私が初連載で5万字350ptを達成するまで
ご注意
このエッセイには「今更何言ってんだオマエ?」的な内容も含まれます。
ここで書いた手法が必ず正解とは限りません。こういう手法もあるんだなぐらいに考えてください。
生暖かい目で見守っていただけると幸いです。
目次
・作品概要
・タイトルで何を伝えるか
・ターゲットを掴むあらすじ
・プロローグの重要性
・ストーリーの組み立て方
・公開後のできごと
最初に
このエッセイは、初連載でどこに注力し、何を意識して執筆し、
無謀と思われる5万字350pという目標を達成できたかをまとめたものです。
作品概要
テーマは魔物と生活。異世界の中での魔物がそこに住む人々の生活にどういう影響を与えるのかを表現するファンタジーです。王道か邪道かで言えば邪道です。ニッチな世界です。
しかし誰より私がそれを見たかったので書きました。
作品の設定は異世界転移してきた主人公が食うために人手不足の解体屋になり、魔物の素材で武器とか作っていろいろ(アバウト)活躍する。そんな感じにしました。
主人公が転移するいきさつやどうやって技術を覚えるかなどのシーンは書いていません。表現したいのは主人公の成長ではなく、魔物が切ったり張ったりされる所だからです。いらないものは書かなくても問題ないと判断しました。必要になれば後で書けばいいと。
タイトル
タイトルは「辺境ギルドの解体部へようこそ」にしました。
今どきのなろう小説にしては短めです。
このタイトルに「閑散としてそう、不遇そう、覇気なさそう、まったり、解体するらしい、ギルドだから冒険者がいてファンタジーだろう、ギルドで解体だから魔物か動物だろう、ギルドには他にも部署がありそう、静かそう」などのイメージと情報を詰め込みました。
構想中のタイトルは「NPC生活日記」でした。
このタイトルでは「RPGの世界っぽい、日常っぽい、のんびりしてそう、世界救わなさそう」というイメージは伝わりますが、内容と比べると具体性に欠け、よいタイトルとは言えないのがお分かりになるかと思います。
あらすじ
あらすじはタイトルで来てくれた読者、あるいは検索した読者が最初に見る文章です。
「この作品はこういう読者向けですよ」という情報を感じ取れる文章にしました。
モンスター、ハンター、逆鱗。完全にモンハンやった人向けです。
モンハン楽しい人ならきっと楽しんでもらえるとアピールです。
文体も本文に合わせて軽めにして「ゆっくりしていってね!」とアピールします。
ちなみに呼びかけ型の文章ですが、いい時と悪い時があります。
共感、あるいは理解できる内容であれば良いですが、逆の場合一発で切られます。
ターゲットに確実に刺さるようにする書き方なので対象外にはあっさりスルーされてしまうのです。
若干ニュアンスは違いますが「えっ?私の年収低すぎ?」というバナーには年収に不満を持っている人はバナーを認識しますが年収にこだわってない人や十分もらってる人はバナーを認識しません。
それと同様ですね。
プロローグ
ついに読者様が読み始めてくれました!
プロローグには何を書くべきでしょうか?
と言っても難しい事はありません。
あらすじを裏切らない内容を書けばいいのです。
軽い文体でアピールしたにもかかわらずプロローグでいきなりトラックで死にますとか書かれたらドン引きです。
あらすじは一体何だったのか。私なら即ホームです。
なので、気楽に読める楽しげな雰囲気、でも主人公の不遇さについてはちゃんと触れる、そんなプロローグにしました。
きっとこれなら続けて1話も読んでもらえる。そう信じて。
ストーリー
ここから先は連載になります。
ストーリーを組み立てる際に、読者に見せていく情報を整理しました。
整理をすると、情報の重要度や出していく順番が見えてきます。
それらをエピソードごとに何を出していくかを決め、話を作っていきました。
例えばですが、ギルドの話をするのにギルドとはどういうものか説明せずに話を進める事はできませんので、ギルドの情報は先に出しておく必要がある。情報が膨大であればざっくりとした概要だけ出して、あとで細かい情報を補足するといった感じですね。
参考までに1話では主人公と魔物と解体の仕事、ヒロインAの紹介がメインですが、サブではギルドがどうやって商売しているか、村人の生活のイメージ、人々と魔物の距離感などを伝えるようにしています。
公開後
最初にプロローグだけだと物足りないので1話も一緒に公開しました。
アクセスはそれはそれは寂しいものでした。
30以下だったと思います。
何話か公開したところでエッセイを書きました。
その中で「5万字で375p取れればワンチャンあるよ!」と書きました。
それに伴い、作品も5万字で350pに目標を設定しました。
ええ、日和りましたが何か?
2万字ほど書いたところで現実が見えました。
当時ブクマは10とか15ぐらいでした。
こりゃ無理だな、と理解しました。
目標到達は無理としても、5万字までやり切ろう。やり切って終わらせよう。
胸を張って「これが私の作品だ」そう言えるものを書ききろう。
ここで切り替えて、終わらせるプランを立て始めます。
終わりを迎えるにしても、ただただ平坦に話を続けてハイ終わりでは意味がありません。
最後は打ち切りエンドとしてもせめて山場は作りたい。
しかし3万字というのは多いようでとても少ない。
1話2000文字として15話です。
山場に持っていくまでに何話使い、山場と山場のフォローで何話必要か、ストーリーを組み立てながら検討します。
「辺境ギルドの解体部へようこそ」の8話の時点での話です。
ここから作中で山場に必要な武器を揃え、環境を揃え、イベントを発動させていきました。
無駄はありませんでしたが結局足が出て25話になってしまいました。
終わりに向けて走っている所で予想外の出来事が起こりました。
レビューです。
レビューを頂けたのです。
なろうにおいてレビューの価値が計り知れないのは皆さまご存じの通りです。
レビューのおかげでPVは4倍に伸びました。フィーバータイムです。
PVがポイントを生み、ポイントがランキングを押し上げ、ランキングがPVを生む。
カテゴリーを切り替えた甲斐もあって、3日ほどでブクマが30から63になりました。
ポイントは104から189に急上昇です。
その時すでに23話。
幸か不幸かすでに山場を超えてシメに向かう所でした。
「読んでもらえれば評価してもらえる。」
自分が書いた作品にも力はあるんだと確認できたのは嬉しかったです。
最後の花道を全力で飾ろうと決めました。
そして「辺境ギルドの解体部へようこそ」は25話を持って第一部(第一章)完という形で終了しました。第二部の始まらない第一部完とかよくある話です。
しかし、第一部終了後もPVは落ちないどころか伸びました。
もう更新していないにもかかわらず、です。
なろうのジャンル別ランキングの低いところからの流入でしょう。レビューされてませんし、更新もしてないのでランキングぐらいしかありません。sinoobi.comさんのブクマ100以下ランキングかもしれません。
ここで、地味な努力が効いた、と思っています。
作品イメージを伝えるタイトル。
ターゲットになる人を確実に捕まえるあらすじ。
プロローグが重ければ1話以降の離脱が酷かったことでしょう。
そして内容が受け入れられ読み進めてもらえたからこそのPVとブクマ。
第一部完結から3日後、最終25話を公開した時200だったポイントは目標の350を超えました。
今回の結果はあまりに運に恵まれた。
そう言えると思います。
レビューしていただいた稲村様が狙っていたのではないかと思うぐらいに。
ただ、それでも、いずれは誰かに発掘され、目標を超えていた、そう思います。
超えなくても次の作品を書いて、そこから発掘してもらおうと考えていました。
あ、発掘されなければ絶対超えません。無理です。
最初からレビューが前提なのはおかしな話かもしれませんが、すべてはその時のための準備と言っても過言ではないです。
レビューをもらっても伸びない事もあります。
その理由がどこにあるのかは、自分で判断するか、誰かに聞くしかありません。
そして目標達成から一週間。
言った以上はやります!第二部を!
今日から再開する「辺境ギルドの解体部へようこそ」をよろしくお願いします。
最後に
作品にとって最初の読者は作者です。
作者が面白いもの、読みたいものを書き続ける事を忘れなければ必ず同じ感性の読者が付いてきてくれます。作者の「私はコレが好きだ!」というパワーに惹かれて皆やってくるのです。
あとは、伝え方。「あなたの好きな作品はここにある」と伝え、導く事が大切だと思います。
このエッセイが作家諸兄の何かのヒントになることを願っています。