表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者に転生した俺の苦悩と葛藤  作者: KIT
勇者編
17/28

17話 勇者の苦悩

ラボバ魔剣術学校へ入学して2日目。

三年S組に進級した一行。

リゼルグとの決闘の最中、ブルードラゴンが現れそれを単独討伐するセルヴィ。

その才能を認めた皇帝により、勇者の称号を贈与される。

勇者に転生した彼の物語が一気に加速するのであった。

「ふぅ。やっと頂上だね」


とシーナ。


「思った以上に過酷だね」


とクリフ。


「ふん!こんなもの余裕だ」


とリゼルグ。


「ロドメンソン様の所まではあと二日と言った所だな」


と40代後半位で白髪交じりの短髪。

身長は175と言った背丈の兵士らしい体付きの男性が言う。

他にもジル、クレアの6人で帝都より50km程離れた山の頂上にいる。

なぜこうなっているのかを説明しよう。


皇帝より勇者の称号を得た俺は、時期勇者になるべく、現勇者のデニス・ロドメンソンと言う人の元へ行き勇者になるべく修行を命じられたのだ。


ラボバ魔剣術学校へ入学して2日目の事である。

1日目に三年生へ進級。

2日目に勇者となった。

人生が光の速さで変化していく事に俺自身追い付いていない。

勇者と言う存在は一国の王様程ではないが、その下位の権利を持っているらしい。

俺は一夜にして貧乏騎士家の長男と言う身分から、一国の王の程の地位を得てしまったのだ。

と言う事は必然と家臣を雇わなければいけないと言う事になってしまうのだ。

皇帝は俺に候補がいなければ自身の家臣を分け与えると言いだした。

俺は仮にも一国の王程の地位を持つ事になる。

いくら勇者殺しが大罪であったとしても何があるかわからないし、そんな信用もない人を家臣にするなど俺には選択出来なかったのだ。

その為、一旦答えは保留にさせてもらい後日答える事にしたのだ。


そして俺は先生と学校へ帰り、俺は寮へ、先生は自身の家へ帰って行った。

その帰り道に先生は「偉い事になってすまぬ。生徒を守れぬ先生を許してくれ」と謝罪していた。

いくら先生が世界有数の元魔剣術士だったとしても皇帝に逆らう事は出来ないのだ。

それは校長先生でも同じだろう。

俺は気にしないでくれと先生にやんわりと伝え、寮へ帰った。


結局皇宮では何も食べさせてもらえなかった為、いつも通り食堂へ行くと皆がいた為、この度起こった事を皆に話した。

皆、俺が勇者になるのではないかと噂していたらしい。

と言うのも数年前から勇者交代の兆しはあり、時期勇者の捜索を帝国が行っている事を皆知っていたのだ。

中には自身が時期勇者に成るべく奮闘していた者もいると言う。

その為、今回のような事があり俺が皇宮へ呼ばれると言う自体を皆称号贈与ではないかと噂していたらしい。

その為皆、やっぱりと言ったようなどこか納得したような表情で聞いていた。

しかも家臣を取れと言う悩ましい悩みも打ち明けた所、クリフが真っ先に口を開いた。


「あ、あの…僕でも家臣になれるかな?」


と少し自信なさげに俺に問うた。

その問いに俺は即快諾し、是非頼むと答えるとクリフの周りにお花畑が幻で見そうになってしまう位の満面の笑みを浮かべていた。

顔が美形なだけに気持ち悪くはないが何か嫌な気持ちになった。


それからシーナ、ジル、クレアも家臣として名乗りを上げてくれた為俺はその申し出を快諾する。

このメンバーならきっと大丈夫だと思えたからだ。

そんな話しをしていると遠くから大きな怒鳴り声が聞こえて来た。


「グレディ!グレディ!!」


その声には聞き覚えがあった為、げんなりとした顔で声のした方へ振り向いた。

すると案の定リゼルグがこっちへ鬼のような表情で近付いて来る所だった。

また厄介な事が起きると怪訝な顔をして答えた。


「また決闘かい?」


するとリゼルグは俺の手前で止まって答えた。


「お前勇者の称号をもらったって言うのは本当か?」


と予想外の問いが来た。

特に嘘を付く理由もないので正直に称号を得た事を答える。

すると、「そうか…」と俯きリゼルグが試案するような表情で俯く。

そのまま30秒程思案した後、何かを決めたようなキリっとした顔で俺に向き直り言葉を発した。


「俺を家臣にしてくれ!」


思わぬ言葉に、俺はギョっとした顔をする。


「俺は勇者になりたかったんだ。勇者になってにっくき魔王を倒したいと切望して来た。だがその座はもうお前に渡っちまった。俺がこれからどう足掻いてもその称号は得られない。魔王討伐に行く事も叶わない。元からもし俺が勇者になれなかったらと思案していたが、やっぱり魔王討伐に同行するには家臣になるしかないと考えていた。俺にはやらなければいけない事がある。頼む!お前の家臣にしてくれ!」


俺はその申し出を少し思案したが、リゼルグは強い。

断る理由は特にないだろう。

あるとしたら少しプライドが高過ぎる事位か…。

俺はこの申し出を少し不安ながらも受け入れる事にしたのだった。


それから自室に戻り、両親へ手紙を出した。

この2日の出来事をだ。

先ずは入学初日に進級が決まった事。

翌日学校に逸れ龍のブルードラゴンが現れ、退治した事。

それによって時期勇者となってしまった事。

現勇者の元へ行き、勇者修行へ向かわなければいけない事。

同級生を家臣とした事などを端的に書いて、管理人であるフィルチさんに渡して郵送を頼んだ。

と言ってものこの世界には郵便局はない。

輸出物と輸入物と一緒に送られる。

その為、積荷が襲われたりした場合手紙は届かないと言う悲しい結末になる事もあるのだ。

情報は必ず届ける機関と言う物を作ったらそれなりに儲かるのだろうが…。


そして翌日、再度皇宮へ行き両親の事もあるので2週間程時間を頂きたい旨伝えたがその願いは聞き入れてもらえず、3日以内の旅立ちを命じられた。

家臣の件は子供だけだと不安と言う事で現勇者ロドメンソンの所までは皇帝の家臣、ベンジー・ミラーさんと言う40代後半位の魔剣士が同伴する事となった。

その為、出発を3日後と決めその場を去ったのだった。


それから学校へ戻ると学校は物凄い騒ぎになっていた。

原因は俺が勇者の称号を得た事だ。

勇者とは尊敬し敬われる存在なのだと昨日クリフから聞いている。

しかも一国の王よりは一つ下の地位なのだから、一夜にして俺はシンデレラボーイとなってしまったのだ。

その為、俺と婚姻を結ぼうと多くの女性が俺に殺到した。

俺はその女性達にバーゲンセールの品物みたいにされたが、シーナとジルとクレアが俺を守ってくれた為一命を取り留めた。

再度言うが勇者殺しは大罪である。

大罪であるのだ。


そしていつも通り授業を受け、昼休みの食堂でもバーゲンセールの品物みたいにされシーナとジルとクレアに救出され、俺は一命を取り留めた。

何度も言うが…。

そして午後も授業をいつも通り受け、夕食の食堂でもバーゲンセールの品物のようにされる。

そしてシーナとジルとクレアにいい加減怒られ、一命を取り留める。

何度も何度も言うが勇者こ…。

二日目にはうちの女性三人組に阻止されるのがわかって来たのか、手紙や金銭、プレゼントなどの攻撃が始まる。

所謂冷戦だ。

学校だけでもこの状態で、外を出ると町でも噂は広まっており町の女性達が校門前で待ち伏せている事も多いらしい。

らしいと言うのはこの学校の校門はペイトンさんと言う門番に守られている。

そして要塞ばりに強固な扉がある為、容易に侵入出来るものではない。

校門は離れた場所にあり、寮や学校から校門の向こう側が見える訳ではないのだ。

今の町に出かける事は危険だと俺の第六感が告げている。


そんなこんなで三日などすぐに経って行った。

そして旅立ちの日。

流石に両親からの手紙が返って来る事はなかった。

母が見重の為来る事も難しいだろう。

そして俺達は学校を後にし、現勇者のロドメンソンがいると言う帝国南部にあるアトルンタ辺境王都へ向かうのであった。

学校を出て2日、ミラーさん曰く帝都南部にあるアルペス山脈の頂上に現在いる。


「さて、一旦昼食にするか」


とミラーさんが発言すると、そうしよう、お腹空いたとそれぞれ賛成の言葉を発する。

現在2日目に昼。

俺達は山登りを午前中に終えた為山頂で昼食を取る事となった。

山頂からは帝都が小さく見える。

この国の広大な土地が一望出来る絶景スポットだ。

この広大な規模を表すのであればエアーズロックよりももっと高い場所から眺めたオーストラリアと言った所だろうか。


今日の昼食は食パンのような生地に肉を挟んだ簡単な淡泊な食べ物だ。

これにはお嬢様方、王子様方には不味くはないにしても精神的に堪えるのではないかと内心思っていたのだが、そんな事もなく皆普通に昼食を取っていた。

舌が肥えた者にとっては食糧問題は重大だ。

その為、平然としている皆に疑問を投げかけてみた。


「皆、こんな質素な食事で不満はないの?」


するとクリフが答える。


「僕達は毎日豪華な食事を食べてはいるけど、そもそも魔剣術士を目指した者達だ。それぞれ必ず己の剣術を…魔術を鍛えた事がある者だ。一度や二度、修行に勤しんだ事があると言う事はこういった陳腐な食事をして過ごした経験があると言う事さ」


そういうと皆一様に頷く。


「学食のようなご飯が食べられるのであれば嬉しいけど、数日この位の食事でも私達は平気よ」


とシーナ。

だが俺は最近感じている。

女性陣の目は俺が勇者の称号を得た時から少し変わりつつある事を。

その中シーナだけはあまり変わらず俺の事を見てくれているような気がする。

ありがたい事だ。

するとジルが俺に質問をして来た。


「セルヴィも修行に出た事あるでしょ?」


「…うん!」


と答えるとやっぱりと言う目で皆俺をみて微笑む。

だが俺は心の中で、ごめん。実は学校に行くまで家を離れた事ないです。と皆に謝るのだった。


そして昼食を終えるとすぐに出発をする。

ミラーさんが言うにはアルペス山脈にはロックドラゴンの巣があるらしい。

生息地が確認されたのが10年前。

生息が確認された場所からは離れて進んではいるが、10年の年月で生息地を移している可能性もゼロではない。

あまり長いは無用と言う事なのだ。

そして俺達は登りは引いて来た馬へ跨ると、アトルンタ辺境王都へ向けて出発するのであった。

いつもご愛読ありがとうございます。

着々とポイントが入っており、皆様には大変感謝をしております。

今後もこの作品を進めて行きたいと考えてますので、よろしければ評価、感想、ブクマをして頂けると作者のモチベーションも上がりますのでよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ