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肆を殺した後、明衣の携帯には着信が来た。電話をかけていたのはとあるクラッカーだった。
『肆さん死にましたかね?』
「ええ、今しがた」
『そうですか。それだけです。では』
「待って。あなた肆の仲間?」
『全く。肆さんに個人的に仕事依頼されてたんですよ。でも今死んだんならもうやらなくていいかなって、その確認です』
「もしかして私が殺すの待ってたの?」
『んーどうでしょう』
「先払いなんでしょ」
『うん』
「私の依頼も承ってもらえないかしら」
『うん、先払いで』
そのクラッカーに依頼したのは、玖のことを調べてほしいということだった。僕は探偵じゃないんですからねーと言っていたが先払いで金を振り込んだ分、しっかりと仕事をやってくれた。
彼は、調べるまでもなく玖の最近の動向を知っていた。「この間頼まれたんですよ。柒って人のこと調べてくれって。それでなんか中学のライングループがあるらしくて、そこに入れて欲しいって」
「それって守秘義務に当たらないの?」と明衣は疑問に思ったが「ええ、これから死ぬ人のことなんてしゃべっても同じですからね。それに玖って人の身辺調査って依頼ですから、これも身辺情報の一つだし、まあ流行りのオフホワイトですかねえ」なんて笑っていた。
中学のライングループの動向をそれからの明衣は窺っていた。動きがあり、その内容は同窓会というもの。――タイムカプセル。その字面を見た途端にすべてが繋がった。
タイムカプセルに関連する三人が。
卒業式でのことが。
玖のしそうなことが。
企んでいる奴は、企まれていることに気づきづらい。
「思い浮かんだら先手」
クラッカーから話せる部分まで玖の企みを聞いた。
同級生三人を金で買った。「この日までグループラインから抜けないでください」
同級生三人の信用を買った。「校舎に入ったらおそらく見知らぬ男が話しかけてくる。全部無視して。卒業式にした罪をネタに脅されても無視して。わたしの言うとおりにして。お金もたっぷり前払いした。わたしは絶対に助ける。メイと一緒にしないで」
「え、明衣じゃないの?」と誰かが言った。
「大嫌いな自分」と返事をした。




