モノローグ 戦争は終わったのだろうか
……本当に戦争は終わったのだろうか?
三年に一度、五つの国は、国土の譲渡や譲り受けが行われているらしい。
国民に対する説明は何もなく、理由も不透明だ。
国土の譲渡・譲り受けなんて大それたことをしているのだ、他にも何かしらを行っているのだろう。
そこはいいか。問題はどういった取引によって、国土を譲渡するに至ったかだ。
物の提供や技術の提供だろうか? はたまた金銭的取引だろうか。
どれにしろ、貴重な国の土地を売る程の価値があるとは思えない。
そこで、私は思った。戦争は終わってないのではないか、と。
一方的な力関係があるとすれば、国の土地を譲渡する、せざるを得ないだろう。
戦争体験者の人たちに、五十年に及んだ戦争が、勝者も決まらぬまま、
何故いきなり終わったのかを聞いてみた。
誰も、どの国の人も戦争終結の理由を知らなかった。
口々に言うことは、突然終わったということだけだ。
怪しい。私は疑念を深めた。
私たちが知らないところで、戦争は今だに行われているのではないだろうか。
昔のように国民総出で戦うような戦争ではなく、選ばれた人間が戦うような、
そんな小さな、小さな戦い、けれども大きな戦いが行われているのではないだろうか。
私の陰謀論が、私の好奇心をくすぐる。
調べたかった。だが、不可能なようだ。
国が絡む陰謀の近くには、危険が潜む。誰かが言っていた。
その通りのようだ、死にたくはない。だが、満足だ。
私の考えが正しいと証明されたのだから――――




