1話 きっかけ
アーレント王国の兵士たちは、ある村にやって来ていた。
「金目の物と、良い女を集めるぞ」
隊長と思われる40代程の男が部下に指示を出す。そして、何人かを率いて火を点ける準備をする。何故火を放つかというと、村ごと燃やしてしまえば後からなんと言われようとも、そんなものは無かったと言えるからだ。たとえ何か抗議でもしようものなら反逆罪で処刑されてしまう。それ程までにこの国は腐っていた。重税に、圧政を敷き、兵士に金品や女を集めさせる。さらに兵士はその1割程のおこぼれを貰えるのだからやる気は高い。
「隊長、粗方終わりました」
部下が報告に来る。隊長と同じ様に顔には、ニヤニヤとした嗤いが張り付いている。
「そうか、それじゃそろそろ帰るか」
「ただ、一つ気になった事が……」
部下の顔には期待が表れていた。
「なんだ?」
「この村の1人の女がいないんですよ。村人に尋問した際に、少女が足りない事に気付いたです。北に向かっていたとか」
だが隊長はあまり嬉しくなさそうだ。
「少女か……ガキって事だろう」
「ウチらの中には変態も沢山いるんですよ」
しばらく悩んだ後に隊長は少し待っているから少女は好きにして良いと判断した。
○
「はぁ、ご飯……」
瑠衣は飢えていた。飢えている理由は単純で、知らない土地で食料を確保するのは困難な為だ。
「おっ、なんか騒がしいな……はぁ」
瑠衣はトボトボとゆったりした足取りで音のする方向へ向かう。その後ろ姿はなんとも言えない。
「いやぁぁああ、た、助けて!」
5分ほどで人の集団と出会う。悲鳴も聞こえたため襲われている事が想像出来る。
「あのー、どうかしたんですか?」
そこへ瑠衣はズカズカと突っ込んで行く。助けようとする気は瑠衣にはない。ただ、食べ物を貰えたら良いなと思っての事だ。
「あぁ!?何だ、テメェ!俺たちはこれからお楽しみ何だよぉ、テメェは混ざるとしても一番最後だからな」
ぎゃはははと笑いが溢れる。ただ瑠衣の表情はさっきと変わらずに何も無い。
「ん、んんん〜!んん〜!」
襲われている少女は口に布を突っ込まれてる為に声が出せてない。瑠衣は少女へ目をやる。
「っ!?」
初めて表情に変化が、ほんの少しだが表れた。それには理由がある、少女の格好だ。スカートは切られ下着が露出していた。さらに瑠衣が見た中でトップクラスの容姿をしていた。
男の1人がズボンを下ろす。
「なぁ、待てよ」
「がはっ」
その瞬間その男の胸に穴が空いた。比喩では無く物理的にだ。
この野郎!と襲いかかって来るが、攻撃がまったく当たらない。兵士たちはついに剣を抜いた。
「女の子に寄ってたかって……お前らギルティ、死罪な」
剣の刃を人差し指と中指で挟む、真剣白刃取りってやつだ。そのまま顎を蹴りとばす。掴んだ剣を近づいて来ている男に投げる、剣はそのまま頭に吸い込まれる。蹴る殴る躱す、どれも基本で単純な事だが完璧。それはまるで人類の到達点のように……
少女の口を塞いでいる布を取ってやり、最初に言った言葉は、
「はぁ、君食べ物持ってない?」
「……えっ」
これが瑠衣と少女アリスの出会いであった。そして世界が変わるきっかけだったのであろうか。
*アリス
どうも!
新作です、よろしくお願いします。
エロい事で強くなるのは男らしいですね(謎理論)
え、短い?1話は短いもんです許してください
イラスト入れ忘れたので修正しました。それとタイトルも検索したら既に同じ方が居たので、急遽変えました