World War…
登場人物
本田佳那
主人公。平和主義者の両親に育てられた影響で、時代に合わず自身も平和主義者である。
自分の行動のせいで母親が死んでしまったことを後悔している。
自称ブラコン。
本田恭介
佳那の兄。佳那やローラと共に戦争のない世の中を目指している。
佳那の母
軍部によって殺されてしまった女性。
佳那の父
自分が働きたくないからと、自分の息子を戦場に向かわせる、佳那曰く『クソ親父』。死亡。
平野慶太
佳那の親友であり、かつ恋人。第二のマンハッタン計画に、クローンのオリジナルとして関わり続けていた。
ローラ（アリス）
色々と謎の多い人物。恭介や佳那と共に、戦争のない世の中を目指している。
恭介が好きっぽい。
アンドリュー
ローラ専属の執事。日本語もわかるらしいが、うまく話せないからと、いつも〇〇語で話す。元々捕虜だったが、出世してローラの護衛とはなったものの、最終的には裏切って共に活動することを決めたという経緯を持つ。
金松
昔の同級生。何かと佳那のことを気にかけている、元モテ男。軍部の参謀に所属していたが、佳那達の計画に参加することになる。
梶原
佳那が前に働いていた研究所で、先輩にあたる人物だった。
現在は第二のマンハッタン計画に参加する職務につかされたため、慶太たちの働く研究所に異動。
ローラと親交があり、j37というコードネームをもつ。
カン・ジョルジュ
〇〇人の総統、日本語を操る初老の男。
ローラを『アリス』と呼んでいる。
ローラの父親。
戦争至上主義的思想の持ち主。
明石尚久
日本の首相かつ軍の総大将。初老の男に首をはねられ、死亡。
用語
第二のマンハッタン計画
昔のアメリカが行った原爆計画の名前に因んで付けられた、原爆計画のこと。
〇〇国も日本もこの計画を立てていて、いつ核戦争が起こるか国際的に心配されている。
第三次世界大戦
資本主義陣営の国に社会主義陣営の国が原爆投下したことで始まった戦争。
〇〇国と日本が戦争し始めた後に始まったそうだ。
DOH
人間のクローン計画。かつて、羊のドリーのクローン成功に因んで、羊のクローンを実験台、人間のクローンの遺伝子は慶太のものを使って進められた。
世の中は、残酷だ。
私は、前を向く。
＿＿＿＿繰り返す過ちに、人類はいつ気付くのだろう。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「この世の中は、今まで統一をしようとしてきたからこそ戦争は起こった。
そう、国というまとまりの中でも、お互いを傷つけ合った。
だから、多種多様なものをどれも認めていく、そんなものにしたい」
そんな言葉を、全カ国語の言葉で語り、戦争をやめさせたのは他の誰でもない、アリス＿＿＿ローラだった。
その言葉を聞いた人類は喜んだ。
新しい政府はもう作らない。ただ、復興するまでまとめ上げていく、そんな組織として就任したのが、ローラ、私、慶太、お兄ちゃん、梶原さんだった。
アンドリューは汚れ役を買って出てくれた。
初めはアナーキストだ、とか論点がずれたことを言い出す輩がいて、それの鎮圧が主な仕事になっていた。
それも落ち着き、今では荒野が大都会の街となった。
「慶太、環奈と一緒に買い物お願いしていい？」
娘の環奈はもう小学生。お父さん大好きな娘だ。この子が出来てたと知ったのは戦争の終結から2ヶ月が経ってたころだった。そのときはお兄ちゃんも荒れたけど、それ以上にローラとの子供が出来てて、お父さんになることに慌ててたせいでそう荒れなかったのかもしれない。
「ママー、今日のご飯はー？」
「環奈とパパが買ってきたもので作るからね、食べたいものを買ってきてね」
「じゃあパパも好きなオムライスにする！」
「わかった。じゃあ、いってらっしゃい」
見送ってから、私はテレビをつける。
ここまで来れば、私たちが作った復興組織ももうやめよう。
多分、みんなそう思ってる。私たちの存在意義について話し合ったとき、皆が「いらないんじゃないか」という意見で一致したのだから。
じゃあ私たちの職業は？大丈夫だ、研究がある。もう戦争とは関係なくなって、医療薬品を研究するだけの場所へと変わったあの研究所でも、まだ顔を出してる。まだまだ調べたいものがある。今まで劇薬だったものを、私たちに有用なものに変えられないか、とか、高校生の頃に気になってたけど戦争のせいで続けられなかったある成分の研究とか、数えたらきりがない。
思わず鼻歌を歌う。
そんなとき、個人端末に着信が入った。
「もしもしー？」
「ああ、佳那ちゃん…」
声が震え上がってる。
「お、お兄ちゃん？どうしたの？」
こんなお兄ちゃんなんて、いつぶりだろう。平和ボケしている私にとっては声だけでも心臓に悪い。
「テ、テレビ、見てるか」
「？うん、民放を」
すると突如画面が変わった。
そこに現れた、文字に、私は、
「…どうして、歴史は繰り返すんだろう…」
そう、口からこぼれた。
環奈と慶太が帰ってきたことも気付かないくらいに、私は放心していた。
何で。私たちは平和になったんじゃないの。
カン・ジョルジュは死んだ。日本の歪んだ政府もなくなった。核兵器も、宇宙へ捨てることで議決したじゃない。
なのに、
“アリス総代表が、『完全平和の会』と名乗る組織の者に殺害されました”
「ローラ…」
私たちはこれからどうすればいいのだろう。
『完全平和の会』？人殺ししてそれが言えるの？
煮えたぎる怒り。
「…お兄ちゃん」
「わかってる」
「私たちが、許すわけないよね？」
「…ああ」
私と慶太、お兄ちゃんは誓った。
復興組織は解散しない。ローラの仇をとるまで。
「ママー？怖い顔してるよ？」
「ごめんね、仕事ができちゃったの」
「パパは？」
「パパも。ごめんね」
私たちの耳には、かすかに、また着実に大きくなって“第四次世界大戦”の足音が聞こえていた。
end
2015年から、約2年経った今、遂に完結出来ました。
途中で大学受験があったせいで長引きましたが、なんとか完結することができました。
途中で1年ほど空いてしまったため、読み直しながら書いておりました。。。でも、自分の書きたいことは書けたと思います。
当初は、恭介が戦争で死ぬ予定でした。でも、そうしたら佳那があまりにも不憫だったのでやめました。
アリスの死は、今日書いているうちに決まりました。私のお気に入りだったのですが、立場的に元々〇〇国の総統の娘ですからね、恨まれても仕方がなかったなとおもってこの終わり方に決まっておりました。
結果的にはバッドエンドみたいな感じになってはしまいましたが、戦争して欲しくない、歴史を繰り返してる現状に警鐘を鳴らす目的で書いてたので、とりあえず満足です。
さて、この作品が終わった今、新しいものを書く予定はあるのですが、その前に二次創作にはまってしまったので、別のサイトで書いてから、また別のサイトで他のオリジナル作品を書いて、戻ってくるかもしれません。そのときはよろしくお願いします。
それでは、お元気で。
みょみょ
