課外14:コーカサス大森林攻略 (2)
ここで、今回の旅程を確認する。
1日目:移動(クレセンティア~大森林第一拠点)
2日目:北方洞窟群攻略
3日目:南方、第二拠点へ移動
4日目:南方洞窟群攻略
5日目:第一拠点まで移動
6日目:帰還
7日目:予備日
北方移籍群攻略は、肩慣らし。
ロックアリゲータが多く生息し、『岩竜の洞窟』と呼ばれる、その場所。
ここで、今回の依頼である翡翠を一定量入手するのが目的。
複数の洞窟から成り、そのいずれでも、複数種の鉱石を入手可能。
この洞窟群は、まだ依頼難易度は低く、私シンセ一人でも攻略はできる、そんなレベル。
さて。
問題は南方洞窟群の攻略となる。
「この場所での攻略、私、シンセ、先頭行かせてください!」
エレナから許可が降りる前に、私は先頭に出て、洞窟の入り口に睨みを効かせた。
「なら、グローライトは私が担当するの」
そのノムの言葉を合図として、攻略が始まる。
この洞窟に住むのは、主にデーモン系のモンスター。
別称、『悪魔の巣窟』と呼ばれ。
第五種、グレーターデーモンまでが生息する。
冒険者ランクB+以下のレベルの冒険者は立ち入り不可とされるエリア。
ランクA-の今の私にとっては、最高のレベル上げエリアとなるのである。
そんなことを考えながら、ノムの魔法で明るさを維持している洞窟内を進むと。
エンカウント。
やって来ました、ミッドデーモン、1体。
私は愛用武器、『レイシャフト』、そのグリップに力を込める。
このレイシャフトは、レイブレードの亜種であり、レイブレードと同様の原理、『光エネルギーの圧縮』で実現される。
ただしレイブレードよりも持ち手、グリップ、シャフトの部分が長く、その先端から光刃を出し。
長いリーチを持つことができる長柄武器である。
その先端、光刃部の形状は、私の意思によって変化可能。
そう、たとえば、
「突き!
払い!」
2発の攻撃が、相手に連続ヒットする。
槍形状での『突き』攻撃。
斧形状での『払い』攻撃。
最大限に軽量化された武具、そして私自身の敏捷性の高さ。
それが、相手から、反撃の糸口を奪い去る。
後方退避。
相手の取れた選択肢。
しかし、それもお見通し。
相手が体勢を整える前に、私の光魔法の収束は完了した。
「トライレーザー!」
三点収束光術。
極太の光線を射出する、その魔法で。
相手の右腕を、後方に吹き飛ばした。
相手、ミッドデーモンが使用する魔法は、炎と魔導の2属性。
それだけに最大限の警戒。
改めての確認の後。
「武具収束奥義、収束完了」
レイシャフトから、光の魔力がこぼれ出す。
魔力を。
シャフトの先端から一気に解放。
今、作り出すのは、鎌。
生者の首を狩り取る。
死神の鎌!
「レイ・デスサイズ!」
相手の放出した、トライバーストの魔法を飲み込んで。
光の大鎌が。
相手の首を、切断した。
*****
「消化不足だぜ」
南方洞窟群、悪魔の巣窟の攻略は完了した。
報酬となる鉱石、『ラピスラズリ』『ライトルビー』を入手。
これで、追加で別依頼も達成することができる。
しかし、それでも私が不満げに感想を漏らしたのには、以下の理由がある:
・第五種、グレータデーモンには合えなかった
・3体以上の敵が同時出現することはなかった
・あって、ミッドデーモン1体とレッサーデーモン1体の同時出現程度
ここで、私は改めて、アルテミスメンバーを、1人づつ見つめる。
エレナ、ノム、レイナ、リェル。
追いつけないどころか。
離されていっている事実。
それが悔しくて。
多少無理してやろうという願いも適わず。
また、クレセンティア魔術研究院での体験は、彼女達の成長を後押ししているのだと感じた。
・・・
洞窟探検も予定よりも早く済ませることができた私たち。
ここからは本日の夜営場所に戻る仕事が残るのみ。
森林の空気を大きく吸い込み、天、青空を見上げて、緊張を解き放つ。
天から降り注ぐ光が。
心なしか普段よりも強いように感じた。
そして。
なんとなく。
こう思ったのでした。
「なんか、南の方向から、違和感を感じる、のですが?
気のせい?」
その私の何気ない感覚を、ノムレーダーも検知、共有する。
「私も何かの魔力を感じるの。
モンスターや人間の放つ魔力とは、また別質の何か・・・。
少し近づいて、様子を見てみようか?」
*****