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講義16:情報構成子学 (1)

 今日は久しぶりに、講義棟1階の教室へとやってきた。

 講義開始前、エミュ先輩から、


「今日の授業はめちゃややこしいから頑張ってね」


 と釘を刺されてからのスタートとなった。


 教授は時間通りやってきた。


「オラ!

 講義を始めるぞ。

 席につけ!」


 全員着席済みですが。


 丸メガネ。

 目つきが悪い。

 紫色の髪、同色の足元まで届きそうな長さのコート。

 袖などには、赤色に黄色の幾何学的なラインのデザインがなされている。

 魔術師らしい出立ち。

 とりあえず仮で、丸メガネ教授と呼ぶことにする。


「私は、基礎魔導学専攻、情報構成子学を研究する、アルカンだ。

 情報構成子学とは、近年研究が始まった新しい学問の分野だ。

 聞き漏らさぬよう、しっかりと聞いておけ」


「ぬ!」


 ノム、やる気満々。

 情報構成子というものに関しては、ノムもまだあまり知識がないそうだ。

 新しい知識を得られることに、期待が高まっているように感じた。


「魔法使用を、物理的に科学しようとした場合。

 出現する要素は、2種に分けられる。

 魔導構成子と情報構成子だ。

 ・・・。

 青髪。

 魔導構成子を全て列挙しろ」


 ノムに質問が投げられる。

 しかし、ノムはすぐに答えを投げ返した。


「魔力、プレエーテル、エーテル、プレアンチエーテル、アンチエーテル、自然エネルギー。

 6つです」


「正解だ。

 ただし、アンチエーテル関連には諸説あるので、7種になる場合もある。

 ただし、6種で覚えておけば問題ない。

 魔導構成子とは、つまりはエネルギーの形態のこと。

 魔力がプレエーテルになり、プレエーテルがエーテルになる。

 それら、各状態を総じて『魔導構成子』と呼ぶ」


 ノートに記述。

 ここまでは既知。

 『プレアンチエーテル』に関しては、昨日書籍を読んだばっかりだ。


「ここからが本題だ。

 『情報構成子』とは。

 それは、『魔導構成子に付加される形式で存在する補助的なエネルギー』のことだ。

 まず、この情報構成子の種類を列挙するので、ノートに取れ」


 ここからは聞き漏らしてはいけない。

 と、思ったら、教授は、黒板に書いてくれた。

 なんだ、この教授。

 目つきの悪さのわりにいい人そうだぞ。


・IXC情報

・従属情報

・無の情報


「この3種が存在する。

 総じて言えることは」


 また黒板への板書が始まる。

 教授は、『p』に○をつけたものを描き。

 それの周りに円形矢印を描いて。

 その矢印の上に小さな点を描いた。


「便宜上、魔導構成子を粒子であるとして話をする。

 この『p』はプレエーテルを表している。

 この魔導構成子の周りを、小さな情報構成子が回っている。

 そんな表現がよくされる。

 これはあくまで予測でしかなく、実際にこの絵通りなのかは不明だ。

 ここで言いたいのは。

 魔導構成子1粒子が持つエネルギーに加えて。

 情報構成子1粒子が持つエネルギーは非常に小さいということだ」


「○のサイズが、含まれる魔力、エネルギーの大きさを表しているんですね」


「緑のいう通りだ。

 情報構成子を付加することに、体内の魔力の多くは使わない。

 そう、現状では言われている。

 情報構成子は魔導構成子に付加する形式でしか存在できない。

 情報構成子のみ、単独では存在できない」


「なるほど」


 と、ノムが言った。

 私は、それがなんか、珍しいな、とか思った。


「ここからは、情報構成子の種類を1つづつ解説する。

 まず1つ目がIXC情報子だ。

 IXCは略語。

 『I』が『Inhalation』、収束。

 『X』が『eXhalatn』、放出。

 『C』が『Controll』、制御

 つまり、IXC情報子とは、魔法の収束や放出や制御に関する情報をエネルギー、魔導構成子に与える役割を持っている。

 このIXC情報子があってはじめて、魔法が動きを持つことができる。

 この情報が濃ければ濃いほど、高威力な収束放出、緻密な制御が可能になる。

 IXC情報子には持続時間がある。

 攻撃終了時から2秒以内には完全に制御不能状態になる、と言わている。

 IXCの鍛錬とは、すなわち、IXC情報構成子の制御の訓練をしてることと等価なのだ」


 最初、初等魔術師プライマリーウィザードの頃は、IXC情報子をうまく魔導構成子に『ひっかける』ことができないのだろう。

 それを地道な鍛錬によって、うまく付加できるようにしていく。


「IXC情報子とまとめて呼んだが。

 実際は、I情報子、X情報子、C情報子というように。

 それぞれが独立している。

 なので魔術師によって、Iが得意な者、Xが得意な者が存在することになる」


 ここまでで前半戦は終了。

 怒涛の解説ラッシュ。

 しかし、今まで無意識でやってきた収束、放出というものにも。

 その原理というものがあるのだなと感心してしまったのだった。


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