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課外5:最高の武器を目指して

 私、エレナの武器。

 青い4つの宝石が取り付けられた剣。

 ブルーティッシュエッジ。


 ノムの武器。

 半透明な大きなコア、そしてその周りに4枚の円弧状の半透明な板が取り付けられた杖。

 サザンクロス。


 その2つの武器が、机の上に仲良く並んでいる。

 それを凝視、観察するのは、魔導武具学を研究する教授、ライザ。

 先日の脳筋発言からは想像できないほどの脳内回転力を持ってして、その武器の細部までを分析しているのである。


 本日は休講日。

 エミュ先輩から伝言を受けた私たちは、ライザ教官のホーム、錬金工房に再びやってきた。

 私たちの武器のメンテナンスに関してアドバイスをくれる、とのことであった。


「それにしても」


「はい」


「本当に良い武器だな。

 これほどのものは、中々目に入れることは難しいのだが。

 お前たちの日頃の筋肉鍛錬の過程を、筋肉神マッスルしん様が見ていらっしゃったのかもしれない」


「誰ですか、それ」


「エレナの武器。

 まず、この一番大きい青のコア。

 これ、なんていう宝石か、わかるか?」


「わからないです」


「雷帝の宝珠だ」


「すみません、もう一回いいですか?」


「雷帝の宝珠だ」


「すみません、もう一回」


「雷帝の宝珠だ」


「・・・。

 マジですか!?」


「雷のエレメントとしては最高級品だ。

 それを惜しげもなく武器に使用している。

 だいぶ、羽振りの良い技工士だったようだな、コイツを作った人間は」


 雷帝の宝珠。

 それは宝珠店のショーケースの中でしか見たことのない、超超超超高級品。

 シエル。

 まさかそんな高価な素材を使ってくれていたとは。

 ・・・。

 靴でも磨いておけばよかったか?

 それとも舐めておいた方がよかったか?


「持ち手の部分も魔導効率のよい仕様になっている。

 刃の練鍛も素晴らしい。

 よほどの筋骨隆々さ、だったとうかがえる」


「いや、あの子は、ひ弱なチビッコ少年だったですけど」


「そんなはずはない」


「シエルは自分で刀身を叩くんじゃなく、その作業をゴーレムに代わりにやらせてたらしいの。

 なので、筋肉がなくても錬鍛可能」


「なるほど、すごい」


「そいつ、頭いいな」


 海の向こうの、さらに山の向こうの人間に賛辞が投げられた。

 きっとそれは届かないだろう。

 今度会ったら改めて、誠心誠意、褒めちぎろう。


「が、完璧じゃない。

 刀身の練鍛も、打ち込みの精度が甘い。

 ゴーレムに代替させているのならば、なるほどだ。

 微細な打ち込み位置の制御ができていない。

 刀身の練鍛は、もっと上質になる。

 そして、刀身の素材も、変えた方がよいだろう」


「刀身の素材、ですか」


「だが、しかし。

 武具素材に関しては、私はアウトオブリージョンだ。

 せっかくだから本職に聞いてくれ。

 魔導材料工学の研究者、クリクラ教授だ」


「クリクラ教授ですか」


「刀身、そして柄の部分に使用する素材について、クリクラ教授から知恵を借りろ。

 私の名前を出せば、彼女は力を貸してくれるだろう。

 自給自足。

 お前の武器の素材は、お前自身で入手しろ」


「わかりました」


「もう1点。

 残り3つの青の宝珠。

 こいつらは、雷帝の宝珠と比較すると少し質が下がる。

 しかも、今までの戦闘で若干、状態も悪くなっている。

 この3つの宝珠の代わりとなる、雷の素材を入手しろ。

 数は何個でも構わん。

 3つである必要はない。

 言わずもがなだが、高価な素材であるだろう。

 以上、エレナの武器のアイデアは現状ここまでだ」


「ありがとうございます」


「次はノムの武器。

 魔杖アポカリプスと対を成す、名工リジッド・カルバナルの傑作だな。

 まず着目すべきは中央のコア、封魔の宝珠、半透過クリスタル。

 これの代替品はまず見つからないだろう。

 これは、そのまま使う」


「ぬ」


「他は全部作り変える。

 コイツは古い時代に作られたものだ。

 シャフトの劣化が激しい。

 このシャフトの素材に関しては、エレナと同じ。

 クリクラ教授に相談しろ。

 しかし、問題はこいつだ」


 ライザ教官が指差したもの。

 それはコアの周囲を囲む、4つの円弧状の板だった。


「魔導回路ですね」


「そうだ。

 この回路も劣化している。

 しかし、こいつは素材を探してきてとか、そういう問題じゃない。

 魔導制御の叡智が、この小さな板の中にぎゅうぎゅうに詰まっている。

 私やクリクラではどうにもならなん」


「むー」


「なので、メチル教授に聞け。

 魔導制御工学を研究するあいつなら、何か知恵があるかもしれん」


「ぬ」


「エレナの武器もだが、まだ完全な完成形が私の脳内に存在するわけではない。

 さらによりよい素材を持ってくれば、私の創作意欲は向上するだろう。

 その点、常識にとらわれず、素材集めをしてもらって構わない。

 お前たちの未来は、お前たちが作れ」


「わかりました」


「最後に。

 酒を忘れるなよ」


「はい!」

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