1章 やりとり
遅れてすいません
「それで?なんであなたは空から降ってきたんですか?」
「人は無限の可能性を…」
「なんで降ってきたんですか?」
「降ってくるって…その表現ちょっとおか」
「な ん で 落ちてきたんですか?」
(あ、変えた。でもこれ以上やったらまた丸焦げ魔法喰らうな…。さてどうやって説明したものか)
「俺は、師匠の元で修行していたのですが、あまりにも世間を知らなさすぎるということで、師匠から餞別をもらった後、吹っ飛ばされたんです。」
そこまで嘘は入っていない。
「…そんな出鱈目な話信じると思うのですか?」
「あの…これいつ外れるんでしょう?」
俺は現在鎖の魔法?で拘束されている
試しに本気で抵抗してみたが、まるで
破壊できる素振りを見せない。なかなか優秀な魔法のようだ
「…話を聞きなさい!…あなたが敵じゃないとわかるまでです」
「…解く気ないでしょう?」
「それは、あなた次第です」
「あとなんでタオル一丁…?拘束されているんですから着替えればいいのに。」
「…ッッッ」
こころなしか拘束力が上がった気がする
「この魔法は術者が離れると弱まるんです!あなたの力量がわからない以上拘束力を弱めるわけにはいかないんです!」
「なるほど、だから拘束が維持できているこの距離を保ちたいと」
「そういうことです。…さて次の質も…」
その時、風呂場の扉が開く、仲間登場にしては遅くないが…早くもないと言ったところだ。普通あんな音がしたらすぐに駆けつけてもいいはずだ
(それほどこの女の子は信頼されている…?)
「おーい!いくら魔法の練度を上げたいからってお風呂で魔法ぶっぱなすのは…って…えええーー?…人がいる…?」
「どうもこんにちは…いやぁ今日は絶好の拘束日和ですね!」
「ッ…何が拘束日和ですか!自分の立場を分かってないようですね…」
また魔法陣が浮かび上がる。しかも結構でかい
(あっ…やっべー死なないけど威力半端なさそう)
「…!待ってカンナちゃん!流石にそれは…」
「いいえ!待ちません…コイツは私の…はっはだっ」
「は、だ、か、?」
「吹き飛べええええええええええ!」
「カンナちゃん!流石に死んじゃうよ!」
その静止の声もむなしく魔法は発動した。今度は氷だ、沢山の氷が、一つ一つが岩のような氷が、俺に向かってくる
(痛くはないし、死にもしないけど
衝撃が強すぎるんだよなぁ…)
ドゴン!
全段命中する
「か、カンナちゃん…いくら何でも…ってえ?」
「大丈夫ですよシーテ。何故か知りませんがこいつ…攻撃魔法が効かないんです。」
「ううん、それだけじゃない…気配探知にも反応しないよ!」
「はい?」
(気配が無い…?俺の?まさかこれも理外者だからか…?)
おそらくそのせいで仲間が来なかったのだろう
「さっきカンナちゃん魔法打ったでしょ?その後僅かな願いを込めて気配探知してみたの…そしたら反応無いからてっきり死んじゃったのかと思って…そしたら…」
「ピンピンしてる…と?」
「…あなたは一体何者なんですか?」
(難しい質問をしてくる…異世界から来たとか、理外者ですと答えたところで余計な混乱になるだけだ…ここは…)
「ただのしがない修行中の旅人ですよ…といっても辺境で修行して、何もこの世界のことを知らないままこの場所に飛ばされましたからね、旅人ってより旅人希望者ですよ。」
「先程も言いましたが、そんな話を信じるわけないでしょう」
「ですよねー」
「…こうなったらカンナちゃん、あの魔法使えば?そうじゃないと終わんないよ」
「ですがあれは…。」
(一体どんな魔法だよ…)
「…分かりましたやればいいのでしょう?やれば。」
「さっすがカンナちゃん!えらいぞー」
カンナという女性は、深呼吸を数回行い俺にかなり接近してきた。
(美人が近くに…ドキドキするなぁ)
すると何を血迷ったのかカンナは自分ののおでこを俺のおでことくっつけた
(は?…は?…は?)
「あ、あ、あのーカンナ様?これから何が始まるのでしょう?もしかして…キ」
カンナの右手に魔法陣がまとわりつき
俺の頭を鷲掴みする。
「いっでぇえででだでてだあばば」
痛みはない…ただ圧力が物凄い
「閲覧」
頭に透き通る感覚が響く
「この魔法はこの世界で生まれてからの記憶を覗くものです。全部見るのは骨なのであなたの人間性がうかがえる箇所を探して…って…え?」
結構まずい魔法だった
「…ちなみに何が見えました?」
「地上の俯瞰図とお風呂そして…」
「は、だ、か?自分の?」
「灰になれ」
丸焦げ魔法をもう一度喰らうハメになった。
進まない…