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彼と計画

登場人物


本田佳那

主人公。平和主義者の両親に育てられた影響で、時代に合わず自身も平和主義者である。

自分の行動のせいで母親が死んでしまったことを後悔している。

自称ブラコン。

現在、日本の研究所で慶太と一緒に暮らしている。


本田恭介

佳那の兄。佳那やローラと共に戦争のない世の中を目指している。


佳那の母

軍部によって殺されてしまった女性。


佳那の父

自分が働きたくないからと、自分の息子を戦場に向かわせる、佳那曰く『クソ親父』。死亡。


平野慶太

佳那の親友かつ恋人。今一緒に暮らしている。

ローラ達の作戦中に死んだはずだったが、奇跡的に生きている。


ローラ

色々と謎の多い人物。恭介や佳那と共に、戦争のない世の中を目指している。

恭介が好きっぽい。


アンドリュー

ローラ専属の執事。日本語もわかるらしいが、うまく話せないからと、いつも〇〇語で話す。


金松

昔の同級生。何かと佳那のことを気にかけている、元モテ男。現在、軍部の参謀に所属している。



用語


第二のマンハッタン計画

昔のアメリカが行った原爆計画の名前に因んで付けられた、原爆計画のこと。

〇〇国も日本もこの計画を立てていて、いつ核戦争が起こるか国際的に心配されている。


第三次世界大戦

資本主義陣営の国に社会主義陣営の国が原爆投下したことで始まった戦争。

〇〇国と日本が戦争し始めた後に始まったそうだ。


DOH

謎の多い計画。金松の話によると、研究所で動いている計画だそうだ。

私は、台所にいた。


慶太の好きなものを作ろうと、卵を混ぜている。


と、そこに慶太が起きてきたみたいで、後ろから音がした。


「まだ5時だよ?もう起きたの?」


「佳那、どうしてこんなに早く起きてるの?」


「ああ、ちょっと早く目が覚めちゃって」


実は起きたのは3時だった。


あの、突然のローラ達の連絡のせいでそれから目が覚めたんだ。


それからここから出る準備をしてたから、全然寝てなかった。


「佳那がどこかにいなくなるかと心配したんだぞ」


「アハハ何言ってんの?」


私はキッチンに身体を向けたまま、曖昧な返事をした。


今から出て行こうとしてるのに、嘘は言いたくなかった。


そんな私の背中に、慶太が被さってきた。


慶太の肌が、私の服越しに感じられた。


「…どうしたの、慶太」


「好きだよ」


突然の告白に、私は思わず卵を混ぜる手を止めた。


「私も、だよ」


私の腹の辺りに回された手の上に私の手も重ねた。


慶太の方を向くと、私の顔に慶太の顔が近づいて来て、そのまま委ねるようにしてキスをした。


ごめんね、慶太。


大好き、でもね、


この世の中を変えるために、私はこの幸せから敢えて離れるよ、


ごめんね_____



………………………………………


慶太が働きに行った後、私は準備を始めた。


奥歯にあるスイッチをつけた。


すると、ローラたちが待っていたみたいで、いきなり連絡がきた。


その内容を簡単にまとめると、私のいる場所がどこかわからないから、他の作戦の方を始めることにした、といったところだ。


私はすぐに了解と返事をして、浴室から脱出するつもりだと付け足しておいた。


そしてすぐに電源を切った。


…ふう。


慶太のことで心がモヤモヤする。


何でこんなにも私は迷ってる?


私は、ただ、ローラとお兄ちゃん、あとはアンドリューと一緒に頑張って戦争を終わらせることが使命であって、恋愛で浮かれるべきでない。


それなのに、本当にこんな気持ちのままで、任務をちゃんと遂行できるの?


そんな時、インターホンがなった。


もしかして、慶太が忘れ物を取りに?


「はーい?どうしたの…って、


金松!?」


どう見てもいつもとは違う様子の金松が映った。


「開けてくれよ…」


「いや、開けられないって」


「…なら、強行突破だ」


金松は何か動かした。


そのうちに、カチッと鳴ってドアの鍵が開いた。


「な、何やってんの!?」


「そんなことはどうでもいいんだよ!!!!!」


私はビクッと震わせた。


「あ…はい」


いつもとは違う迫力がある金松に私が何も言えるわけがない。


「いいか、本田、よく聞けよ。


俺と一緒に逃げるぞ!」


「え、な、何言ってんのアンタ!?」


何も呑み込めてない。


「〜っ、


このままだとお前死ぬぞ!」


金松の言葉で、私はようやく何となく悟ることができた。


私の知らないところで、日本側も動き出していた。


「大丈夫…私にも考えが…」


「何言ってんだよ!?!?ここの職員がどれだけ人命を疎かにするか知らないよな!?」


「いや、知ってるけど」


そんなの、何となく察することはできる。


一応元はここの侵入者なんだから、それくらいは感じられて当然だ。


「なら何で…」


「そんなの、考えがあるからに決まってるでしょ!」


ローラ達の計画が私の勝手な行動で台無しになったら困るでしょ!


「…そっか」


金松は黙った。


自分を心配してくれるのは有難いけど、本当のところ思い通りに行動できなくなるだけだから私的には迷惑だ。金松には悪いけど。


「なら、俺にその考えを教えろよ」


「はぁ!?」


何言ってんのこの人!?


「アンタは所詮日本側のペットなのに!!教えて私の命が危なくなるようなことするわけないでしょ!!」


「俺は!」


金松は叫んだ。


「俺は!お前を守るんだ!」


「重い!アンタは慶太じゃないんだから!私のことを守るなんてバカみたいなこと言わないでよ!重いわ!」


「うるせーよ!俺は別に日本のペットじゃねーよ!」


…え?


「そんなの、自分が思ってるだけで実際は所詮…」


「ちげーよ!


…この際だから言っておくがな、俺は…」


そう言いながら金松はポケットから何かを取り出した。


国から配られた、端末だ。


それを、部屋の窓から投げた。


「な、何やってんの!?」


「これが俺の覚悟だ!」


その言葉にハッとなった。


まるでかつての自分みたいで……


「俺は知ってしまった!


この研究所で何が行われてるか、そしてそれがどんだけ非人道的か、…俺のやってることがその手助けになってるか!


このままだと俺は多分歪められてしまう…


それくらいなら死んだほうがマシだ!クソくらえだ!


お前が何のために活動してるか、何の活動してるかくらいは俺でも簡単に予想がつく!


ずっと、お前らの計画に入りたかった…でも!入るきっかけも勇気もなかった!


それは多分平野も一緒だ…だが、あいつは自分で願ったところでどうしようもないんだ…


だから!何でも動ける俺だけでも!お前らの力になりたい!」


この言葉は多分本気なのだろう。


それくらい、力がこもっている。


私が嘗て心の中で燃やしていた正義感がありありと窺える。


「…わかった。


なら、私の、いや私達の仲間になって貰える?」


私がそう言うと、金松は喜んだ顔をした。


そしてハッとなって言った。


「それより、マズイぞ…


さっき端末を壊したから俺も狙われる身だ…


本田も今までは平野とか俺の保護の下で何とか守られてきたが、これでもう無理だ。命が狙われるぞ」


「わかってる」


「取り敢えず抜け道を教えるから、そこを通れよ」


そして告げられた場所は、元々私が計画していた通り、浴室だった。


「これならローラ達に何も言わなくて大丈夫…」


金松のことは、ローラ達に会ってから言おう。


私が浴室に向かおうかと考えていた時、大勢の足音が向かってきてるのを感じた。


「マズイよ金松!早く!」


「俺は残って戦う!


お前は早く逃げろ!」


近くに置いてあった荷物を持って、私は浴室へと向かった。


…金松、大丈夫かな…


まあ、多分大丈夫なのだろう。


嘗ての男子のクラスメイトたちは、他の人達よりも運動面がやけに優れていた。


一部の人__もう名前は忘れたけど数人__は苦手だったみたいだけど、その中に金松が入ってなかったことだけは覚えてる。


だから金松も運動神経がいいはずだ。


それに比べて私は何もできないから、早く逃げ出すのが確かに得策なのだ。


私は浴室の窓から、勢いよく飛び降りた。


「ひっ…」


高さ的にこのまま落ちたらグシャッと身体が潰れる、と心配していたが、下が柔らかくなっていて、割とダメージを受けずに着地できた。


多分これは金松がやったのだろう。


ゴミ溜めみたいに落ち葉を集めてその下にクッションを隠してくれたんだ。


「…っ、よしっ」


そんな時、足音が聞こえて、私は咄嗟に身を隠した。


どうも一人のようだ。身長的に女の人だろうか。


研究職の人なのだろうか、白衣を着て走り回っている。


…そうだ。


今の私の格好はあまりにも目立ちすぎる。


だから、あの人を倒してあの服を手に入れたら…?


心が決まってすぐに、私はポケットからあるものを出した。


そして口のあたりに持って行き、フッと息を吹きかけた。


すると、勢いよく飛ばしたものがさっきの人に当たった。


「ぅぐっ」


そう呻いて、その人は倒れた。


「…よしっ!」


急いでその女性の白衣や服を脱がせた。


本当に、この武器を持っててよかった。


私が使ったのは、ローラ達と一緒にいる時に作ったものだった。


これに息を吹きかけて飛ばし、当たったらその人は意識を失って倒れるのだ。


でも、6時間後には目を覚ますから、殺すことにはならない。


…って、そんなこと言ってられない。


「取り敢えず、裏道から探ってみるか…」


私はさっきの女性を空き部屋に隠した後、何事もなかったかのように研究所の廊下を歩き始めた。


歩いていると、まわりの研究者達がみんな同じ方向に走り始めたから、私もそれに従った。


「おい、そこの女!」


私を呼んでいるらしい。


「何でしょう」


内心心臓がバクバクいってるけど、平静を努めて言った。


「お前はどこの計画の研究者だ」


どこのって、…そんなの、わかるわけない。


…そうだ。


「…DOHです」


これを言っておけば、多分DOHの正体もわかるだろうし、実際にある計画だから、せめてこの人には偽物だとバレないだろう。


「…そうか。


DOH班は急げよ。実際に計画を実行に大々的に移すらしいからな」


え、そうなの!?!?


つい、この驚きが口から漏れそうになった。


「わかりました」


私は無理してそう言って、そのまま向かう方向を変えずに走り続けた。


…そして、研究室にたどり着いたはいいけど…


「…DOHってどこだよ…」


暗号化された見取り図しかなかったから、結局どこかわからなかった。


でも、ここで足を止めると怪しまれる。


どうしよう。


…と、そんな時、目の前に、人の流れに逆らうように歩いてくる人が現れた。


その顔を見た時、私は絶望的になった。


……………この人、


私の元上司……………


元上司なら私の顔を知ってし、私が今侵入者としてここにいることも知ってる。


もう詰んだ。


「貴女…」


もう、一巻の終わり。ここまで頑張ったのに。


「…DOHの子ね。


ついてきなさい」


「はい、…って、ぇ」


「シッ。黙って」


私にそう言った元上司は、私を連れてある部屋までやってきた。


「な…」


何なんですか、と言おうとしたけれど、元上司はその言葉に被せるようにして言った。


「久しぶりだね、本田。


大丈夫。私は貴女の敵じゃない」


元上司__彼女の苗字は梶原という__は、私を見てにっこりと笑った。


…いやいや!この状況でよく笑えるな!?!?


「ご無沙汰です…」


「私としてはX25と連絡を取り合ってたからね。本田の状況は全て知ってたよ」


は?X25?


「…失礼。X25は本田に『ローラ』と呼ばれているらしいことは聞いていたんだったな


彼女とは学生時代の悪友同士だったのさ」


ローラの学生時代…?


あ、いろいろ思い出した。


ローラという名前をつけたのは私だ。


それは、ローラが自分の名前がないからと言っていたからだ。


元上司は多分名前のないローラに、『X25』と渾名をつけたのだろう。


それにしても人間らしい名前じゃない。


「…それで、梶原…さんはローラの協力もしてるんですか?」


元上司のことを昔の役職で呼ぶのはおかしいから名前に「さん」をつけたけれど、これはこれでむず痒い。


「…まあ、そうなるかな。


…あと、あまりこの話はしない方がいい。


いくらDOH計画が秘密裏で行われていて、他人に傍聴されることも監視されることもない筈だからといって完全に密閉されているわけでもないからな」


なるほど。他の人に聞かれると梶原さんの身の危険もあるということだ。


「じゃあDOH計画ってのは?」


「ああ、あれね…」


梶原さんが答えようとした時、急に部屋の外が騒がしくなってきた。


「な…」


何事?と思ったけれど、その理由はすぐにわかった。


「ローラッ…!」


少し扉を開けると、「早く逃げろ!」という金松の声も聞こえてきた。


ローラとお兄ちゃんは走っていた。


ローラが前からやってくる攻撃を躱し、お兄ちゃんが敵を戦闘不能にしていく、そんなやり方が想像できた。


「どうしよう…助けなきゃ…!」


「いや、やめた方がいい」


「でも…」


梶原さんは私の肩を掴み、首を横に振った。


「あそこには金松がいる。


…忘れてはならないよ、貴女は指名手配のようなものだ。逆に捕らえられて終わり。


…おっと。まずいな…


隠れよう」


梶原さんに引っ張られて、取り敢えず私は棚の裏に隠れた。


棚の裏には、大きな溝があって、私が入れるくらいの大きさだった。


梶原さんは、私から遠い所で隠れていた。


私と梶原さんが隠れた時、誰かが研究室に入ってきた。


この様子だと、かなり上の位なのだろう。堂々と入ってきている。


「フッ…


馬鹿だね、捕虜をただ単に野放しにしておくわけがないじゃないか」


…!!!!!!!!!


目の前には、豚みたいな男。


そういえば、前に見たことがある…


慶太の、上司…


「おとなしくついてくるんだな」


そう言って私の首筋に何かを打ち、意識が朦朧としてきた私は、ただ無理やり足を動かして豚男についていくことしかできなかった。


………………………………………


私は朦朧とする頭で、必死に考えた。


この男に大人しくついて行ったら絶対にまずい。


殺される。


本能がそう言ってた。


よくて首吊り、悪くて人間モルモットの運命だろう。


ただ、ここで逃げようとしたら確実に寿命がここで尽きることとなる。


私はクスリを打たれて身体が思うように動かないし、抵抗もしようがない。


どうしよう、そう考えてるうちに、目の前で思いがけないことが起こった。


「グハッ」


あの豚男がいきなり倒れ始めたのだ。


私と豚男くらいしか人のいないこの場所で、豚男の呻き声だけが響いた。


「き、貴様ぁ…!」


「佳那に何してんだよ!?!?」


その声でハッとした。


「け、慶太…」


慶太が、私の前にいる。


「契約と違うだろ!?!?佳那を傷付けたら許さないって、言っておいただろうが!!!!」


「そんなの…単なる戯gグハッ」


また、慶太が豚男に蹴りを食らわせた。


「…俺の原動力は佳那だ。


そんなお前らの戯言に翻弄されてて黙ってるわけねーだろ!?!?」


上司に向かってもこの話し方だ。かなり怒ってるのがわかる。


…で、私が慶太の原動力?


なんか気恥ずかしくなるけれど、今はそんなこと言ってる場合じゃない。


「き、貴様…!実験体の分際で…!」


豚男はまた抵抗しようと起き上がったが、一瞬にして慶太に倒される。


「…仕方ねえな。


コレ、打ってやるよ」


「そ、それは…!」


慶太が手に持っているもの_何かしらの注射。


私はそれで何となく理解した。


「何怯えてんだよ?佳那がフラフラ歩いてるところを見るとお前も佳那にコレを打ったんだろ?


それなら、俺がお前にコレを打ったところで、何も問題ねーよな?」


豚男は顔を真っ青にしながら首を振った。


「や…やめ…」


「あ?俺はお前に散々痛めつけられて色々不満が溜まりまくりだから、少し濃度が濃いんだよな、コレ。


…いいだろ?」


「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」


豚男は一瞬にして私たちの前から姿を消した。


残されたのは私と慶太のみ。


「…慶太、」


「…頼むから安全な場所にいてくれよ…」


そう言いながら、慶太は私を抱きしめた。


「それが、そんな簡単な話でもなくて…


金松が慶太の部屋に来て、危ないからって逃げたんだけど…」


今、金松がどうなってるのかさえ私にはわからない。


「…そうか。


アイツはな…俺みたいに縛られてないからな、佳那の協力もできるんだよな…


羨ましい…」


慶太が独り言のように、そう言った。


「…そんなことよりさ、もしかしたら私の身体にGPSのチップが埋め込まれてるかもしれない」


あの豚男が私のことをすぐに見つけられるのは、そう言った理由でしかないから。


「まあ、そうだろうな。


ここの研究所のGPSの技術は最先端だからな


残念だけど俺の力じゃ取り除けない…」


まあそうだとは思ってた。


「わかってるけどさ、それなら私は慶太と一緒にいるとまずいんじゃ…」


慶太は研究所の人間。


私といる所を見たら…いくら私達の関係をわかってる人であってもまずいと思うだろう。


「いや、いていいんだよ。


だって俺の身分は、誰にも殺せないような大切な、じ…


いや、研究者階級だからな」


『じ』と言いかけてたのが何なのかは、私はさっきの豚男の言葉でわかってしまった。


『実験体』__それは何と残酷な身分だろう。


何の実験なのかはわからない。でも、慶太に苦痛を強いてきたに違いない。


もしかしたら、まだここに来る前に慶太が毎日疲れてたのって、これが原因?


十分ありえてしまう。あの、精神的な疲れってのは………


いや、考えるのはやめておこう。慶太は私に知られるのを極力避けてる。それならば、知らないふりをしていた方がずっといいだろう。


「そっか。じゃあ慶太と一緒にいていい?」


「俺もその方がいい」


「ありがとう」


それからは何故か気が抜けてしまって、2人で雑談しながら慶太の進む方向に歩いた。


もう身体は大分動くようになって、慶太に頼らなくてもよかった。


慶太は「俺の出番が…」って言って、笑った。


雑談をしながら、私は頭の隅で真面目なことを考えていた。


さっき私が打たれた注射って、もしかしたらジエチルエーテルかもしれない。


ジエチルエーテルは、大量に打つと死ぬ可能性のある、危険な物質。


相手の動きを鈍らせるために薬物を持ち歩いてる私でも、流石に使わない。


実際に使われてもおかしくはないけど、致死量の存在する物質を使うには、やっぱり少し抵抗があった。


それを慶太が持ってると思うと、少し寒気がした。


………………………………………


「キョースケ!前衛ネ!」


「了解」


その頃、ローラ達は闘っていた。


ある場所へ向かうために。


「っつーか、何で佳那ちゃんと合流しないんだよ?」


「危険だからダ!」


「普通に放って置いた方が危険だろ?」


「…いヤ、私の信用できる友達があるから安心ヨ」


私達の敵にカナを会わせたくないんだヨ、と付け足した。


「…で?俺、誰に会わねーといけないのかわかんないんだけど」


「…一番悪い奴、だヨ」


そうローラがが言ったその瞬間、人が吹っ飛んだ。


そして前に誰もいなくなって、


「…これで、目的の人の場所にすぐに行ける」


そして足を進めた。



………………………………………


「ねえねえ慶太、どこに向かってるの?」


「安全なところへ」


慶太の足は止まらない。


「それじゃわかんない」


「言ってる暇もない」


私の顔も見ない。


すると、向かっている方向で、何かあったらしい。


「多分、追っ手がやってきた…」


追っ手!?


「どうすればいいのよ!?」


「いや、まっすぐ進む方が安全だ…」


そう慶太が言った時、目の前に信じられない光景が現れた。


「…どういうこと?」


私は、呆然としてそう呟いた。


だって、だって!


「慶太が、2人…?」


目の前に、


武装した、慶太がいた。

次回の更新は5月14日です。

ここから先に関しては、未定です。

受験勉強に追われているため、全くもって先行きが見えません。

よって、次の更新をもちまして長期休載とさせていただきます。

暇ができることはこれからなくなると思うんで、…すいません。

晴れて無事に合格できたら、また再開しようと思いますので、また来年の春、お会いできたらお会いしましょう。

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