22話 修行開始とこぼれ話
現勇者のいるアトルンタ辺境王都に到着し、現勇者に会った一行。
それにより各々10年修行をする事が決まったのであった。
「魔剣術とは、魔術と剣術を併せた戦闘方法だ。それはエミリィから教わっているな?」
「はい」
翌日俺は修行を開始した。
先ずは魔剣術についてをロドメンソンさんの口から説明を受けていた。
「剣士、弓師、槍士、ハンマー使い、ロッド使い、ランス使い、それぞれに使える術、使えない術が存在する。
なぜかはわからないが、勇者は代々剣士しか出ない。
それは両刃、片刃どちらの剣も例はあるから、それは特に問題ではないようだ。
坊主は今中級までほぼ無詠唱で術の発動が出来ると言っていたな。
お前の最高攻撃力を誇る術は何だ?」
そう言われたら思い付くのは一つしかない。
「エクスプロージョンです」
「ほう。火系の魔法なんだな。火系が得意か?」
「いえ、火系が得意と言う訳ではないですが攻撃力で言ったらそれからなって…。得意不得意で言ったら治癒系以外の魔術は問題ないです」
「勇者ってのは戦闘特化型が多いからな。歴代の勇者も治癒系は皆苦手としていたようだ。勿論俺も得意ではない。それに俺は無詠唱が使えない。そういう意味では詠唱の時間があるだけ坊主の方が術発動は早いし、詠唱で次の手がバレにくい為同等の力があれば確実に坊主が勝つだろう。
詠唱しなくて良いと言うのは強い強みだ。
これから修行を10年するが、出来る物は積極的に無詠唱での発動が出来るように努力した方がいいだろう」
「俺も常々そう思って出来るだけ無詠唱で発動出来るようにやって来たんですが、感覚を掴むのって中々難しくって何度が同じ魔術を発動しないと無詠唱で使えるようにならないんですよ」
「なるほどな。まぁ10年あるんだ。時間はあるさ。さ!話すより実戦だ。現勇者を超えてみろ!次期勇者よ!」
「はい!行きます!」
こうして俺の修行の日々が始まった。
その数ヶ月後、両親から妹が生まれたと手紙が届いた。
ロドメンソンさんも久しく俺の両親と会ってないと言う。
その為、二人で俺の実家まで赴く事となった。
修行の意味も込めて徒歩で向かう事となった。
アトルンタ辺境王都は辺境にあるからこそ辺境なのだ。
そして俺の実家のあるパース辺境王都も国の端にあるのだ。
位置的には西北に斜めに真っ直ぐ行けば地元に着く。
今回オルフは留守番だ。
オルフはと言うと大分大きくなった。
今はロドメンソンさんの家にある馬小屋にいる。
そして俺達はオルフの世話を一時的にロドメンソンさんの家臣の方に任せてアトルンタ辺境王都を出た。
この時俺は7歳になっていた。
今思ったら家臣の皆とは一度も誕生日と言うイベントを過ごしていなかった。
今年は俺の誕生日の日に合わせて両親が手紙を送ってくれた。
その時にももうお腹が大きくなって大変だと綴られていた。
それはさて置き、まだ俺が子供だと言う事で速度が遅い事が指摘された。
その為この数カ月足腰を鍛えるメニューが与えられていた。
まだまだロドメンソンさんの速度には付いて行けないが俺も100m10秒程で走れるようになった。
100m10秒と言うとオリンピック選手並みの速度で走れると言う事だ。
ロドメンソンさんは大体3秒位で走ってしまう。
オリンピックに出たら確実に誰も追い付けない記録となってしまうだろう。
100m3秒と言う事は1kmを30秒と言う事だ。
10km3分な訳だから100kmを30分で走るのだ。
だがずっと同じ速度で走れる訳ではない。
通常以上の速度で走る訳だから限界は割と早く来る。
その為休み休み行かなければいけないのだ。
結局実家に着いたのはアトルンタ辺境王都を出て7日かかった。
久し振りに帰った家は何も変わりがなく、父も母も元気だった。
数か月合わなかっただけなのでそこまで二人に変わりがない。
俺の顔を見るなり、二人は抱きしめてくれた。
そして勇者と言う人生を背負う事に二人は憐れむと言うか悲しむと言うか色んな感情が入り混じった顔で謝罪するのだった。
ロドメンソンさんを見た二人は懐かしむ顔を見せていた。
ロドメンソンさんも旧友に会えて嬉しそうであった。
この時にうちの両親がどんな人生を送って来たのか聞いたが、冒険者と言うか勇者の家臣だったらしい。
父が25才、母が23才で家臣を抜けた。
何故なら二人は愛し合い結婚をするからだ。
俺が産れる、約1年前の話し。
そういや2才の頃良く母が昔話を良くしてて、勇者とか家臣って話しをしていたように思う。
そのほとんどが惚気話しで、あの時の父がどうだったとかこうだったとか正直あまり真剣に聞いてなかったので聞き流していた部分はあるがしっかりフラグが立っていたのだ。
それを聞き逃してしまった事をこの時後悔をする。
産れたばかりの可愛い妹の顔も見て、懐かしい薄味のスープとパンを食べて、この日は珍しく鳥が丸ごと一匹食卓に出た。
一日実家で過ごし、朝起きて父と稽古をして、朝食を食べ、アトルンタ辺境王都へ帰る。
帰り際、出産祝いとして白金貨5枚程両親に渡した。
7才の俺に金を貰うのが両親の心境としては複雑だったらしい。
苦笑いを浮かべつつ受け取ってくれた。
そしてアトルンタ辺境王都へ帰り、修行を再開する。
俺の修行はまだまだ始まったばかりだ。
先に進むのも時間が足りないしまだどうしたいか自分の中で決まってないので今回はこぼれ話で話しを繋ぎました。
すみません。
次回先に進もうと思っています。
良く見てくださっている方は多いですがまだまだポイントがN最に劣っています。
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