10話 旅立ち、そして魔剣術学校
お休み頂きまして申し訳ありませんでした。
いつも楽しみにして下さっている方々には申し訳ないのですが、今後水、木は更新しないと思いますのでよろしくお願い致します。
自然と目が覚めた。
今日は帝都へ向けて家を出る。
魔剣術学校は家から馬で約3日程かかる距離にあるらしい。
学校は6年制。
寮が完備されており、俺は6年間寮で過ごす事になるようだ。
馬で3日かかる距離の為、殆ど家には帰って来れないのではないだろうか。
日本の学校の様に夏と冬に長期休暇があるようだ。
家に帰るのは長期休暇の時位しか出来ないだろうな。
生まれて来る弟?妹に会うのもその時になるだろう。
そんな事を思いながら出発に向けて支度をする為下に降りた。
俺はいつも通り支度をして朝食を食べて出発する支度をした。
両親は少し寂しいような表情で俺を見送ってくれた。
学校までは平淡な道が続くとの事だが、くれぐれも気を付けて行くようにと言われた。
家を出てから数時間が経った。
途中で馬を休めてあげる事も大切だ。
それにまだ仔馬だ。
俺の荷物と俺を運ぶのだからそれなりの重量がある。
そんなに距離は歩けないとの父の言葉だった。
こんなに遠くまで来た事が初めてだった為、色々と新鮮な気持ちだった。
全く何もない平原を通ったり、小さな村があったり、小さな町があったりした。
時には魔獣も出て来たりもした。
スライムやコウモリのような魔獣だったり、木が魔獣化したような魔物も出た。
普通ならこんな魔獣が通るような道を子供一人で通らせるのは心配だろうが、俺は既に低レベルの冒険者位の腕はあると父に言われていた。
だからだろう。
父も母もあまりこの事に関しては心配をしていなかったようだ。
俺も何なく倒して道を通った。
魔獣が出て来る度仔馬はビクビクと脅えていた為、仔馬が一番可哀想な気がした。
今日は数十キロ進んだ所で夜になった為、野営をする事にした。
これも経験だと父が言っていた。
男の子は大いに経験を積めと父は前から言っていた為、寧ろ俺を旅に出す事に関しては賛成なのだろう。
可愛い子には旅をさせよとも言うしね。
その日は薪を集めて魔術で火を出し水に切ってある野菜を入れ、煮立った所で塩を入れ、野菜スープが出来上がった。
そして家から持って来たパンと干し肉。
これが俺の今日の夕飯だ。
魔獣の肉も手に入った事は入ったのだがコウモリだし衛生的にどうなのだろうと考えた結果辞めた。
明日ウサギだったり食べれそうな動物見つけたら狩ろうかなと考えながら就寝をした。
そして朝が来て起きる。
俺は昨日仔馬に名前を付けてやった。
名前がないのもあれだしな。
名前を「オルフ」と名付けた。
父の馬もルドルフだし前世のサラブレットの名前から取る事にしたのだ。
俺は眠い目を擦って野営していた場所を片づけてオルフに乗り出発した。
近くに川でもあったら顔を洗ったり、歯を磨いたり出来るのだが都合良くなかった為ネチャっとする顔と口の中に不快感を感じながらオルフに跨っていた。
そんなこんなで3日目、遂にコートジボール帝都が見えて来た。
町に入ると地元の王都よりも広く、店も多く、家も多かった。
これが都会と言うものなのだろうと俺は物珍しげにキョロキョロと町を見て回った。
今日はこれから学校へ行くつもりだ。
現在朝の7時といった頃だろう。
ここ3日まともに風呂にも入っていない為、学校へ行くのに臭く、汚れた身なりでは失礼だろうと思い、見つけた風呂屋で3日間の汚れを落とし、新しい服へ着替えた。
そして学校へ向かった。
学校は大きく、大阪にある有名な遊園地にある大きなお城をイメージしてもらえたら想像が出来るかと思う。
雰囲気も似た様なお城だった。
俺は学校の大きな門の前に立つ。
すると門の奥から声が聞こえた。
「誰だ?」
「この度入学することになったセルヴィ・マク・グレディです!」
俺は門の奥から聞こえる男性の声に答えた。
「辺境地から来ると言う入学生の子か。入学書は?」
俺は荷物の袋を開けて書面を取り出し、門の下に通す。
書面は門の中に吸い込まれて行くと、門を挟んで向こう側から紙を擦る様な音がするので確認しているのだろうと推測出来た。
するとスッと門の下から書面が帰って来た。
「良かろう」
そう声が聞こえるとすぐに大きな門が開いた。
そこには30代後半位の鎧に身を纏い、茶色い顎髭を蓄えた騎士が立っていた。
「初めまして。門番をしているペイトンだ。ようこそ、ラボバ魔剣術学校へ!校長室へ案内しよう」
そう言うと門番のペイトンさんは背後に聳え立つお城へ足を帰した。
「はい!」
と俺は少し緊張した声を上げてペイトンさんの後を追った。
広く、歴史を感じさせる場内であった。
石造りの壁や柱、所々に飾られた絵画。
まだ朝の8時半だけあって生徒も少ない校内だ。
すれ違う生徒は皆同じ服装をしていた為、それが制服なのだろうと察した。
女の子は上下ライトグレーのセーラー服に良く似た制服。
男の子はブレザーに良く似た上下ライトグレーの制服だった。
俺もこの制服を着るのか…と思いながらペイトンさんの後に続いた。
するとペイトンさんがしばらく歩いた後で一つ木造りの扉の前で止まった。
その木造りの扉を二度ノックした。
「コンコン!学園長!新入学生のセルヴィ・マク・グレディをお連れしました!」
すると室内から男性の老人の様な声が聞こえた。
「入ってもらいなさい」
「は!」
するとペイトンさんは俺に向き直る。
「ここが校長室だ。中には校長先生のジョーダン校長様がいらっしゃる。中に入るが良い」
そう俺に告げるとペイトンさんは来た道へと歩いて行った。
俺は咳払いを一つして言った。
「失礼します!」
そして扉を開けると二十畳位の正方形の部屋の奥に仙人の様な白く長く伸びた髭を生やし、白く長い髪を後ろで束ねた老騎士の様な雰囲気をした男性が机に座って、何か険しい顔をしながら書き物をしていた。
そして俺を見るなりニコッと微笑んで言った。
「私が校長のジョーダンじゃ。よろしくのう。グレディ君」
「はい!よろしくお願いします!」
とやや強張った声で挨拶をした。
「そんなに緊張せずとも良い。ここはお主の家だと思って過ごしておくれ。わしのことはおじいちゃんだと思って接してくれたら良い」
そう校長は言った。
「わかりました」
と俺は強張った顔を崩して笑顔で答える。
「うむ…。9時から授業じゃ。朝はホームルームから始まると決まっておるので先ずは自己紹介からだの」
と校長は説明した。
「わかりました!」
と俺は答えた。
「おっといかん!忘れる所じゃったわい」
校長はそう言うと机の引き出しから一枚の紙を出した。
「まだホームルームには時間があるからのう。先ずはこれに記入してもらえるかのう?」
そう言うと机の上に一つの書面を出した。
好調とは微妙に距離があった為近づき、書面を手にした。
その書面には名前、年齢、出身地、血液型、両親の名前に緊急連絡先とあった。
俺は書ける所は書いて校長に手渡す。
「うむ…良いだろう」
気付くと8時50分前だった。
「ではそろそろ行くかの」
そう言うと校長は重い腰を上げて、扉を開いた。
「お主が入る教室まで案内しよう」
そう校長が言った為、俺も答えた。
「はい!お願いします」
そして俺達はこれからお世話になる教室へ向かった。
進展遅くて申し訳ありません。
次回からトントンと進む予定ではありますので更新を楽しみにしていてください。