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課外2:宿屋の大天使

 登山お疲れさまでした。

 ということで、休講日の本日は、宿屋でのんびりまったり過ごすことにしたのです。


 今私たちが泊まってる宿屋。

 『宿り木の種』という名前。

 喫茶世界樹と同じく、観葉植物にとてつもなく重きをおいている、お洒落な宿屋さんです。


 共同だけどお風呂を完備。

 食堂は、朝昼晩の3食のみならず、コーヒーやデザートまで出してくれる。

 宿泊する部屋も癒しの空間。

 いい匂いがする柔らかなるベッドが睡眠欲を掻き立てる。

 しかし、この宿一番の押しポイントは別にある。

 それはこれだ!


「えれなおねぇたん、こんにちわ」


「メコたん・・・(はーと)」


 この宿屋の一人娘。

 5歳の大天使、メコちゃん。

 ふわっふわの白いロングの髪。

 ツインテールを結って作られたお団子が、小動物の耳のようにピョコっと飛び出している。

 にへらぁと笑うその顔が、私の脳を溶かしてしまう。


 飼いたい。


「えれなおねぇたん」


「なんでしゅかぁ」


「ご注文はありませんか?」


 今私は、食堂でコーヒーを飲みながら読書を楽しんでいる。

 ちなみにノムは図書館に新しい本を借りにいった。

 そこに、ちっちゃなちっちゃなウェイトレスさんがやって来たのだ。

 くっそ!

 特に頼みたいものなんかないのに、頼まんわけにはいかんだろうが!


「じゃあ、チーズケーキ。

 食べたいな」


「ちーじゅけーき、ちーじゅけーき」


 メコたんは、自分の手に指で「ちーずけーき」と書いている。

 けなげにも、一生懸命注文を覚えようとしているのだ。

 そして、顔を上げ、満面の笑みを浮かべる。


「すぐもってくりゅね!」


 そう言うと、メコたんはくるりんと半回転して、トテトテと厨房の方に走っていく。

 そこにはメコたんのお母さん、宿屋のおかみさんが待っていた。

 メコたんがそこまで到達すると、お母さんはメコたんの頭を撫でた。


 そう。

 これこそが。

 これこそが、この宿屋のやり口なのだと。


「最強の商売だな」


 わたしは、ただただ笑うしかなかった。






 メコたんはすぐにケーキを持ってきてくれた。


「よかったら、おねぇさんと少しお話ししない?」


 わたしはチーズケーキと天使が醸し出す甘々な時間を過ごしたのでした。

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