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勇者に転生した俺の苦悩と葛藤  作者: KIT
勇者編
18/28

18話 アルペス山脈

勇者の称号を得て、アトルンタ辺境王都へ向かう一行。

学校を出て2日目。

アルペス山脈を登り切った。

今日もアトルンタ辺境王都へ向けて歩を進めるのだった。

俺達は昼食を食べ、早々にアトルンタ辺境王都へ向けて出発をした。

ほぼ岩場の山脈ではあるのだが、ミラーさん曰く珍しい薬草が自生していたりした為、薬草を摘みながら辺境王都へ向かっていた。

岩場の為馬は引いいて歩きながらの移動だ。


「ミラーさん、ちなみにその薬草なんなんですか?」


と質問をしてみる。

薬草はニラに良く似た草で、そこらの雑草とそんなに見分けは付かないのだ。


「何だ。まだ薬学はまだか?」


薬学は確かに授業にあった。

だが5日程しか学校に行っていない俺にはさっぱりであった。

魔法の使い方などは母から習った。

魔法がどういった物かなども。

だがその他はさっぱりだ。


「一応受けてはいたんですけど、何せ俺5日しか学校に行っていないので」


とミラーさんに返すとミラーさんは気の毒そうに苦笑をしていた。

その様子を見てクリフが割って入る。


「それは文字通り薬草だよ。治癒の薬さ」


クリフの説明だと、この薬草をすり潰して傷口に当てると傷口が塞がるらしい。

逆にそのまま食べても内蔵系のダメージが治癒したり緩和するとの事だった。

この世界ならではの草だな。


その他にも歩いていると色んな薬草を見つけた。

マジック草と言う名の水分の多い植物は、形はケシ科の植物の花が咲く前のような大きな蕾を持っていて、蕾の中に多くの水分を蓄えている。

その水分を飲むとMPマジックポイントが回復出来るとの事だ。

他にはプラプラ草と言う名のクタっと首が折れた雑草のような草。

この草のクタっと折れた首の先には青白い、微量の光を発した頭が付いている。

この草をすり潰すと透明な汁と出す。

この汁を薬草やマジック草に混ぜると効果が跳ね上がるらしい。

ポーション作成する際にも用いられるようだ。

薬草やマジック草、プラプラ草をギルドや露店で売るとそれなりにいい金額になるらしい。

実に勉強になる話だ。


俺達はその辺に生えている薬草などを摘みながら歩いた。

そういうとここが草原のような原っぱを想像するかも知れないが、ゴツゴツとした岩の多い山脈だ。

その為草木と言うのはほとんどないが、岩影や岩の隙間に微量ながら生えているのだ。

薬草、マジック草、プラプラ草…と摘んでいると見た事のない草が生えていた。

見た目は赤い筑紫に似ている。

が、筑紫の接合部分がやけに鋭利に尖っており、頭は爬虫類の鱗のような模様に見えた。

摘み取ってみようとした所、やけに強く根を張っているようで抜けないのだ。

少し力を入れて抜くとそれはすぐに取れた。


「それは?」


とクレアが聞いて来る。


「何だろ…知ってる?」


とクレアに聞くも、クレアが知らないと言うように首を横に振る。


「何か見つけたのか?」


とミラーさんがこちらに近寄りながら聞いて来る。


「これなんですけど…」


と先程取った変な筑紫をミラーさんの目線に出来るだけ合うように頭の上に差し出す。

ん?とミラーさんがマジマジと筑紫を見ると驚いた顔をした。


「これ、これはどこに生えていた!?」


とまさに見つけてはいけない物を見つけてしまったような形相で俺を問いただす。

俺はそこ…と言うように筑紫が生えていた場所を指挿す。

そしてミラーさんはその周辺を少し調べて戻って来た。


「不味い事になった。少し駆け足でこの場から離れよう」


と言ったのだ。

そして続けてこう言う。


「勇者が見つけたあれはドラゴ草と言い、龍種の糞尿の後に生える植物だ。滋養強壮の薬に使われたり、ポーション作成に使われたりMPポーションに使われたり生命維持系の薬に用いられる物で結構希少だ。

売るとかなりの額にはなるが、これを取りに行くには危険が伴う。その危険な理由が龍種が生息する周辺でしか生えないと言う事だ。少し先を見たら新しめの糞があった。ロックドラゴンが近くにいるらしい。見つかる前に早くここを出…!!」


とミラーさんが言った瞬間、俺達の周りから太陽の光が差さなくなり、何か大きな物の影の下になった。

まさかと思いつつも上を見上げると、大きな龍のような物が下降して来る所だった。


「散れ!早く!」


とミラーさんが即座に指示を出す。

俺達は散り散りに岩影へ隠れた。

恐らく既に見つかってしまっている。

だが諦めるのは早いかも知れない。

わずかな望みをかけて岩影へ隠れたのだ。

ミラーさんとアレンと馬二頭、ジルとクレア馬と馬一頭、俺とシーナとオルフ。

この二組と馬数頭で岩影に隠れる事になっていた。

様子を見ていると、先程俺達がいた所よりも少し離れた場所に着地した龍は体長20m以上で身体の表面がゴツゴツしている岩のようなグレー色に所々黒だったり白だったりの小さい点が入っており、正直岩場で羽で体を覆われて隠れられたら、わからない自信がある。

その位この地形に合った身体の構成になっているのだ。


それぞれギリギリアイコンタクトが取れる間隔で距離が空いている。

ミラーさんに視線を送ると手振りでステイと言う事らしい。

どうやらロックドラゴンには気付かれてないらしい。

なぜブルードラゴンを倒せる俺がいるのに隠れるのかと言うと龍種の巣の近くでの戦闘となると一体だけではなく群がって来るかららしい。

巣を守る為に仲間がやって来るのだ。

ドラゴンを見て怯えるオルフを撫でて落ち着かせる。


「毛繕いしてるみたいね」


とシーナが小声で俺に言う。


ロックドラゴンは毛繕いをしている様子で、羽を広げては自分の羽根なんだか岩なんだかわからない羽を嘴でガリガリやっている。


「うん。こう見るだけなら可愛い物なんだけどね」


と答えると、シーナはフッと笑い、そうだねと答えた。


「プォォォン!!」


と何処からか現れたもう一体の龍が空を旋回しながら吠えた。


「プォォォンフ!」


と、それに答えるように地上にいる龍が吠える。

すると大きな羽を羽ばたかせて仲間の元へ飛んで行く。

そして見えなくなった所で俺達が岩影から出て皆と合流する。


「焦ったな。何事もなくて良かった」


とミラーさんが言う。


「一時はどうなるかと思ったよ」


とクリフ。


「まだ足がガクガクしてる」


とクレアとジルが生まれたての小鹿のように足を震わせて支え合っていた。


「ドラゴンの巣位俺達で何とかなるだろ」


といつも通りリゼルグが見栄を張る。

皆がじと目でリゼルグに視線を送ると、な、なんだよ!と少しムキになる。


「さて!こんなヤバい所はごめんだ。先を急ぐぞ!」


そうミラーさんが言うと皆同意したように首を縦に振り先を急ぐ事にした。

その後何もなく山脈を越えて平地へ出た所で日は暮れていた為、夜営の準備をした。

皆初級の魔法は自在に操れる為、夜営の準備はすぐに終わった。

夕食は学校を出る時に持って来たパンと肉と少量の野菜を塩で煮込んだだけの味気のない食事だ。

ふと地元で食べた魔物の事を思い出した。

魔物が現れれば少しはこの食卓も豪勢になるんだけどな…そんな事を思いながら質素な食事は終わる。


それから俺は自主練をする。

それに付き合って皆自主練をするようになった。

時には皆が魔術を教えて欲しいと言って来たり、練習相手になって欲しいと言って来たりする。

俺も自分の魔剣術を高めたい為その合間を縫って新しい魔術の習得などの自主練を行った。


そして問題が起こった。

この世界にはあまり風呂と言う文化がない。

と言うのは平民階級の話しであり、このパーティメンバーではミラーさんを覗き、風呂に入ると言う行為が必須な部類の人間達だ。

最初の夜営準備の時に風呂担当が決められなかった為、風呂は作らないのかとミラーさんに聞いた所、風呂なんていらないだろと言われてしまった。

流石にこれだけ歩いて風呂に入らないなんて俺は考えられない。

いや、考えられへん!!

と言う事で土魔術で鉄を生成し、丸い、広めの簡易風呂を作成し、水魔術で鉄風呂に水を敷き、薪を燃やして温めて風呂を作る。

流石に皆同じお湯に入るのはあれなので、その都度お湯を捨て敷き直し薪で温めようと思ったが薪がもったいないのと温まるのが遅いと言う事で、俺が魔術で毎度温める係になった。


女性陣がいるので勿論風呂の周りには幕を設置している。

勿論覗きに行こう!などと馬鹿な事を言う者はいない。

クリフは女性は好きなようだが恋人がいたと言う話しや積極的に女性を口説き落とすような行為をしていた所を不思議と見た事がない。

積極的に言い寄られている所は何度か目にした事がある。

リゼルグはご覧の通り、花より剣術だ。

この男は3年で学年トップだっただけあって努力家だ。

俺は魔術が好きで剣術も好きだから自主的に練習したい欲が出るが、こいつは「しなければいけない」と言った感じだ。

過去に魔王と何があったのかは何となく聞かないようにはしているがいつか話してくれるだろうか。


シーナは綺麗だ。

そして凛としていて優しい。

彼女は誰にでも優しくて家族の事も大好きだ。

俺の家臣になる事を実家に手紙で送ったらしい。

きっと心配されてるだろうとは言っていた。

まだ手紙を出せるような方法がないので毎日紙に書き留めていて、町に出たら家族に手紙を出すとの事だった。

俺も急な事で家族には心配させてしまっているだろう。

町に着いたら俺も手紙を書かなきゃな。


クレアは何と言うか…不思議ちゃんだ。

そしてお馬鹿な所がある。

だが付きあっていると不思議と面白い魅力がある。

このパーティのムードメーカーは恐らくクレアだろう。

毎日ニコニコしていて人懐っこい所もある為天然で憎めないキャラだ。


ジルは無口な子だ。

俺もそこまで絡みがある訳ではないが俺の事を慕ってくれているらしい。

そしてクレアが大好きだ。

聞く所によるとクレアとは幼馴染で子供の頃からジルの後にくっ付いて行動していたらしい。

ジルとクレアは全く違う性格だがとても仲良しだ。


クリフは…まぁいいか。

自分の話しが大好きだ。

うっとおしい時もあるが誰より俺の見方でいてくれている。

扱いは雑かも知れないが正直一番信用している。

俺の何が彼にそうさせるのかはわからないが…。


そして一行の3日目は終わるのだが、この時…不穏な足音が近付いている事に誰も気付いていなかった。

いつもご愛読ありがとうございます。

アナザーラインのN最も含めこれからも同時に進行して行くので少し更新は遅くなってしまいます。

申し訳ありません。

いつも楽しみにして下さっているのはとても嬉しいです。

ちなみに作者は今フェアリーテイルクロニクルを読んでいます。

お話しを書くのが上手な方でボキャブラリーも効いており、物語も面白くてとても才能のある方ですね。

もし宜しければ評価や感想、ブクマをして頂けると作者の励みになります。

本当になってるので本当にありがたいです。

よろしくお願い致します。

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