試験
短め
僕にとって最初が結構長かった
目の前に岩がある、でかさは海岸によくあるブロック程だろうか、微妙なでかさである。
「それを破壊できれば…この世界から旅立つ事を許そう」
「分かりました!」
何故この世界から出ることを許されなかったのか、それは単純、あまりにも俺が弱かったからだ。
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「そうだね、素手で戦ってみようか
戦いは専門としていないとはいえ、なかなか私は強いぞ?」
「そりゃ神様ですものね…って戦うんですか!?」
「実力を知っておかなければ鍛えようがないじゃないか。では、始めようか」
「そりゃそうですけど…わかりましたよ!」
そんな軽い感じで手合わせが行われた
無論心を読むのは封じてもらっている
そうでなければ勝負にならないからな。
(まずは…)
左手で袖を掴みに行く、一応俺は柔道部だ、相手が神様とはいえ一矢報いることは可能だろう…なんて、甘い考えだろうか。
「ほう?」
ラーナ様は何を考えているのか無抵抗だ
俺は袖を掴みに行った勢いをそのままに
右手で左手が持っている袖よりも上の部分の袖を掴み形は違うが大外刈りを掛けた、ラーナ様の右足に体重が乗り完璧に掛かる…はずだった
(!?動かない…?)
体重が乗っかっている右足を思いっきり
勢いをつけて刈った。それなのに全く動かない。
(どうなっている…?)
「驚いているね、表情で分かるよ、
これが 気 だよ防御にも使えるし…
こんなふう…にっ!」
「…がっ!?」
吹っ飛ばされた…全身を巨大なハンマーでフルスイングされたような感覚だ…
しかし、不思議と痛みはない。
「このように攻撃に転用できる。
さらに…」
「!?」
気がつくとラーナ様が目の前にいて拳を振りかぶっていた
(あ、やべぇな…死ぬ)
「こんなふうに身体能力を強化することが可能だ」
俺はスタ〇プラチナよろしくオラオラッシュをくらっている。これも不思議なことに痛みがない
(痛みがない…これが不死身ってことか?)
「他にも色々あるが、大体この3つだな。」
「…な、なるほど」
(人をボロ雑巾のように扱って平然としてやがる…鬼だ…)
「なにか?」
「いえ!…なんでもありません!」
「そうか、ふむ…体術は、まぁまぁといったところか気に関しては全然だな…よし決めた、この3つの技能を身につけるまでこの世界から出ることは禁止にする!」
「えー…」
「もし出ようとしたらその時は…」
「…そのときは?」
「魂を消滅させるのでよろしく。拒否権ないからね?」
「…ハイ」
「よろしい」
こうして修行が始まった
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体に気を纏わせる。体から力がこみ上げてくるのがわかる。そのまま右手に意識を集中させる
(このまま…っ)
一気に拳を振り下ろす
(いける!)
その感触の通りに岩は砕けた。
無事試験に合格することが出来た
「ハァ…ハァ…」
「うん、試験合格おめでとう。そのくらい出来れば…」
「そのくらい出来れば?」
「まぁそうだねぇ…その世界の平均的な力にもよるけど、モンスターだったり魔獣だったりがいる世界において、オークと呼ばれるモンスターくらいだったらなんとかなるよ」
「また微妙な…そういえば一つ疑問なんですけど。」
「なんだい?」
「モンスターとか、所謂敵勢力がある世界も有れば、うちみたいにない世界も有りますけど、どちらの方が多いんですかね?」
「圧倒的に敵勢力がいる世界が多いね」
「何故?」
「日々人や技術が進化するのに都合がいいんだよ、わかりやすい敵勢力がいると、しかも好都合なことにテンプレートのモンスターが出来ているからね、使わない手はないよ。」
「でもうちの世界は…」
「そっちの世界はね、創った神がとても偉大なのさ、世界を創ったのだって一度や二度じゃないだろうさ。」
「それってどういう…?」
「確かにわかりやすい敵勢力がいると発展しやすいよ。でもある程度はねっていう但し書きがつくんだよ。」
「はぁ…」
「まぁようするにやばいドーピングが、わかりやすい敵勢力を産むことで
着実に体を鍛え堅実に強くなることが
わかりやすい敵勢力を産まないということ…わかりにくい例えだけどね。」
「そうですね!」
「トレーニングする?」
「とても分かりやすい例えでした!」
「よろしい」
(でもニュアンスはなんとなく分かったな)
そんなこんなで俺は旅立ちの日を迎えた