないかも知れないと言う大きさだ。

顔も童顔ではあるが10年前よりは随分と大人っぽくなっているのだ。

ただ胸に関しては恐らく一番ないだろう事は口にしてはいけない事である。


リゼルグはかなりいい男になった。

顔付き、性格、話し方が大分角が取れているのだ。

この3年の修行で到底俺には勝てないと悟ったらしい。

それからと言う物、俺への尊敬の心を持ち、主人として敬うようになっていた。

クリフとの関係は相変わらずでクリフの冗談に一々反応して怒っている。

だがクリフの事はライバルだと認め、現在はクリフとどちらが強いのかと言われると5試合中3勝、場合によっては2勝と言ったように実力は近郊していた。


クリフはかなり厭らしくなった。

身長も176cmと俺より2cm高い。

金髪センターパートのイケメンだ。

だがその厭らしい性格が台無しにしている所が大きい。

何と言うか…卑猥だ。


俺はと言うと…まぁ普通だと思っている。

身長も伸びた。

実力も必要以上に付いた。

後は勇者の称号を得た義務として魔王を倒すのみと言っていいかも知れない。


「さて、皆準備は整ったようだね」


俺の後ろから話しかけて来たのはオルビーさんだ。

身長は175か6。

師匠と違い、どちらかと言うと細い体系の30代前半位の男性。

男性だが綺麗な顔立ちをしており、白い肌にシルバーの長いカールのかかった。

服装は緑を基調としたベストに中世ヨーロッパ風の白いブラウス。

緑を基調とした麺のズボンに焦げ茶色の皮のブーツといった井出達である。

見るからに力技タイプではなくテクニックタイプだ。


「これから君達の旅は大変になるだろう。ご実家にもろくに顔を出せてないだろうし、一度帰省をしなさい。期間は1週間。その後コートジボール帝都で合流をしてアラビジル大陸を目指す。いいね?」


とオルビーさんが説明をした。

アラビジル大陸。

魔王が牛耳っているとされている大陸の名だ。

一度帰省した後に俺達は魔王討伐の旅へ出る。

その為にこの10年修業をして来たのだ。


「それじゃあコートジボール帝都まで繋がってる転移陣に案内する」


そういうと踵を返し、オルビーさん家の裏にある森の中へ入った。

この森は俺達も修業の為に入った事がある。

そこそこ強いモンスターが出て来る事もあるので油断出来る森ではない。

何事もなく転移陣がある洞窟の中に着いた。


「ちなみに何でこんな所に転移陣を?」


とリゼルグがオルビーさんに問う。


「この転移陣はラボバ魔術学校の地下にある転移陣に繋がっている。何もないとは思うが、もし悪用された時の為にだね」


なるほどとリゼルグが関心したように顎に手を置き、うんうんと頷く。


「この転移陣は自動発動型じゃなくて手動発動型だからね。魔力を転移陣に流し込むと発動するんだ。一度に一人だから順番にね。それでは1週間後、コートジボール帝都の外門の前で会おう」


「「「はい」」」


とオルビーさんの言葉に返事をするとジルから順々に転移陣を起動させ、ラボバ魔術学校へ転移して行く。

転移陣に魔力を流すと転移陣が薄く青白い光を発し、転移陣の上にいる物を転移先に送る。

そして最後に俺が転移すると転移した先は真っ暗だったようだ。

先に転移したジルがトーチの魔術を使って周りを照らしている。


「皆揃ったね。地下室みたい。そこに階段がある」


ジルの目線の先を見ると背後に階段があった。


「じゃあ出るか」


と俺が言い、階段の真下から上を見ると階段の先が木の蓋のような物で塞がれていた。

その蓋を強く上に押すとギィっと音を立てて空く。

階段を上って地下室を出てみるとそこは鉄格子で閉鎖された檻の中だった。

そして皆が上がって来て状況を確認する。


「ここって…檻?」


クレアがふと思った事を発言する。


「だろうな」


とリゼルグが返答する。


「グルルルルルル」


「今何か後ろから聞こえなかった?」


シーナが後ろから聞こえて来る犬科の生き物特有の威嚇声に顔を青ざめさせながら皆に質問する。

恐る恐る皆で後ろを振り返る。

そこには光る目が6つ。

俺はトーチの魔術を人差し指に発動し、ゆっくりとその生き物の身体を足下から照らして行く。

足は二つ。

黒い毛むくじゃらの鋭利に尖った爪が見え、ゆっくりと体から首へと照らして行く。

首が3つ、頭が3つのケルベロスがそこにはいた。


「「「…」」」


「グルルルル…ワ゛ン゛ワ゛ン゛ワ゛ン゛!!」


「ぎゃーーーーーーー!!」


「ステイ!!」


「キューン」


とケルベロスが主人に怒られたようだ声で鳴き、伏せをする。

俺達は声がした背後を振り返った。

そこにはミレイナ先生が腕を組み、仁王立で立っていた。


「貴様等10年修行してケルベロス如きにビビっているのか?」


「いや、いきなり目の前にケルベロスが現れたらそりゃびっくりしますよ!」


とクレアが反論する。


「何だ。オルビーから聞いておらんのか」


そう言うと檻に近付いて来てポケットから鍵を取り出し、檻の鍵を開ける。


「さ、出ていいぞ」


とミレイナ先生が言うので俺達はぞろぞろと檻を出た。

そして皆が出たのを確認して再度鍵を閉める。


「ここ学園ですよね?こんな生き物飼育してて良いんですか?」


とシーナが質問する。


「ああ。こいつはキャットと言う名で私のペットだ。転移陣を守っている」


色々とツッコミたくなったが言葉を飲み込む事にした。

そもそもドッグではないのだろうか。

そして先生に続いて歩いて行くと数日間過ごしただけの学園の中に出た。

数日間過ごしただけだがかなり懐かしい気持ちになった。


「懐かしい!」


と思った事をすんなり発言するクレア。


「本当だねー」


と同意するクリフ。


「ああ。私も10年ぶりお前達を見て懐かしい気持ちになったよ。大きくなったのだな」


とミレイナ先生が言う。

だがミレイナ先生は容姿も老けてないし何も変わっていない。

あの頃のままなのが逆に不思議な位ではあるのだ。

そのまま校長先生にも会わずに学校の外門の所まで来た。

そこにはペイトンさんが立っており、ペイトンさんは10年で人並みに老けが進んでいた。

ペイトンさんは何も言わず門を開けてくれた。


「さ、次に会うのは1週間後だ。くれぐれも気を付けてな」


そうミレイナ先生は告げると踵を返し学校へ向かって歩き出した。

扉もゆっくりと閉まり、俺達は学校の外へ出た。


「…行こうか」


と俺が告げる。


「そうだね」


とシーナが返答し、俺達は帝都の外門まで歩いた。


「じゃ、また1週間後な」


と皆の顔を見ながら俺は言った。


「うん。また1週間後」


とシーナが答え、それぞれ腰に付けていた袋に手を伸ばす。

そして中からそれぞれの馬を取り出す。

最早魔袋は普通に活用しており、クリフに関してはかなりの大容量が入る魔袋を自身で作成できる程となっていた。

そしてそれぞれが自身の馬に跨り出発する。

皆手を振り、それぞれの故郷へと帰って行くのであった。

いつもご愛読頂きありがとうございます。

勇転も着々と読者様が増えており、とても嬉しいです。

N最の応援もして頂きたいですが、勿論勇転の応援もして頂きたいと言うのが作者の本心ではございます。

どちらの作品もこれからもっともっと面白くして行きたいと考えておりますので、よろしければ評価、感想、ブクマをして頂けると幸いでございます。

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