ある任務
「まさか、こんな重要な任務に僕が選ばれるとは、今でも信じられない…」
操縦桿を握った兵士は、隣に座る仲間に緊張な面持ちで言った。
「おいおい、しっかりしてくれ。今から帰りたいなんて言わないでくれよ」
仲間の冗談めいた言葉にも、彼はピクリとも強張った表情を崩さない。
「そんな事は言わないさ。自分達は絶対に失敗の許されない任務を帯びており、僕はその作戦の一員に選ばれた。それは光栄な事で、作戦は完遂する」
「そうだ、その意気だ。上層部は、我々が確実に任務を遂行してくれると信じている。同胞が受けた苦しみを忘れてはいけない」
「忘れるものか!! 同胞の仇は必ずとる!!」
やがて、目標地点である桃太郎家上空へと到着した、鬼が操縦する大型爆撃機は、街を一発で消滅させる爆弾を投下した。