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講義13:法陣魔術学 (2)

「貴方達が現状、どの程度、『法陣魔術』というものを知っているか。

 おおよそ理解できました。

 さて、では講義を始めましょう」


「よろしくお願いします」


「まず、改めて、『法陣魔術』とは何か?

 『広範囲攻撃を実現するために、魔法陣を用いて、収束と放出の制御を行う魔術』。

 そんな表現でしょうか。

 魔法陣なしで、単純に魔力を外に流すだけでは、ただ魔力を捨てているだけになります。

 それは、空間放出後、すぐに『従属情報』が消滅してしまい、魔力の制御権を失うからです。

 『情報構成子制御装置』。

 それが、魔法陣の別称です」


 そこまで説明すると教授は、魔力の収束を開始。

 杖や腕輪の力は借りず、武具無装備で。

 即、描画されたのは、小さなピンク色の魔法陣。

 小さい魔法陣って、逆に意外と難しいんだよね。


「このように。

 魔法陣は、魔法の光、『魔術光』で描画します。

 これで魔法陣を、どんな場所にも出現させることが可能になります。

 ここから、この魔法陣の中に魔力を流していきます。

 ・・・。

 収束完了ですね。

 そしてここから、属性変換と放出操作を、魔法陣全体に向けて働きかけます」


 小さな魔法陣から光の槍。

 地から出て、天へ向け突き出す、無数のとうの槍。


「こんな小さい魔法陣、初めて見たの。

 小型法陣は実現難度が高いのに」


「なんか、可愛かったですね。

 威力は、『可愛い』って表現できるもんじゃなかったけどさ」


「小型である分、魔力が凝縮されるの」


「小型法陣は、魔術光のラインを細くする必要があって、例えば、ラインが太くてラインとラインがくっついたりすると、威力や制御能力が低下しちゃうのよ。

 あと、法陣の外に魔力が漏れ出しやすくなるわ。

 でも、ノムが言った通り、魔力が凝縮されるので、威力は高くなる。

 使いこなせれば、また戦術のバリエーションも増えるでしょう」


 法陣のサイズは、大きすぎず、小さすぎず。

 それが実現のポイントとなっているのだ。


「さて、ここで1つ問題を出します。

 先程、エレナ、ノム、ホエールの3人が挙げてくれた法陣魔術の中で、1つだけ、分類が異なるものがあります。

 それは、何でしょうか?」


 なやましき。

 本日も、いつものとおり、ノム先生の回答を待とう。

 そう思っていたのだが、正解を弾き出したのは鯨先輩だった。


「天空法陣ですね。

 アシッドレインです」


「ホエール、正解よ」


「『天空法陣』?

 ・・・。

 あ!なるほど!

 空に魔法陣を描くんですね」


「その通りだよ、エレナ。

 他の法陣魔術は地面の上に魔法陣を描くけど、アシッドレインは空の高い位置に魔法陣を描くんだ。

 その分、ちょっと実現が難しいね」


 そして思い出す。

 宿敵、ランダインが発動した『メテオスォーム』。

 あの魔法も、天空法陣であったことを理解した。

 あのとき、本当に死んだと思った。


「法陣魔術は、基本的に大地の上に描くのが通例で、これを『地上法陣』と呼ぶわ。

 それとは逆のものが『天空法陣』と呼ばれる・・・。

 と、言いいそうな、もの、なのだけれど」


「?」


 ここで、サラ教授が再度、桃色の魔法陣の描画を開始。

 サイズは先と同程度の小型。

 その魔法陣は。

 私の目線の高さに、『ナナメ』に描画された。


「本来、地面に対して法陣を『水平に』描画しなければならない、という縛りはないのよ。

 このように斜めでも、そして地面に対して垂直でも問題ない」


「確かに」


「ただし、実現難度は跳ね上がるのだけれども。

 このような法陣は、『自由法陣』と呼ばれます。

 これで、魔力の放出の方向を制御可能になる、というわけね」


「このへんは、まだ私もあんまり得意じゃないの」


 ノム先生から飛び出した弱気な発言。

 それが、自由法陣の実現難度の高さを暗示しているのだと感じた。






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