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課外3:エミュ先輩の学院案内 (1)

「ハローハロー」


 すっかりおなじみになったバカっぽ明るい挨拶。

 それを2日連続で聞くことになった。

 本日は休講日。

 しかし、私とノムは学院にやってきた。

 その目的は。


「こんにちわ先輩。

 学院を案内して欲しいなんて、図々しくお願いしてすみません」


「感謝なの」


「今はなによりも、君たちからの信頼が欲しいのさ。

 後輩なんて、人生で初めてだし。

 慕われたいなぁ、慕われたいなぁ」


「そういうの、言わない方がカッコいいと思いますよ」






*****






 この学院は、『北西』『北』『北東』『西』『中央』『東』『南西』『南』『南東』、9つのブロックに分かれている。

 最初にやってきたのは、南の正門を入ってすぐ。

 南のブロック。


「ここが『庭園』ね。

 庭師のヤドンさんが管理してくれている。

 研究で疲れた脳をリフレッシュするにはもってこいの場所だよ。

 でも施設は何にもないね。

 ってことで、次行ってみよー」






 *****






 次にやってきたのは南西のブロックだ。


「この建物は『応接棟』って言うんだ。

 お客様をもてなすための施設だよ。

 来客と打ち合わせをするための応接室、会議をするための会議室とか。

 お客様用の宿泊施設などが設けられているね」


「お客様、ですか」


「この研究院が持つ、政治的な力は絶大さ。

 なんせ、たった1人の教授が、1つ2つの軍隊を超える力を持っているんだからね。

 国や機関との交渉。

 そんなことも日常茶飯事なのさ」


「すごい」






*****






 次は西ブロック。


「ここは、『寮棟』。

 ドミトリー。

 この街に宿泊場所を持たない研究者、関係者が寝泊まりするための施設だね。

 しかも無料だよ」


「そんなのあるんですか?

 私も住みたいです」


「でも今は満室だよん」


「残念無念」






*****






 次は北西のブロック。

 そこにあったのは、この研究院で最も高い建物だ。


「ここは、有名なクレセンティア魔術研究院の『時計塔』だよ。

 観光名所だね。

 高いでしょ。

 この街で一番高い建物だからさ。

 この頂上からの景色は、マジで最高だよ」


「登ってみたいですね」


「この時計塔の鳴らす鐘が、この街に時間を教えてくれる。

 もはやこの街のシンボル、と言っても良いだろうね。

 ちなみに、この時計塔はもう1つの顔を持っている。

 それは、簡易天文台さ。

 街外れの山頂にも天文台があるけど。

 その簡易版、といったところさ。

 この時計塔は、占星(せんせい)術を研究する、マリア教授とアリサ教授の住居にもなってる。

 彼女たちの講義を受ける時は、この塔を登ることになるだろうね」






*****






 次は北ブロック。

 北門にやってきた。

 そこから北側、学院の外に見えるもの。

 それは、クレセンティア第一図書館だ。


「ここは、図書館との連絡通路の意味合いが強いね。

 その意味で『連絡棟』って呼ばれている。

 他にもいろいろな資料が展示された資料室とか、第二図書館などがある。

 悪く言えば物置だね。

 そんなわけであまり重要な場所ではないよ。

 次に行こう」






*****






 次は北東のブロック。

 ・・・。

 要塞?


「ここは『実技棟』。

 魔術を実践するために建てられた施設だよ。

 例えばだけど、『決闘』とかもできるだろうね」


「ノムとレイナが決闘したら、こんな施設、すぐさま木っ端微塵になっちゃでしょうね」


「それがそうじゃないんだなぁ。

 この施設のすごいのは物理防壁。

 魔術攻撃に対して、高い防御力を備えた物理的な防壁。

 この建物の壁には、魔導防衛学の叡智(えいち)、言ってしまえば魔導防衛学のモル教授の実力が込められている。

 どんな魔法攻撃にも耐えることができる。

 それが、モル教授の研究の成果。

 魔法攻撃に対して、どうやって防御をするか。

 その研究の全てが、ここに集約されている。

 実技の講義は、この施設で行うことになるだろうね」


「じゃあ、エレナ。

 久しぶりに一戦やってみる」


「遠慮」






*****






 次は東。

 ここはすでに知っています。


「『錬金工房』ね。

 ここはもういいよね」


「なんかこの建物だけ、すごく人の気配があるんですよね」


「この研究院で錬金工房だけは特別扱いなのさ。

 研究院関係者以外の人も、この工房で働いている。

 錬金、装具製造を行うには、どうしても人がいる。

 みんな頑張ってくれている。

 その頑張りの結果、結晶は、この街の様々な場所で役に立っている。

 私も、その歯車の一部になりたいのさ。

 あと、この街の自衛力向上にも一役買っている。

 この街には自警団があるんだけど。

 もはや、そんじょそこらの軍隊よりも強いだろうね」


「タバコのポイ捨てとかしたら殺されそうですね」


「冗談じゃなく、本当にそうなるから。

 絶対やっちゃダメだよ。

 この街の管理社会っぷりを舐めてたら、死ぬからね」


「肝に命じておきます」






*****






 南東のブロックにやってきた。

 ここも最初の庭園と同じく緑が生い茂っている。

 しかし、高い柵があり、中に入れないようになっている。

 なぜ?


「ここは『薬学農園』。

 薬の原料を栽培する施設。

 農園管理者のトロロさんが住んでいるんだ」


「中には入れないんですか?」


「入れないよ。

 毒物が栽培されているからね」


「なにそれ、怖い」


「劇物は時に、劇薬になるのだよ。

 魔導医学のチナミ教授の講義で、ここに来るかもしれないね」






*****

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